2011年7月28日

前回、トマール、キリスト騎士団修道院、大窓にある「ガーター」(笑)謎
解きの続きです。


聖ジョージの黄金伝説
下の絵はラファエルによる「聖ジョージとドラゴン」です。
聖ジョージの象徴は白馬、竜、赤い十字。
            
conventocrisot_garter
                 wikiより。

聖ジョージはカッパドキア生まれでローマの軍人ですがキリスト教徒だった
と言われます。伝説には、ある村を聖ジョージが通りかかったとき、竜のいけ
にえとして王女が差し出されるところを、聖ジョージが竜を退治し、村人たち
がキリスト教の教えを受け入るとされています。
聖ジョージは後に異教徒に捕らえられ、棄教しないがため斬首され、殉教者
になっています。

さて、上の絵の足の部分を拡大してみましょう。画像があまりはっきりして
いませんが、左足にはガーターが見えます。
conventcrisot_garter

こちらの絵は19世紀の英国画家ダンテ・ガブリエル・ロセッティの聖ジョ
ージを描いたロマンチックな絵です。抱かれているのは助けられたサブラ姫。
conventocristo_garter

この絵では聖ジョージの膝にはっきりとガーターが描かれています。
(ここでは小さなベル、そして二人の天使?の胸にある大きなX文字、更に
その天使の横の青字X文字、それと聖ジョージの右肩にあるマークは何なの
か、気になっているですが、今回はそれを置いときます)
    
聖ジョージを尊崇するリチャード獅子王から後のエドワード3世はガーター
をシンボルにしたわけです。ガーター騎士団の金の首飾りに下がる記章も白
馬に乗り、竜を退治する聖ジョージが象られています。

ここでガーターと竜のシンボルが結びつき、トマールの大窓の右の大木に巻か
れているのはガーター騎士団の二つのシンボルに8割がた間違いないと思い
ました。しかし、これはイギリスの話であって、ポルトガル国王とはどのよう
なつながりがあるのか。

ガーター勲章の叙勲はキリスト教徒のヨーロッパの君主に限られていたとあり
ます。ポルトガルとイギリスの両国は14世紀にランカスターのフィリパ王女
とポルトガルのドン・ジュアン一世の婚姻以来、常に同盟関係にありました。
さすれば、ポルトガル王たちがガーター騎士団に入団していても不思議はない
はず。

因みに、ドン・ジュアン一世とランカスターのフィリパ王女との間には3人の
王子がおり、その一人が後のエンリケ航海王子です。

さて、そこで、仕上げとしてドン・マヌエルが果たして本当にガーター騎士団
メンバーであったのか、この確認には日本語ポルトガル語では出てこず、時間
を要しました。

先週の数日、これを追ってずっと検索していたのですが、ついに英語サイトで
ガーター騎士団の過去から現在に至るナイト(騎士)とレディーのリストを
ゲット!

そして、ビンゴ!ヘンリー8世(1509-1547)の時代のリストに
「Manuel I, King of Portugal」の名前を見つけました。
こういう時は本当に嬉しい!

これで、大木に記されたシンボルの謎解きはできたことになります。

テンプル・キリスト騎士団修道院は現在では世界遺産に指定されています。
「ただ古いだけでなんだかあまり面白いと思わなかった」という人もいるの
ではないかと思われますが、何世紀もの建物をそのままにしてあればこそ、
古さのなかに秘められた遥かな人間の歴史、人間の思想が潜んでいるのを
知ることができます。

それらを追い求めて調べていくうちに多くの伝説や歴史的な物語に接する
ことができます。西洋の歴史はキリスト教を知る必要がありますが、信者で
ないわたしの目からみる宗教の歴史は面白く、また、キリスト教が絶対宗教
だった中世にあって、それとは別の異端思想を密かに守り通そうとした人々
の存在がうかがわれるのには、多いに興味を惹かれます。

