2011年8月27日 

前回の続きです。

思えば、昨日のエントリートップの文章は、ここに持ってくるのがふさわし
いと気づけども^^;

最初は本日この記事を念頭において書き始めた昨日のエントリー、いつの間
にか妹との会話の行きがかり上、思い出話「ふしみかなめ君」に行ってしま
いました。しかし、まったく無関係でもないのでこのまま続けさせて下さい。

我が妹が半世紀ぶりにかなめ君に遭遇したという話に二人で湧いた後、彼女
から入ったメールに「さいぎさいぎ、どっこいさいぎ」とあった。

年に二度くらいは弘前へ足を運んでいる妹夫婦、ホテルでチェックアウトし
ようと荷物をまとめていたら、外から
「さ~いぎさ~いぎ どっこいさ~いぎ」
と聞こえてきた。ホテル9階の窓から土手町を見下ろすとお山参詣の行列が
通って行く。慌てふためいて階下へおり、こけつまろびつ行列に追い抜き、
いっしょに並んで歩いたが、行列の唱え声が、子供のころに聞いて覚えてい
たのと少しも変わらないのに可笑しくて、ついにこらえら切れなくなり大声
でウワハハハと笑ってしまったと言う。
 
お山参詣というのは津軽に昔から伝わる岩木山最大の祭りで旧暦の8月1日
に五穀豊穣、家内安全を祈願して白装束にわらじ、御幣やのぼりを先頭に行
列をなし岩木山神社を目指して歩く行事だ。
saigisaigi1.jpg
画像はwikiから

土手町から坂道をおりて下町の通りを岩木山目指して行列が歩いていくのだ
が、少し検索してみると子供だったわたしが記憶しているのと違い、行列の
様子も少し変わったようだ。
saigisaigi2.jpg
画像はwikiから

昔は白装束でお供え物を両手に抱えての行列だったのが、今では随分カラフ
ルで「行事」と書くより「イベント」とローマ字にしたほうが似合いそうだ。

さて、妹がこらえら切れなくなり大声でうわはははと笑ってしまったという、
その唱え声なのだが、これである。

♪さ~いぎ さ~いぎ どっこ~いさ~いぎ
 おやま~さ は~つだ~い
 こんごう~どうさ
 いっつにな~のは~い
 なのきんみょう~ちょうらい


毎年こう唱えながら目の前を通り過ぎていく白い行列、子供心に神聖なもの
を感じてはこの唱をいつの間にかそらんじていたのである。御山参詣が終わ
ると津軽は一気に秋が深まる。
iwaki2-1.jpg
画像はwikiから

長い間、そのお唱えの意味など気にしたこともなかったのだが母が亡くなっ
て帰国したある年、彼女が残した着物を妹と二人で整理しながら、3人で暮
らした子供の頃の思い出話の中にひょっと出てきたのがこの「サイギサイギ」
だった。

亡くなった母は津軽で生まれ育ち、60まで住んだ。その後は妹夫婦の住む
東京へ移り所沢の彼らの家を終の棲家とした。義弟も津軽衆なので、東京に
ありながら夕食時の食卓は、妹、義弟、母の3人ともが津軽の出ではおのず
と津軽弁が飛び交おうというもの。帰国したわたしも含め、特に母と義弟が
交わす津軽弁を聞くのは本当に懐かしく楽しいものだった。

その母が「ことすでに遅し」の意味でよく使っていたのが「イッツニナノハ
イださ」である。

はて?いったいこれは元来がどういう意味合いなのであろうかと妹とはたと
そのとき、疑問に思ったのだ。
たまたま、当時時折、我が母校の後輩で「サイホウ」さんと言う女性仏師と
メールのやりとりをしており、聞いたところ、これが元になっていますと教
えていただいのが下記。

