2006年6月16日

今日の記事は長いです^^
しばらく前に、友人のゴッチが、「クラウディウのその後を知りたいなぁ」と
我がホームページの掲示板に書いておりました。
「うん、近々エピソードであげるね」と言いながら、今日まで書かずに来て
しまいました。
   
クラウディウと言うのは、わたしがポルトガルに来た27年前に出会った
野良犬です。
よもやま話13:我が友クラウディウ」に出てきますが、今日はたった
一枚あるその写真を載せましょう。
クラウディウ


側でビッタンコくっついて遊んでいるのは、当時2歳の息子、ジュアン・
ボーイです。
画像が鮮明ではありませんが、よく見ると、クラウディウの向かって右の目が
少しつぶれているのと、口元、向かって右に白い牙がかすかに出てるのが
わかるでしょうか^^
 
名前の所以も上記の「我が友クラウディウ」にありますが、とても皇帝の
名からは程遠い、臆病な犬ではありました。
庭無しの義母に家です、夜や雨 の日はこうしてベランダで休みますが、
日中は外です。これが義母との約束でしたからね。

ジュアン・ボーイはこんな風にして時にはクラウディウにまたがって乗ったり
するのでした。

この家での先輩は息子よりクラウディウです。
息子のお産でわたしが4日ほど入院した時は、ほとんどエサも食べず、
亭主とわたしの部屋のドアの前に座りこんで、叱られてもガンとして動か
なかったそうです。

退院してジュアン・ボーイを胸に、家の階段を上りましたら、その上で
クラウディウが尾を振って待ち構えておりました。
が、わたしの腕に抱かれている赤ん坊を見た瞬間、彼は悟ったのでしょう、
「あのちっちゃなものが、若奥さんの大切なものなのだ」ということが。
声をかけるわたしに擦り寄ってくるでもなく、スーッと席をはずしたのでした。
   
クラウディウのエピソードはたくさんありますが、なんと言っても忘れら
れないのは、「我が友クラウディウ」にある大晦日の出来事と次のハプニングです。

毎年夏になると、わたしたちは2週間をポルトガルの北部山中にある、ミネラル
ウォーターでも有名な Pedras Salgadas(塩っ辛い石の意味)と言う保養地で
過ごしました。
ここは空気もよく、プール、テニス場、そして子供の公園があります。
ホテルの広い公園一帯が自動車乗り入れ禁止になっており、安心して散策も
できます。
この年はわたしたち親子3人と(もいける娘はこの4年後に出てくるので
あります)、亭主の母も同行の休暇でした。

さて、クラウディウはどうする?
当時はさほど心配もいりませんでした。
もともとがバガブンドのクラウディウ、路上寝はお手のものです。
すぐ近くに住んでいる義兄に夜呼び入れるのを、日中のエサは近所の人にと
頼み、休暇に出かけました。

二週間後、夜8時ころに休暇先から帰って来、クラウディウを呼んだところが、
エライことになっておりました。
恐らくその日に起こったのでしょう、あちこち噛み傷があり出血して息も
絶え絶え!
荷をほどくのもそっちのけで、亭主はすぐ自分の病院と薬局へ走りました。

麻酔薬、注射針その他を買い込んで来た彼、呼ばれてやってきた義兄を助手に、
クラウディの傷口10数箇所を縫うこと、3時間!
何しろ、大事なタマタマちゃんまで、破れかかっておりましたです・・^^;
「んもう!いい歳して、きっと雌犬争奪戦に自分も加わったのね!
ったく、男ったらしようがないんだから!」と、
これには一段落ついて後の皆の大笑い。
   
さて、動物の回復力は素晴らしいものです。
わたしたちの心配をよそに、クラウディウは見る間に回復、傷も癒えて、
またいつもの生活パターンに戻りました。
これ以来、夏の2週間の休暇は、申し訳ないが義母が家に残ることとなった
のでした^^

それから4年、この間に我が家にはもう一匹、ルルと言う捨て猫がペットと
して加わり、もいける娘が生まれようとしていました。

義母の家はもいける娘が生まれることで手狭になり、わたしたち親子は同じ
通りの20数メートルほど先にある庭付きの古い借家へと引越しすることに
なりました。
ところが、家猫のルル、庭があると言うのに庭へ出るのを怖がり、死ぬ
までとうとう一度も庭へ降りることはありませんでした。
クラウディウに至っては、これでやっと自由に家で飼えると思ったのに、
なだめてもすかしても、これまた新しい住居の庭にはテコでも入ろうとしません。
結局義母の家で夜寝るという、これまでの習慣通りにすることにしました。

