2011年6月22日

前回の続き、アルハンブラ宮殿はメスアールの間の絵タイルについてです。
画像をもう一度アップします。

アズレージュ
画像1

上記画像1の二本の柱とPLUS ULTRAとは?
 
15世紀末のグラナダ陥落後、アルハンブラ宮殿は城代に管理されていたが、
18世紀に入るとハプスブルグ家出身のカルロス一世(または神聖ローマ帝
国カール5世)が改築の手を加えたとされる。

特にメスアールの間の大部分はカルロス一世の命でキリスト教徒による改築
が大きいと言われる。室内の絵タイルもキリスト教徒の手によるとのこと。
さすれば、わたしの目を惹いた面白いシンボルもあろうというもの。

さて、大きな絵タイルの柱に巻くリボンに書かれた「PLUS ULTRA」とはどん
な意味なのか。

アルハンブラ
(wikiより)               

上の図は現在のスペインの国章。タイル絵、画像2と同様のシンボルであるこ
とから、スペイン国章は、このカルロス一世の紋章に基づく。

二本の柱は「ヘラクレスの柱」だ。
ヘラクレスとは、我が子を殺してしまった罪の償いでアポロンの信託を受け、
数々の冒険をすることになるギリシャ神話の英雄である。

次なる目的地ヘ向かうヘラクレスは現在のヨーロッパ大陸とアフリカ大陸を
つないでいたアトラス山(下図緑線が現在のアトラス山脈)を越えなければ
ならなかった。面倒になったヘラクレスは、そこで巨大なアトラス山を真っ
二つにすることにした。

そうして出来たのがジブラルタル海峡(下図赤丸)で、二つに分けられたヨ
ーロッパ側、ジブラルタルのRock ofGibraltarとアフリカ側の山(諸説あり)
が「ヘラクレスの柱」と呼ばれた。
アルハンブラ
(wikiより)

ヘラクレスの柱は古来から「Non Plus Ultra=ラテン語でこの先はなし」、
つまり「世界の果て」を意味しており、大航海時代の探検家たちが現れるま
で、古(いにしえ)から船乗りたちはその先を航海することを恐れ、避けた。

しかし、ポルトガル・スペインともに大航海時代が始まっていた16世紀、
スペインはカルロス一世を王に頂く。カルロス一世は同時に神聖ローマ帝
国のカール5世でもある。コロンブスが大西洋に乗り出し新大陸を発見した
のは15世紀も終わり頃。ヘラクレスの柱のNon Plus Ultraは既に意味を
なさず。

カルロス一世は古代からの警告を無視し否定語のNonを除いて「Plus Ultra
=更にもっと遠く」をモットーに、自分の紋章に用い、新世界を目指す冒険
者たちをも奨励することになる。

神話とは過去に繰り返し起こった人間界の出来事が言い伝えられてきたもう
ひとつの歴史ではないかとわたしは時々思うのだが、その仮定に立った上で、
ヘラクレスが面倒がらずにアトラス山を壊さないで越えていたらヨーロッパ
とアフリカ大陸は陸続きとなり、歴史はどのような展開を見せてくれただろ
うかと想像してみるのはちょっと面白い。

また、アルハンブラ宮殿を従来どおりに残さず改築してしまったのは、イス
ラム文化の美が失われ残念ではあるが、古きを破壊するのは勝者が常になす
ことである。

Non Plus UltraをPlus Ultraに変えてみたりのカルロス一世、そのモットーで
船乗りたちをそれまでの通念から開放し大航海へと出立させたのは、後世に
燦爛たる名前を残すことになるのではないかと多いに評価するわたしではあり
ます。蛇足ではあるが、このヘラクレスの柱の外側、つまりその向こうに幻の
大陸アトランティスがあったとは一つの説である。


画像2のシンボル

アズレージュ
画像2


これは「双頭の鷲」だ。

紋章「双頭の鷲」は東ローマ帝国、神聖ローマ帝国で使用され、ハプスブル
グ家の紋章にもなっている。先に触れたように、カルロス一世は「ハプスブ
ルグ家」の出。神聖ローマ皇帝としても在位し自らの紋章にもこれを用いた。

ハプスブルグ家は政略結婚による領土拡大を計り、中世から20世紀初期ま
で中央ヨーロッパにおいてその権勢を誇った。フランス革命でギロチンの露
と消えたマリー・アントワネットもハプスブルグ家一派の出身である。

このように、メスアールの間は、意外や、イスラム文化が施されているので
はなく、キリスト教徒に改築され、スペイン王カルロス一世のシンボルが埋
め込まれているというわけである。

情報については注意して書いているつもりですが、根がそそっかしい人間で
すので、どこか間違いがありましたらと、前もってお詫びしておきます。

次回は絵葉書にもなり、恐らくアルハンブラ宮殿として最もよく知られて
いるパテオの紹介です。

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テーマ:スペイン
ジャンル:海外情報
コメント
不思議
全てが、「へぇ~」の連続です_(^^;)ゞ紋章も、神話も、ほぼ初めての知識です。
複雑でなかなか頭がついていけませんが、
読み物として捉えると、楽しいですね!
こちらはのんびり読んでますが、
調べるのは大変でしょう?!
これからも楽しみにしてますね!
(*^^*)
2011/06/24(Fri) 04:35 | URL | jackie | 【編集
>jackieさん

調べるのはスキですから大丈夫ですよ^^
自分の興味のために勉強して、自分のメモとしても
ブログに載せているのですからv-290

今日もお付き合いいただいてありがとうございます!
2011/06/24(Fri) 08:14 | URL | spacesis | 【編集
パンがなければお米を食べればいいじゃない!
マリーアントワネットと言えば「ベルサイユのばら」って読んだことないのですが読んだ方が良いでしょうか(笑)
2011/06/24(Fri) 22:23 | URL | 松浦佳也 | 【編集
>松浦君

マンガもなんだけれど文庫本の遠藤周作
「王妃マリー・
アントワネット(上)(下)」をわたしは読んだ。
歴史ロマンだけれど、すいすい読めたよ。

革命の名の下に王も王妃も○○食らえ
というところが
わたしは怖い。フランスも中国もそう。
人間の歴史って残酷だねv-404

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」は
アントワネットの有名な言葉だと言われますが、それも
いまで言う当時のメディアの、言葉の端を捉えた故意な
言い広めかも知れませんね。
2011/06/27(Mon) 23:40 | URL | spacesis | 【編集
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