懺悔懺悔(サイギサイギ)    過去の罪過を悔い改め神仏に告げこれを謝す。
六根清浄/六根懺悔?(ドッコイサイギ) 人間の感ずる六つの根元。目・耳
                   ・鼻・舌・身・意の六根の迷いを
                    捨てて汚れのない身になる。
御山八代(オヤマサハツダイ) 観音菩薩・弥勒菩薩・文殊菩薩・地蔵観音・
               普賢菩薩・不動明王・虚空蔵菩薩・金剛夜
               叉明王
金剛道者(コウゴウドウサ)  金剛石のように揺るぎない信仰を持つ巡礼を
               意味す。
一々礼拝(イーツニナノハイ)  八大柱の神仏を一柱ごとに礼拝する。           
南無帰命頂礼(ナムキンミョウチョウライ) 身命をささげて仏菩薩に帰依し
                     神仏のいましめに従う。

掛け念仏のカタカナの部分は津軽発音である。

どの方言もそうだが、津軽弁は特に独特のなまりが多い方言だ。
伊那かっぺいさんは津軽弁でライブをする人で有名だが、彼いわく、津軽弁
には日本語の発音記号では表記不可能な、「i」と「 e」の間の発音があり、
津軽弁を話す人はバイリンガルである、とさえ言っている。

わたしと妹が笑ってしまったのは「六根懺悔」が何ゆえ「どっこい懺悔」に
なったのかと、津軽人の耳構造はほかとは少し違うのであろうかとの不思議
にぶつかったのであった。
大人になったわたしたちにしてみれば、「どっこい」という言葉はなじみで
ありとても仏教の掛け念仏の一語になるとは思われない、なんで「ドッコイ」
なのよ~と言うわけである。

実は「さいぎさいぎ」も「懺悔」とはどうしても津軽弁の「サイギ」に結び
つかず、わたしは「祭儀祭儀」と憶測してみたのであった。
が、妹よ! ここ数日の検索で、ついに語源をみつけたぞ!

懺悔」仏教ではサンゲと読み、キリスト教ではザンゲと読む
の一文に出会ったのである。
「サンゲ」が津軽弁で「サイギ」、これで納得だ。

御山参詣は日本人の山岳宗教につながるものであろうか、修験者が霊山に登
るのが弘前に行事として定着したと思われる。

父と母、わたしと妹4人家族が住んだ桔梗野のたった二間の傾きかけた埴生
の宿の窓からは、見事な岩木山の美しい姿が日々仰げたものである。
Iwakisan_01.jpg
画像はwikiから

空耳で覚えていた子供時代の愛唱歌も今となってはいい思い出で、ふと思い
出すたびに笑いがこみ上げて来ては懐かしい人々の顔が浮かんで来る。
テレビがなかったわたしの子供の時代と違い、今では標準語に近い言葉遣
いをする地方は多くなったと思う。

しかし、正規の発音よりも300年も続いてきたであろう津軽弁の掛け念仏に
耳を傾けながら修験者を受け入れてきたお岩木さん、そのままが誠に似
合うようだとわたしは思うのである。

「さいぎさいぎ ドッコイさいぎ おやまさはつだい こんごうちょうらい
 イッツニナノハイ なのきんみょうちょうらい」

下町を歩いていく白装束と幟と、「イッツニナノハイ」と言う母の姿が浮か
んで来る。孝行したいと思えどおかあちゃん、「イッツニナノハイ(事すで
に遅し)」でございます。ハイ。

今日もブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今日の画像は全てwikiからです。

よかったらこちらもどうぞ。→「ねぶた祭り:50年前の再会」
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コメント
津軽弁
親戚が青森の人なので、津軽弁はよく聞いてました(^_^)祖母が秋田弁なせいか、半分位は理解できましたがやっぱり難しいですね。ネイティブは早口だし。懐かしいなと重いながら読んでました~。
2011/08/28(Sun) 21:04 | URL | なみ | 【編集
>なみちゃん