そんなある日のこと、保健所が再びやってきて2匹の野良犬を捕獲して行った、
そのうちの一匹がまたしてもクラウディウということが分かりました。
ドンくさいのです・・・
その日の夕方、亭主はマイア市の保健所へ出かけ、クラウディともう一匹、
この通りではお馴染の大型犬で、向かいの人が可愛がっている野良犬です。

このとき、初めてわたし達は、クラウディウを我が家の犬として登録する
ことにしました。
かなりの老犬だということで、もう予防接種も不必要だと言われ、翌日、
引き取りに行くことになりました。

翌日、亭主が引き取りに行ったところ、保健所の言うことには、夜のうちに
二匹の犬が入れられていた檻のドアが、何物かによってこじ開けられ、
犬の姿はなし。
してみると、クラウディと一緒に捕まったと言うお向かいのお気に入りのお犬、
いつの間にか、ちゃんと帰っているではないか!そんなバカな!・・・
夜中に保健所に忍び込み、檻のドアをこじ開けたのは一体誰か、一目瞭然。
それならば何ゆえ我がクラウディウも一緒に連れて来なかったのか。
人を恐れる犬でしたから、怖がって自ら逃げたのかも知れません。

その日から、わたし達は幾度も機会を見てはマイア市まで出かけて行き、
保健所のあたりを車でグルグル回っては、クラウディウの姿を目で探しました。
近所の人が、「あの辺りで見かけた、この辺りで見かけた」と言う話を聞いては、
出かけて行き、行方を探したものです。

その年の冬が来て、春が来て、夏が来・・・
いつしかわたし達は諦めてしまいました。
   
フランスの「ラ・フォンテーヌ」の寓話集に「狼と犬の話」があります。
   
骨と皮とに成り果てた狼は肥えた番犬に出会う。犬は狼に言う。
「一緒に来ないか。ずっと楽に暮らせるよ」
狼は一時の幸福を夢見て犬に従うが、ふとその首筋に禿げたあとを見る。
訊ねると、「なに、つながれている首輪のあとさ。」
「つながれて?それではお前は好きなところへ走っても行けないのか?
どんなご馳走ずくめでも、俺はごめんだ」
狼はそう言うなり逃げ去った。


クラウディウの思い出は、すっかり遠い懐かしいものになってしまいましたが、
その最後を思う時、わたしの胸は今でも痛むのです。
しかし、ラ・フォンテーヌの狼の話を思い出し、野垂れ死にもまた、自由で
あったことの代償であろう、と自分の気持ちを少し誤魔化すことにしています。
   
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コメント
三歳か、4歳の頃、
うちも犬がいました。
冬の朝、雪は赤く染まり、
両親は黙ったままでした。
野良犬が来て、喧嘩に・・・

子供心に、
「首輪さえ、鎖さえなければ、きっと逃げて、また会えたのかも」と・・・

クラウディウは、きっと自由を掴んだに違いない。
2006/06/17(Sat) 12:42 | URL | マー | 【編集
一匹の犬がこれほど人の心に残るなんて。。
写真を見て、クラウディウちゃんは
spacesisさんと出会えて、それはそれは幸せたっだと思います。
クラウディウちゃんの心にもまた
spacesisさん御家族の面影がいつまでもいつまでもあったに違いない。。と。

写真、よく残っていましたね。
少しつぶれた目も口元も、、
とてもとても愛おしいです。

2006/06/17(Sat) 18:32 | URL | syomin1 | 【編集
マーさん
幼い頃の動物との悲しい関わりは、大人に
なってもずっと心の片隅に残りますね。
わたしが生まれて初めて詩のようなものを
書いたのは小学1年生で、飼っていた子犬が
いなくなってしまった時でした。
その哀しみを文章に表しました。
後年、大人になって家族で思い出話になり、
この時初めて母から子犬がいなくなった訳を
聞かされました・・・
お金がなくて欲しがった人に売ったのだそうです^^;
そりゃぁ言えないですよね。
昭和20年代も終わり頃の、日本が全体に貧しかった時代の話です^^;
2006/06/18(Sun) 04:59 | URL | spacesis | 【編集
syominちゃん
「我が友クラウディウ」の続きをなかなか
書けなかったのです^^;
あの頃は、雨季の冬を前にしていましたから
「濡れてて寒かろうな」とそういうことを
考えて毎日メソメソしていましたっけ^^;

人間と動物の関わりにはこういう悲しい
思い出もありますが、syominさんが保護した
怪我ワン、「さくら」ちゃんのような素晴らしい
物語もありますもの!

犬のことを「man´s best friend」とは
ほんまやなぁ、と思います。
そして、さくらちゃんの話はわたしたち
人間にも大きな勇気と喜びを与えてくれますね。
ほんと、すごい!



2006/06/18(Sun) 05:08 | URL | spacesis | 【編集
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