2012年9月18日 

スクーター
海岸沿いで見かけたペアのスクーター。
古い映画だが「恋愛専科」を思い出す。


本日のエントリーは画像に関係なしです。

これまで使ってきたパソコンが壊れてしまったのは今年の初めである。

そうそうpcが壊れることはないと侮って数ヶ月分のデータのバックアップ
を延ばし延ばしにしてきたのだが、その部分は消滅してしまったので堪えた。

新しく購入したpcがホームページ更新に何年と利用してきた「FrontPage
Express」に対応していないと分かり、それもショックだったが、なんとか
できないものかと思案しているのだが、以来ポルトガル案内のホームページ
サイトは更新できていない。

素人のわたしゆえ、データが消滅したと言っても大したことはないと思われ
がちで、夫も子供たちも意外と反応が冷たい。しかし、訪れたポルトガル国
内の地方の写真は我がホームページやブログのためだけではない。

この5年来、ヨーロッパ在住の会員に配られる、とある小冊子の雑誌記事を
書いているのだが、それには執筆だけではなく、なるべく質のよい写真も
要請される。毎回テーマを提出しゴーサインが出されて原稿を書き始め
るのだが、テーマ出しのために旅先で撮影した写真はいつでも取り出せる
ようにと保存してきたのである。ポルト近辺なら再度出かけて撮影が可能だ
が、遠方となると取材で足が出てしまうので、極力避けたいところだ。

データ消滅当初は慌てふためき頭が真っ白になったものだが、何ヶ月も経っ
た今、何とかなるさとやっと諦められる心情にたどり着いたのである。
ホームページをどうするか目下思案中だ。

それでこれまでホームページに載せてきた過去のエッセイを時間を見ては
少しずつ整理して書き直したりしているのだが、一旦あげたのを事情で削
除していたエッセイを発見した。2004年ごろに書いたものゆえ、古く
からのネット友はもう読んでいる人もいると思うが、今日はそれをここに
掲載しようと思う。これでこのエッセイに関してはデータが消えてもここに
記録されるので慌てることはないというわけだ

原題は「ポルトガルのジプシー」だったのだが、ジプシーと言う言葉は今
では差別語に属するとのこと、「ロマ」と呼ぶのだそうで、原題を変えて
みたが、エッセイ中ではそのまま使っている。

ロマに対する差別意識は大してないのをご承知願いたい。「大して」と書く
ところを見ると、多少はあるんじゃないすかと、すかさず言ってくるのも
いるので、断り書きしておきたい。

ヨーロッパで起こる事件にはロマが絡むものも多い。それで多少の恐れを
もっているのがわたしの気持ちだ。「恐れ」が差別意識に入るとは思わな
いがその部分を加味して「大して」を付け加えた。

以下、エッセイです。

ポルトガル式チゴイネルワイゼン

近頃では、交差点で見かけるジプシーがめっきり減った。

かつては、信号のある交差点は、ジプシーのいないところはないくらいで、
赤信号で停車ともなれば、たちまちにして男のジプシー、赤ん坊を抱いた
女のジプシー、子供のジプシーのいずれかに、「お金おくれ。」とせがま
れるのであった。

男のジプシーは、たいていA3くらいの大きさのダンボール紙にそのまま
「赤んぼも含めてこどもが5人いますだ。めぐんでくだされ。」
等と書いて、お金を入れてもらうプラスティックの箱を突き出してくる。

女のジプシーは、赤ん坊を腕に抱き、そのままニュッと手を出し、
「ミルク代、おくれよ。」と来る。
子供のジプシーにいたっては、これが一番タチが悪いのだが二人一組で
来る。車窓を閉めたままでも、小うるさくコンコン窓ガラスを叩き、爪が
黒くなった汚れた手をぬぅっと突き出して、
「ねぇ、おくれよぉ。おくれったらぁ。」としつこい。
「小銭持ってないから、だめだよ。」などと言おうものなら、腹いせに、
垂らしていた鼻水、鼻くそまで窓ガラスにくっつけて行ったりするのが
いるから、小憎らしい(笑)

子供たちが学校へ通っていた時は、毎日車で迎えに行くのが日課だったから、
行きも帰りも赤信号で停車となると、それが年がら年中だ。よって外出時に
は小銭を用意して出るのが常だった。

わたしには、顔馴染みのジプシーがいた。
いや、顔馴染みと言うなら、毎日通る殆どの交差点のジプシーがそうなる
のだが、このジプシーは言うなれば「ひいきのジプシー」とでも言おうか。
恐らく当時は30代であろう、男のジプシーで、かれらの族の例に洩れず目
つきはするどい。小柄でどこか胡散臭いのだが、なにやら愛想がよろしい。

言葉を交わした最初が、「中国人?日本人?」であった。
こう聞かれると返事をしないではおれない。「日本人よ。」
すると、「やっぱり思った通りだ。ちょっと違うんだよね。」
で、彼はここでニコッとやるわけです。
用心は当然するけれども、わたしはこういうのに吊られるタイプでどう
しようもない。

それがきっかけで、その交差点を通るたびに、「こんにちは。今日は調子
どう?」と挨拶を交わすようになってしまった。

我が家の古着や使わなくなった子供の自転車、おもちゃ、食器など不要に
なった物、たまには食べ物なども時々その交差点のあたりで停車して手渡
したりしていた。

たまに、その交差点に、かの贔屓のジプシーがおらず、別のジプシーを見る
ことがあって、そういう時は、おそらく縄張りをぶん捕られたか、縄張り
交代なのだろう。変わりに立ってるジプシーはたいてい人相が悪いのだ。