わたしも今純粋な津軽弁を聞いたらわからないと思います。

方言と言えば、関西弁もわたしはおもしろくてスキです。
なみちゃん、普段話すときは関西弁?
2011/08/29(Mon) 07:56 | URL | spacesis | 【編集
ハイブリッドw
げげ、今自分のレスみたら誤字が(^_^;)
大阪弁が多少は身についたのか、言わないとわからないと言われるようにはなったみたいです。でも自分では未だに抑揚が北海道弁出るなあと思ってますw
最近は「おおきに」と言わないで「ありがとう」という人も増えたりして、言葉だけは標準語化してるから違和感ないのかも?
ママは庄内弁でなくて津軽弁だったん?
2011/08/29(Mon) 09:14 | URL | なみ | 【編集
ひとりペドロウソスのゆふぐれにふるさとおもひ泪ぐむ‥ちごたかぁ
八戸や五所川原にも同じ字がありますが【桔梗野】とは‥ええ響きでございます。青森も素晴らしい字が多うございますね。【埴生の宿】もセンチメンタルな響き(=_=)外壁の端が崩れだし「木舞」の覗く佇まいが目に浮かびます。

訛り‥方言好きには堪りませんね‥漢字にすれば解り易いです、が。間違った発音に端折り中抜き小文字の省略?等々、面白いです。「ガニ」は「ガネ」や「ガン」とも。50年目の再会を拝見いたしました。画像は即クリックの癖があり拡大画像に面食らいつつも直ぐに判りました。誰の言葉かは忘却「小さい頃にあったものは大きくなってからもある」?雰囲気がクリソツでございました。
2011/08/30(Tue) 02:27 | URL | 夢想窓 | 【編集
>なみちゃん

誤字○本元でしてるのだから気にすることはなし(笑)

津軽弁大阪から帰った叔父の影響で高校時代以来話していないのです。同窓生にはわたしは関東出身と思っている人も多いみたい^^;

>夢想窓さん

冒頭は室生犀星ですね。懐かしいです。
「よしやうらぶれて 異土のかたいとなるとても 帰る所にあるまじや ひとり夕暮れに ふるさとしのび そのこころもて 遠き都に帰らばや」
どこか間違っているかも知れません。

そう思ったこともなきにしもあらずですが、意固地な思いは清算できました^^年月が解決してくれるものはたくさんありますね。

雰囲気、そっくりですか?(笑)50年前の自分をあの中に見つけるのにわたしは自信がありませんでした。
実際、妹のほうが当時のことをよく記憶しているのですよ。頼りないことで^^;
2011/08/30(Tue) 20:43 | URL | spacesis | 【編集
さいぎーさいぎ♪
はじめまして♪
突然失礼します。神奈川在住の津軽衆(青森市出身)です。

突然ある日頭に浮かんだ さいぎーさいぎ♪が気がかりでネット検索していたらヒットしました。
いろんな謎がいっぱい解けた気分。。ありがとうございます。
そういえば、岩木山神社ってちゃんと行ったことなかったなーとか・・しばらくゆっくり帰れてないなーとか・・いろいろ思うところありましたので機会を見つけてどっぷり津軽弁に浸ってこようと思います。

ちなみに、関東弁使いになってもう20年近いですが青森に帰ったら誰よりもネイティブな津軽弁使いですよ。
地元の特に若者は、びっくりするほど言葉がきれいになっていて寂しいくらいです。

またのぞかせてもらいますね。お邪魔しました。



2011/09/15(Thu) 16:14 | URL | みなみ☆ | 【編集
>みなみ☆さん

初めまして、津軽衆さん。
ハンドルネームからして、もしかしたら出身校が同じかもと期待したのでありました。

東北新幹線が青森まで開設され、関東からは3時間半ほどでお帰りになられますね。

岩木山神社、わたしも最後に行ったのは、はは、40年以上も昔になりますv-407
是非一度、津軽にご帰郷なさいませ^^

2011/09/17(Sat) 00:04 | URL | spacesis | 【編集
自分にも気になるサイギサイギ
岩木山に登りたい。
2014/05/12(Mon) 19:47 | URL | 室谷 英博 | 【編集
室谷
初めまして。

帰国しても故郷まではなかなか行けず、こうして懐かしく思い出しています。
岩木さんへは高校時代に一度学校行事でのぼりました。
室谷さん、弘前の方ですか?
2014/05/13(Tue) 10:50 | URL | spacesis | 【編集
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