2011年2月2日 

「シンボルなんて何にでもかこつけられるぞ」と夫に冷やかされながらも、わ
たしにとっては調べられずにいられない魅惑的ミステリックな中世期シンボル
なのですが、出張日本語の「マセラッティの君」が今週は国内におらず、また、
キャンセル授業もあったりで、これ幸いと久しぶりにのんびり再読している本
と照らし合わせながら、あちこち検索の数日でした。

前回紹介した「一角獣と貴婦人」については、まだまだ勉強不足で、このタペ
ストリーに描かれている細かいシンボルを私自身が分析するのは難しいのです
が、例えば、獅子、ユニコーン、ウサギ、手鏡、絵の中に何気なく紛れ込んで
いる「X」マークなどは、異端審問所から身を守るために神秘主義者や異端信
仰者たちがその信条を織り込むのに編み出したシンボルだと言われますので、
なるほどとうなずくものの、ストーリーの意味具合がいまいち曖昧に感じられ、
時間を作って絵とじっくり向き合い、自分なりに分析、解釈するためには、シ
ンボルを拾い集める必要がありそうです。

今日は、ユニコーンに関連するもうひとつの7枚のタペストリーストーリーを
「spacesis、謎を追う」の自分のための参考メモの意味も含めて載せてみます。

このタペストリーはニューヨーク、メトロポリタン美術館のクロイスター別館
に展示されてあるそうですが、一連の物語はやはり謎に満ちています。
今回の簡単な解説はわたしが読んだ本を参考にしています。

タペストリー1枚目「Start of the Hunt=一角獣狩りの始まり」
Unicorn1

よく注意してみると、タペストリーの真ん中の木、さらに四隅に、論争の的に
なってきた「裏返しのAEの文字」が見られます。単に、製作依頼者の頭文字
だとの説もあれば、「A」はヘブライ語のアレフとタウ、つまりアルファと
オメガの様式化された象形文字で「E」は生ける神をあらわす、との説もあり
ます。

「アルファとオメガ」というのは、
「I am Alfa and Omega, the first and the last, the beginning and the
end, who is and who was and who is to come, the Almighty.」
[わたしはアルファでありオメガである。最初の者にして最後の者、始まりと
終わりである」と聖書ヨハネの黙示録に書かれてある有名な言葉です。

タペストリー2枚目「The Unicorn was found=ユニコーンの発見」
Unicorn2

泉から湧き出す小川の前にひざまづいて角を浸しているユニコーン。周りの
動物たちは水を飲むのを待っている。ユニコーンの角は汚れた水を清浄すると
言われる。清浄なる真実の水、汚された偽りの教義とはなにか?
また、噴水を中心に12人の人物が見られるのは、最後の晩餐に関係するのか?
はたまた12使徒に関係するのか?
(↑これはわたしの想像)

タペストリー3枚目「The Unicorn is attacked=攻撃されるユニコーン」
Unicorn3

タペストリー4枚目「The Unicorn fights back]
unicorn4
ユニコーンは囚われの身になるよりも死を選ぶと言われる。通常の方法で捕ら
えることは不可能なのである。

5枚目のタペストリー「破損しているタペストリーの二つの断片
unicorn

このシーンは破損しており、かなり大きな部分が欠けている。ユニコーンは
閉ざされた園にたどりついている。侍女がいるが、描かれていはずの貴婦人は
故意に破損されたと分析する説がある。恐らく、前回紹介の「貴婦人と一角獣
」第一場面同様、貴婦人は手鏡を持っているだろう、そして一角獣は貴婦人の
膝にひずめをのせているのも知れない。

柵にそって咲いている赤と白のバラの花はマグダラのマリアの象徴の色である。

タペストリー7「ユニコーンの死」
unicorn6

このタペストリーには2場面が織られている。左上のシーンとそのむくろが
馬に乗せられているシーンだ。


タペストリー7「囚われの一角獣」
unicorn7

6番目のタペストリーで死んだはずのユニコーンは閉ざされた園で復活し、ざ
くろの木の下で休んでいる。柵の前にはメロビング王朝のシンボル「フラ・ダ
・リ=三弁のユリ」、アヤメ科の花が咲いている。メロビング家のゴドフロア
・ド・ブイヨンは第1次十字軍の中心人物であった。

ここではざくろに絡んだ二つのXが登場している。

7枚のストーリーについては、キリストの洗礼から復活までを寓意的に表現し
ているとの説もありますが、それならば広く世に知らされてきたそれ様の有
名な作品が数多くあるのですから、なにもこんなこんがらかった七面倒な
細工などせずともいいではないかと思うのです。

「一角獣と貴婦人」もこのシリーズもとてもミスティックであり、いずれこれ
らもテンプル騎士団につながって行くのではないかと推測しています。

シンボルの謎解きは、初期キリスト教、神秘主義、異端派、ローマカトリック
教のつながりと歴史をある程度知っていないと理解できないのですが、なぜ
こういうシンボルが残されたのかと調べて行くうちに、正統派と称する宗教も、
結局は時代と人間が作り上げたのではないか?との疑問にどうしてもぶつかり
ます。

そして、もちろん、わたしの結論は勉強の途中ですから、まだまだ出せるわけ
ではないのですが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、更に異端教、これら
宗教の争いは、2千年も昔から今にいたるまで、多くの場合、変わっていない
ことに気づきます。

本来は人間を幸せにするはずの宗教がそれに反するようになるのはなぜか?
そして同時に、厳しい異端審問の時代にも危険を冒し、様々なシンボルを使って
まで残そう、伝えようとした神秘主義、異端派の真実とは何かと考えると、更に
探究心を煽られるわたしではあります。

一連のタペストリに興味を持つ人のために、下記メトロポリタン美術館のサイト
をご案内します。

メトロポリタン美術館
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テーマ:歴史雑学
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
早速記事をアップしていただき、ありがとうございました。

確かに、このタペストリーが作られた時期は西洋でカトリック教会が影響力を確固たるものにしていく時期ですものね。シンボルとしてしか紛れ込ませることができなかった、当時の“記録”なのかもしれません。

クリュニー中世美術館レポート、そのうち書きますね。前回行った時は幼稚園の引率だったので、あまりじっくり見られなかったんですよ。次回は必ずや一人で行ってきます。
2011/02/06(Sun) 02:04 | URL | 梨の木 | 【編集
>梨の木さん

どういたしまして。

これに関しては読んだ本にあることしかまだ書けなくて
すみません。複雑で一見しただけではどうにもなりません。
それに、細かいところまで見るには画像が小さいのです。
大きなものが今のところ見つかりません。

もっと人物の表情、服装などにも目を向けなければ
ならないのでしょう。

正直なところを言えば、この絵からわたしが感じるのは
悲哀感で、これじゃしっかり観察できませんね。

梨の木さんの記事、いつでもよろしいですので楽しみに
しております。
2011/02/06(Sun) 05:48 | URL | spacesis | 【編集
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