ある日、同乗していた、中学も終わる頃の息子が、そのようなわたしを
見て言うことには、
「ああやって小銭をもらって稼いでるジプシーには、借家のうちなんか
より立派な自分の家に住んでることがあるんだよ。」
「3日やれば乞食はやめられない」と日本でも言う・・・・
家に帰ってシャワーを浴び、こぎれいになっているそのジプシーの一家団
欒を想像してなんだか可笑しくって仕方がなかった。

息子はリスボンへ、娘はバスでダウンタウンにあるポルトガルの私立高に
通学するようになって以来わたしはそのジプシーに会うことはなくなった。

その間、東ヨーロッパの国々がEC加入し、気がつくといつのまにやら交差
点からは、小銭をせびるジプシーたちの姿が消え、代わりにポルトガルに
流れ込んで来た東ヨーロッパ人達が目立つようになった。
彼らは、「要らん!」と言うこちらの言葉にお構いなく、車のフロントガ
ラスにチュ~ッと洗剤をかけ、拭き始めるのである。そして「駄賃おくれ」
と来る。

「昨日、洗車したばっかよ!」と、頼みもしないのに強引にする輩には絶対
小銭を渡さない。しつこく手を出されても赤信号から青に変わるまで、わた
しは頑張るのだ(笑)それに、近頃は、もう交差点の輩には小銭をあげない
と、決心した。小銭を車窓で受け取り、うっかり落としたふりをし、運転し
ている者の油断をついて、ひったくったり脅したりの犯罪が増えてきたから
である。

先日、家の近くの交差点で、数年ぶりにかの「贔屓のジプシー」に遭遇した。
わたしが駆っている車種も車の色もあの頃のとは変わっているのだが、
即座にわたしを見つけ、「奥さん、久しぶり。お住まいこっちの方で?お子
さん達元気?」と来た。少しやつれている。歳をとったのだ。
閉めていた車窓を開けた。
「E você?」(で、あなたは?)助手席のバッグを引き寄せ、小銭を出して
手渡しながら、信号待ちの間のしばしの会話。
やがて、信号が変わりわたしは他の車の流れに乗って動き出した。
バックミラーに、車の発進でその身をグリーンベルトに寄せるジプシーの
少しやつれた姿が映って、それがあっという間に遠くなった。

世界広し言えども、「贔屓のジプシー」を持っている日本人などそうざら
にいるものではあるまい。夫は知らない。


ここからは事後談である。


2007年1月27日のブログ「ジプシーからよろしく」より。

近頃はあまり見かけなくなった交差点の物乞いの人たち。
かつてはいたる交差点に必ずと言っていいほどおり、殆どがジプシ
ーたちでした。
それが、数年前には東欧から流れ込んで来た人たちが占め、今は、
それぞれみな、なんとか仕事にありついたのか、それともポルトは
実入りがないと諦めて、別の土地へと流れて行ったのか。

昨日は出勤前に久しぶりに、わたしのくだんの「ひいきのジプシー」
を見かけました。車の窓を開けてコインを差し出し、赤信号で停車
するつかの間の会話。

    ジプシー「ちっちゃかった娘はどうしてるの?」
    わたし  「今、日本で勉強してるわよ。」
    ジプシー「へぇ。休みには帰って来るの?」
    わたし 「去年の夏に2年ぶりで帰ってきたの。」 
    ジプシー「日本は好きだって?ポルトガルよりいいって?」
    わたし 「そうね。多分^^」 
    ジプシー「娘に、教会の交差点のところによくいたジプシー
         からよろしくって言っといてよ。」

そう、前にもエッセイで書きましたが、ひいきのジプシーがいる
日本人なんてザラにいるものではありません。
が、ジプシーから「よろしく」なんて伝言をもらう「娘」もいない
だろうなぁ、きっと(笑)
今日はメッセンジャーで話したモイケル娘に、その伝言を渡しま
した。


エッセイを書いてから8年の月日が流れた現在、不況のせいであろう、再
び交差点に陣取る輩が増えた。が、最後に言葉を交わしたときは調子が悪
いのだと言っていたかのジプシーの姿をわたしはまだ見かけていない。
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テーマ:ポルトガル
ジャンル:海外情報
コメント
このお話懐かしいね
ロマの人達って、占いや踊り以外に何を商売にしているんだろう、とずっと思っています。定住しないのが彼らの伝統だったけど、国境で動けなくなったから、とあれこれ考えてみます。それにしても懐かしいってことは、私も歳を取るわけですね(^_^;)

話は変わりますが、ホームページ、ブログに移し替えちゃうってことも多いですよ~。
カテゴリ分けもできるし、更新も楽だし。HTMLやCSSが使えないと、今はソフトで更新もおぼつかないと思います。参考までに^^
2012/09/20(Thu) 20:23 | URL | なみ | 【編集
>なみちゃん

これ、2004年に書いているので、なみちゃんとも不夜城がらみで足掛け8年のネットのお付き合いということになりますね。一度もあっていないのが不思議!w

いまヨーロッパ共同体間は国境なしですから移行しようと思えば自由にできると思いますが、定住するロマが増えてきたのかもしれませんね。
定職をもつのはいないと思います。それで彼らが犯罪に絡むケースが多いのです。

HPのブログ移行案、ありがとう。実はもう考えているのですが、このブログと合併するか、別ブログにするか、もう少し時間をかけてみます。
2012/09/21(Fri) 17:31 | URL | spacesis | 【編集
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