2017年5月5日

ドウロ川も上流の地域、蒸気機関車終着点、寂れてほとんど駅しかない「Tua=トゥア」から、出発点であるRegua(レグア)への帰路、書き留めておきたい出来事に遭遇したのであります。

ピョーピョーとなるSLの帰路の汽笛は、なんだかやけに哀調を帯び、旅の終わりを告げるかのようでした。車内は指定席ではないので、途中の2度の停車駅でわたしたちは車輌を変えてみました。最後は向かい合った座席が4つしかない小さな車輌でした。

乗客はわたしたちと、わたしたちの席の向こう座席の老人だけです。あれ?ポルトガル人の年寄りの一人旅とは珍しや?ポルトガルでは夏休みはたいがいカップルで、あるいは家族連れでの旅行者がほとんどですからね。

ドウロ川添いに走る往復3時間半ほどのSLの旅も、いよいよ終わろうかと言うころ、最後のサービスででミーニュ地方の民謡を奏でて歌う5人の楽隊が各車輌を回っていました。

楽隊がわたしたちの車両にやってきて、陽気な民謡を演奏しました。二曲目、三拍子のなんだか少し哀調のある歌が始まり、夫と向かい合わせに座っていたわたしは、なんとはなしに向こう座席の老人に目が行きました。


手拍子を取り、一緒に歌を口ずさんでいます。我が夫はというと、なにやら帰りの車のルートを確認するのに地図とにらめっこ。音楽も終わり楽隊が隣の車両に移って行き、わたし達の車両は再び静かになり、ガタゴトガタゴト、汽車は揺れ老人もわたしたちの体も揺れ。

SL2017-smokegetsin

と、その時、先ほど楽しそうに手拍子を打って歌に合わせていた老人の目にみるみる涙が溢れてきました頬をつたう涙が落ちるのを人に知られまいとと頬をぬぐうその仕草を3度ほど、それから車窓に両腕を乗せ、さざなみ光るドウロの川面をじっと眺めやっていました。

わたしは見てはいけないものを目にしてしまった思いがして、気持ちがざわめき、帰宅してからも老人のその姿が頭を離れず、あれこれと思いを巡らせずにはおられませんでした。

老人の顔に深く刻まれたしわ、日に焼けた肌、そしてごつごつしたその手からして、農業、もしくは漁業に携わってきた人であろう。あの歌に過ぎし日の思い出があったのだろうか。死に別れた伴侶のことか、それとも若き日の恋人だろうか・・・このSLの一人旅そのものが、過ぎし日の思い出をたどるためだったのだろうか?

とっさに夫には言えないような情景を見たのでした。

近頃は、行く先々のあちこちのスナップに夫が写っていて、あぁ、せっかくのいいアングルなのに、旦那が入ってるよぉ。「あぁた、ジャマだから、ちょっとそこ、のいてよ。」とは言えなくて、困ったもんだ、と思ったりしていた常日頃。

くだんの老人を思い出すと、もしかして将来わたしが先にいなくなった場合の夫、あんな風に一人旅をするのかなぁ。あんな孤独な夫の姿を天上から見るのはイヤだな。夫より先には逝けないなぁ」と思ってみたり。

え?憎まれっ子世にはばかるで、あんたが先に逝くことはないから心配すな?だ、誰だい、人がしんみり慮っている横からそんなこと言ってるのは!

さてもさても、SLの吐くススがらみの煙と老人の姿とで、ホンに煙が目にしみたドウロ川SLの旅ではありました。


オールディーズ「煙が目にしみる」はこちらで、聴けます。
The Platters、いいですよ^^

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2017年5月4日(木) 

それにしてもこのSL、姿まことに麗し!終着駅トゥアに着いたほれぼれするようなHenschel & Shoen Steam Engine 0186(1925年)の姿です。

SLの旅

ドウロ線は1873年に敷設工事が始められ1883年にTuaまで開通し、このSLの旅ではRegua(レグア)、Tua(トゥア)間46キロを5車両で250人の乗客を運びます。

SLの旅
夫が撮った一枚。SLの吐くもうもうたる煙に包まれて、素人レポーターも楽ではない(笑)

SLの旅
Henschel & Shon Engine 0186(1925年)のマーク。 

SLの旅
鉄道員は休む間もなく、これからリターンの準備。

SLの旅

SL2017_27_tua.jpg
方向転換完了。最後の点検。 

SLの旅
ロコトラクターはDeisel shunting Engine 1185(1956年)

SLの旅
トゥア駅で静かに休む引退SL。型からし蒸気機関車初期のものでしょうか。

SLの旅
トゥアの駅。2009年には駅の前に小さなカフェがあるのみで他はなにもなかった。  

SLの旅
こんなレトロな「電報局」が見られるのも古い終着駅だからこそ。もちろん現在はオフィスとして使用。

SLの旅
2009年7月11日午後4時7分のトゥア駅。

というので、このSLの旅は2009年のことでしたが、今年はディーゼル機関車の旅が6月から開始 だそうです。
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2017年5月1日(月) 

