2012年8月7日 

今日はペナ宮殿を次回に回して、ロンドンで今開催されているオリンピック
について感じたことを書いてみたいと思います。

「スポーツは観るのよりもするものなのよ」とうそぶくわたしですが、この
ところ、帰宅するなりテレビでオリンピック競技を観戦する夫につき合わさ
れて、仕方なく種々の競技の成り行きを目にしているのですが、オリンピッ
クも随分変わったなと思ったことのひとつに開会式の催し方と入場行進があ
ります。

これまで開会式をあまり観て来なかったせいもあるのですが、久しぶりに見
た入場行進、え?フィナーレの節だなと思われたのであります。隊伍を組ん
で進むことが「行進」と言うからにはもう「入場行進」とは言わないのだろ
うか。、各国の選手が適当にぞろぞろ進んで、行進に持ち込んだデジカメを
女王に向けたり観客席に向けたりと、なんだかなぁ。

これから世界一の技を競うのだと言う凛とした気概が見受けられず、だらだ
らしていて感動が沸かなかった。日本チームがデジカメなど持ち込まなかっ
たのがよかったと思ったものです。開会式のパフォーマンスも国家の繁栄、
威力を誇示したいのだろうが、余計なパフォーマンスは削ってスポーツ祭典
に絞った方がわたしは好きです。

大掛かりなパフォーマンスに気をとられ過ぎたからではあるまいが、今回の
オリンピック開会式ではインド選手団行進に関係者外の女性が紛れ込むとい
うハプニングのほかにもうひとつ、

オリンピック
インド選手団の先頭に混じって独りユニフォームを着ない女性が選手団
顔負けの笑顔で行進している。画像はwikiより。


日本のメディアではあまりとりあげられていないそうですが、我が国の選手
団の不思議なハプニングがあります。各国の選手団はトラックを一周した後、
真ん中のフィールドに入るのだが、日本選手団の一行は写真でご覧の通り、
途中で白い服のラインに遮られ、立ち止まって後、

オリンピック

退場させられています。
オリンピック
画像はwikiより

わたしはこの少し前に、日本の入場はまだだろうと、台所で夕食の準備に取
り掛かっており、再びテレビ画像に向かったときには日本は入場を終えてし
まっていた。真ん中のフィールドに紅白のユニフォームを目印に日本選手団
の姿を探したのですが見当たらなかったのです。行進参加した選手団の人数
も思ったより少なく、それで見つけるのが難しいのかなくらいに考えたので
すが、退場させられていたとは・・・
フィールドには国旗はありましたが、国旗も誰かに手渡して旗手も退場した
との情報です。

この日本選手団の不思議な退場に関しては現場の指導員のミスだとか、選手
団が胸にかけていた「東北の瓦礫で作られた瓦礫メダル」の二次被爆を恐れ
てだとか色々憶測が飛んでいますが、現時点では理由が判明しておらず、競
技開催後も不手際が目立つ今回のオリンピックではあります。

あくまでもわたし個人の感じるところですが、選手たちの隆々とした筋肉を
見ては、肉体改造で力を競っているような気すらして、世界新記録への興味
すら薄らいでしまいます。こんな風に感じるのは自分が古い世代だからかな?

これら近年のオリンピックの中でも、昔とあまり変わらず生身の人間の競技
が感じられるのがマラソンです。

マラソンは一度たりとも長距離を走ってみたことがある人は、それがいかに
過酷な競技であるかを知っていると思います。

わたしの高校時代は学校の恒例行事で女生徒は否応無しに全員5000mを
(男子は1万m)走らされましたが、単に走ることがこんなに苦しいことかと
このときの体験は生涯忘れるものではありません。あれは人生に似ている気
がしないでもないと振り返って思った大きな体験でした。

オリンピックの忘れられないマラソンが二つあります。1984年のロスア
ンジェルスオリンピックです。この年、わたしは4歳になる息子を連れて帰
国しており、大阪、堺にあるアサヒ・ビアハウスでの歌姫時代の先輩、宝木
嬢のお宅に帰国、数ヶ月居候していたのでした。

宝木嬢もかつてのわたしと同じように、日中はオフィス勤め、夜はビアハウ
スで歌姫に変身。居候中の日中、わたしは彼女の家で留守番役兼掃除係をし
ていました。

ある日のこと、オフイスで仕事中の彼女から電話で、
「テレビ観てる?マラソンでポルトガル人選手がトップを走ってるわよ!」
たいしてスポーツには興味がないわたしです、その日もオリンピックなどど
こ吹く風と鼻歌など歌いながら、宝木家の掃除やら洗濯やらをしていたので
すが、慌ててつけたテレビの画面から、おおお!競技場に今や入らんとする
カルロス・ロペスの姿が目に飛び込んで来ました!
やるじゃない、ポルトガル!37歳のカルロス・ロペス、この年は金メダル
を獲得したのでした。