自由な思想を表現できる現代にこそ、歴史を学ぶことで、自由とは何かを
少し理解できるような気がします。

最後にもうひとつ、面白い発見を。

エリザベス女王をマスターにいただく「ガーター騎士団勲章」ですが、日英
同盟の関係で例外的にアジアの国の元首として初めて、明治天皇に叙勲され、
大正天皇、昭和天皇も同じく叙勲されているそうです。しかし、第二次世界
大戦では敵国となったため、名簿から削除。

1971年に復帰、1998年のイギリス訪問で今上天皇(きんじょうてん
のう)も、メンバーに記録されており、ヨーロッパ人以外でこのガーター騎
士団メンバーになっているのは日本の天皇のみとなっています。
(wikiからの参照)

ガーター騎士団現メンバーには、サッチャー元首相、ジョン・メジャー元首
相も記録されており、24人の騎士団の24人目は目下空席。
「何がなくても誇りだけは」と陰口を叩かれるイギリス人ではありますが、
古い伝統を頑固に守り通そうとするのには、尊敬の念を抱かずにはおられま
せん。

トマール大窓、片方右側の大木にあるシンボルの謎はこれで一件落着です
が、この大窓には他にもまだ摩訶不思議なシンボルが見られるのです。
それはまたの機会に、と思っていますが、ちょびっと予告編(笑)

janela_homen
大窓の下にいて、全てを支えているこの人物は、Who is he?

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テーマ:ポルトガル
ジャンル:海外情報
コメント
謎解き
へ~、謎解きすごく面白かったです。
しかし、敷居の高いその叙勲に仏教国の日本の天皇が・・というのが大変興味深いです。
2011/07/29(Fri) 19:47 | URL | gallega | 【編集
>gallegaさん

わたしもこの謎を追いかけていい勉強になりました。
それで止められないのです(笑)
とこで天皇は神道でっせ~。余計なこととは思いつつ、一言^^;
2011/07/31(Sun) 18:26 | URL | spacesis | 【編集
いやでも国としては”仏教国”ですよね、って・・・苦しいですか?
2011/07/31(Sun) 19:20 | URL | gallega | 【編集
>gallegaさん

いえいえ、苦しゅうない(笑)

でも今や、とても仏教国とは言えないですね。
死んだときだけ眠る場所ですわ^^;
2011/08/01(Mon) 19:46 | URL | spacesis | 【編集
お久しぶりです。こんにちわ~。
ちょっと前にメールしたのですが,届いていないかもと思ってこちらにカキコ。
どの記事も知らないことばっかりで勉強になります。
来週は久しぶりのポルトガルです~。
ポルトにいらっしゃいますか???
2011/08/02(Tue) 14:02 | URL | きゃしー | 【編集
>きゃしーちゃん

あれれ?届いてないですよん^^;
迷惑メールに入ったと思われます。

で、先ほど、こちらからメールを送りました。
もし、届いていなかったら再度カキコしてください!
会えるといいね!
2011/08/02(Tue) 18:22 | URL | spacesis | 【編集
昨日教えて頂いたアドにメール送りました。
残念ながらニアミスで,今回はお会いできないかな~。
2011/08/03(Wed) 17:46 | URL | きゃしー | 【編集
は~い、さっき読んですぐレスしました。

11月にたった一日滞在なんて、それこそ会うチャンスが激少です。
できれば今回、晩御飯をご一緒でる時間まで
わたしたちがポルトに到着できたらいいですね^^
2011/08/03(Wed) 18:11 | URL | spacesis | 【編集
さすがですね
よく、あきらめずに色々探索されますよね。
脱帽します。

日本の天皇のお話もあり、私には初めての話ばかりでした!
2011/08/05(Fri) 05:51 | URL | jackiemai | 【編集
<jackiemaiさん

何事ものめりこむオタクタイプですv-408

それで家人にはときどき笑われていますが、ええではないの、
誰に迷惑をかけるわけでもなし、ね!

テンプルキリスト騎士団修道院にはまだミステリーな
シンボルがあり、追っかけながら光明が見えた時点で
アップします。お楽しみに^^
2011/08/05(Fri) 21:27 | URL | spacesis | 【編集
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