SLの旅

午後2時46分にレグアを出発のSLの旅、発車まもなく車内ではポートワインとおつまみ出されました。

SLの旅
楽隊の楽しい音楽とともに、時々口げんかもするが、とにかく今日は我らの人生に乾杯!ということで。
           
SLの旅
ドウロ川川沿いに煙をもこもこ吐きながら走るSL。時々川を上り下りする観光船と行きかい、こちらからもあちらからも乗客が手を振り合ってご挨拶

とまぁ、このあたりに来るまでの2度、トンネルに入り、この年は全窓開放だったので、黒煙が遠慮会釈なく入ること入ること!(笑)ススで鼻孔も真っ黒になりました。往復、4度のトンネル通過と、走行中の煙とで、夜、帰宅して浴びたシャワー、流れる水は真っ黒でありました。やがて汽車は小さなピニャンの町に入ります。

SLの旅

ピニャォン駅舎
SLの旅

ピニャォン駅では、ドウロ川上流の景色を描いた美しいアズレージュ(Azulejo=青タイル絵)が見られます。

SLの旅
9月の葡萄の収穫(Vindima)の様子。

SLの旅
葡萄を収穫する女性(Vindimadeira)

azulejo_pinhao3.jpg
昔のドウロ地方の服装。

SLの旅

ホームでは楽隊の音楽に合わせ、思わず踊りだす人もいました。
   
往復路、20分停車するピニャンの駅の「ワインハウス」では、ポートワインを始め、ポルトガル産のグルメが売られています。
SLの旅

ピニャンの町について

夏季とぶどうの獲り入れ時期をのぞいては、ひっそりとした死んだような町だが、5月から10月にかけての土曜日のSLが停車する20分間は、生き返ったようなにぎやかさを取り戻すことだろう。

SLの旅

鉄道が乗り入れる以前のピニャンの人口は300人ほどであった。1880年のドウロ線鉄道開通以来、ピニャンには多くのワイン倉庫建てられた。ポートワイン会社「Taylors」の大倉庫だったのが、現在は「CS Vingate House」と呼ばれる5つ星のホテルになっている。ホテルからはドウロ川の景観が眺められ、夏場は満室になることだろう。 

Vintage House Hotel
     住所:Lugar Da Ponte -5085-034 , Pinhao , Portugal
      Tel ::+351 (0)254 730230 or fax +351 (0)254 730238
    
次回は、終着駅「トゥア」を紹介いたします。
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2017年4月28日 

先だってのニュースによると、ポルトの呼び物「O Comboio histórico(直訳:「歴史的な汽車」となるが、わたしは「機関車」と訳したい)」が、今年も6月3日から10月29日の限定期間開通するとのこと。

機関車はツーリストを乗せてドウロ川沿いにある町レグア(Régua)とTua(トゥア)間を川沿いに走ります。20世紀初期の木造客車五車輌を牽引(けんいん)、レグアを出発、途中ポスィーニュ(Pocinho)駅に止まり終着駅トゥア(Tua)に着きます。

ドウロ川SLの旅

このところ、ポルトが「ヨーロッパで一番行って見たい街」のトップに3度も選ばれており、ポルト旧市街は各国からのツーリストで大いに賑わっていることは、既に述べましたが、それに伴いこの機関車の旅も2013年には2600人ほどだったのが、昨年では9000人を突破し目白押しのツアーではあります。

これまでは、限定期間の週末のみのツアーでしたが、今年からこれに8月2日、30日(共に水曜日)と8月15日(火曜日)が加えられました。

このドウロ川機関車の旅は当初SL、つまり蒸気機関車だったのですが、吐き出される煙や灰による環境汚染と火事回避のため、2013年にはより経済的で安全なディーゼル機関車に取って代わったのです。

実はわたくし、2009年の夏に取材を兼ねてそのSLの旅をしています。SLファンは日本に多いと聞きますが、それを期待して訪れる人もいるようで、ディーゼルに多少がっかりするようです。そこで、このニュースを機会に今日は運よくSLに乗れた当時の写真を掲載してみようと思います。

ドウロ川SLの旅

ドウロ川は隣接するスペインのソリア県に水源を発する全長896kmの川で、ポートワインの原料となるブドウ栽培地、ポルトガル北部のピニャォン(Pinhao)、レグア(Regua)等を通り抜け、ポルトに入り、やがて大西洋と合流します。夫と2009年7月にドウロ川上流のレグアからトゥーアまで、46kmを蒸気機関車で往復して来ました。

レグアまでポルトから車で向かいました。Vila Real を通る高速道路を走ると1時間ほどで行くのですが、それだとドウロ川の渓谷やブドウ畑が見られないので、行きは1時間半の川沿いをゆっくり走ってみました。(参:ポルトからレグアまで列車も出てます)

SLの旅第一回目の今日は美しいドウロ川の眺めと出発点レグア駅からです。

ドウロ川SLの旅
ポルトからレグアへ着くまでの途中のドウロ川と段々のブドウ畑眺めは絶景。

ドウロ川SLの旅

ドウロドウロ川にかかる鉄橋↑ ↓下はレグア駅

ドウロ川SLの旅

スタンバイして点検を受けるスチームエンジン0186。赤い車輪がアクセントになっていてとてもいい!
ドウロ川SLの旅

この赤い車輪の美しさにすっかり惚れ込んでしまいました。
ドウロ川SLの旅

これが客車です。

ドウロ川SLの旅

木造の車内は床も座席もピカピカに磨かれています。

ドウロ川SLの旅

SLの旅のオープニングは、音楽隊の列車乗り込みから。
ドウロ川SLの旅

いよいよ出発。レグア駅を後に時速30キロでドウロ川沿いに上っていきます。写真がなんとなく白っぽくみえるのは、SLが吐く煙のせいであります。

ドウロ川SLの旅

続きます。

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