わたしは、この時期、再びバイトとしてアサヒビアハウスで週に2度ほど歌
っていたのですが、オリンピック閉会後、常連仲間で○サヒ放送のK氏の話で
耳にしたのは、ポルトガルのカルロス・ロペスなど優勝候補に上がってもい
なかったので、どこも彼の写真を用意していなかった。故にメディアで使用
された写真はロペスのゴールを切るものばかりだったとの裏話。

この後、ポルトガルはソウルオリンピックの女子マラソンで優勝し世界記録
を保持するロザ・モタ(ポルト出身)というヒロインを生むわけですが、こ
れらにも増して、わたしが今でも思い起こすたびに胸が熱くなってしまう忘
れられない光景が、この年のロスアンジェルスオリンピックにあるのです。

それまでは女子マラソンはリスクがあるということで、オリンピック競技に
は入れられていなかったそうですが、この年、初めて女子マラソンが登場し
ました。なんの拍子でか、わたしはたまたま女子マラソンの後半を見ていた
のですが、競技のほとんど終わりのころ、会場に熱中症でふらふらになりな
がら入ってきた一人の選手がいました。その姿を見てスタジアムの観衆は騒
然、わたしは唖然。

オリンピック
画像はGOOGLEから

彼女は、先の一歩を踏み出すのもようやくのことで、今にも倒れそうです。
トラックサイドの係員が彼女を支えたが最後、競技からは失格です。それを
拒みながら、熱中症で重病人のようなスイスのアンデルセン選手は一歩一歩
とよろめきながら進んでいきます。会場の観衆は一丸となり彼女を声援しま
す。テレビを見ていたわたしも、がんばれ!がんばれ!と声に出して応援、
いつしかかわたしの頬を涙がつたっていました。

スタジアムに入場してからのトラック一周を意識朦朧とした状態でヨロヨ
ロ進みながら6分ほど。アンデルセンがついにゴールした時は会場は総立
ちで嵐のような拍手が鳴り止みませんでした。ゴールと同時にアンデルセ
ン選手は係員に抱きかかえられ、恐らく病院直行だったことでしょう。

このとき39歳だったアンデルセン選手(スイス)は、後日語っています。

「普通のマラソンならば棄権していました。女子マラソン最初の歴史的大
会だったので、どうしてもゴールしたかったのです。肉体は走ることをも
う諦めていましたが、わたしの意思が肉体を動かしていたのです。人は心
から何かを願えば殆どのことが叶うのです」と。

長距離マラソンは孤独との闘いです。このときの彼女の姿は、ヨロヨロに
なりながらも誰をも寄せ付けない自分との厳しい闘いに極限状態で挑み、
Never give upの精神を観衆に知らしめたのです。
人間てすごいなぁ、と30年近くも経った今日でも、あのときの感動を再度
感じずにはいられないオリンピックの一幕です。

この時は誰が優勝したか?それがです、このアンデルセン女子を覚えていて
もゴールドメダリストを覚えていない

youtubeでこの時の画像を見つけました。
あまり鮮明ではありませんが、どぞ。

  「1984年・ガブリエラ・アンデルセン 

そしてこちらは1964年東京オリンピックの入場の模様です。

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テーマ:ロンドン五輪
ジャンル:スポーツ
コメント
検索すればすぐ分かることですが、金メダルはアメリカのベノイトだったと記憶しています。
2012/08/08(Wed) 10:47 | URL | もと | 【編集
>もとさん

そうでしたか! 情報をありがとうござます。
メダリストがかすんでしまうほど強烈で感動的な女子マラソンのワンシーンでした。

勝ち負け関係なくこのような生身の人間が与えてくれるものを勇気と呼ぶのだと思います。オリンピックの醍醐味は記録じゃない、そういうことにあるとわたしは思っています。
2012/08/08(Wed) 19:40 | URL | spacesis | 【編集
全校マラソン
高校の全校マラソン、今でも変わらずありますよ。
開校以来、雨天中止は一度もなし!
今年も第50回がしっかり開催されました(^o^)丿
2012/08/08(Wed) 23:35 | URL | めごっこ | 【編集
>めごっこさん

おぉ、我が母校、すごいですね!
ひょっとして岩木山登山もずっと継続してるかな?

第50回と聞いてあれから開校半世紀が経ったのだとじみじみとした思いです。
一期生のみんな、どうしているかな?次回の帰国には次回の帰国にはと思いながら、2004年の初の同窓会出席からもう8年が過ぎてしまいました。

時々思い出しては母校のHPを覗いてます。もう一度、弘前を訪れたいなぁ。

めごっごさん、母校の情報をありがとうございます。
2012/08/09(Thu) 01:13 | URL | spacesis | 【編集
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