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2006年7月2日
bugenbiria

★今年も咲いたベランダのブーゲンビリア

ポルトガルに定住してから、わたしは3度住所を変えた。

最初の6年間は、夫の母やその叔母達との同居。
息子はここで小学校まで育った。 

もいける娘が生まれることになり、同じ通りの同じ側、20メートルばかり離れた、
まさにスープの冷めない距離にある、築70年ばかりにもなろうかと思われる
3階建ての小さな庭付きの借家に移ったのが二度目の住所。
この通りは緩いカーブがかかっており、義母の家のベランダと玄関がその借家から
見えるのであった。

三度目の住所が、現在住んでいる4階建てのフラットで、これがどうやら我が
終の棲家になるようだ。
もう10年来寝たきりの義母の家から、遠く離れるのは何かと不便があるのと、
長年この通りに住んでいる日本人なので、こちらは知らなくとも周りは皆わたしを
知っている。いざと言う時には、言葉の問題で困るかも知れないわたしにとって、
これは安心感がある。
と言うことで、結局我が終の棲家もほとんど同じ通り、という事になってしまった。

昨日、土曜日の午後、義母の家に住む独身の義兄が、わたし宛のものだ、と
言って一通の手紙を持ってきた。
見ると、義母の住所のわたし宛になっている。
つまり、これは20年前のわたしの住所なのである。

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ーここから続きー

いったい誰が、と不思議に思いながら封筒にしたためられた筆跡に目を落としたが、
わたしはまったく覚えがない。
差出人を見ると、「青森県弘前市」と住所にある。
名前は「小○セイ」と書かれてあった。

弘前はわたしの故郷だ。脳裏をすぐかすったのが、高校時代の同窓生ではないか?
はやる思いで封を切り、その手紙を読み終えたわたしの心は、かすかに震えていた。
手紙には、
    
    6月22日、早朝5時のFM放送で、偶然あなたのインタビューを
    聞きました。
    南高校一期生の仲間として、とても懐かしく嬉しい思いで、高校
    時代の名簿から住所を探して、突然の手紙を書いています。


記憶の向こうから色々な名前がぼんやりと浮かび上がってくる。

わたしたちは第一期生であった。
団塊世代のわたしたちは、一クラスが45名ほどの全7クラスで、弘前南高校の
歴史はそこから始まった。
丸一年間、全校生徒320名ほどの一期生は、今でも名前と顔が一致しないことは
あるが、ほぼ全員の名前はうっすらと記憶の中に印刷されている。
写真付きの名簿を見ると、すぐに思い出すことができるのだ。

高校を卒業して以来、ほとんど故郷の両親の元へ帰ることがなかったわたしは、
長い間「行方不明」と名簿に書かれていたであろう。
その名簿に、わたしの一番最初の住所が載せられたのが、いつなのかわたしは
知らない。

弘前に住む叔父の双子の息子が、同じ南高校に入り、彼はPTA会長の役を担った
ことがあったのだそうだ。
その時に、何かの拍子で彼の姪が、いったいどこへ行ってしまったか、誰も
知らないわたしだと分かり、その叔父がわたしの住所を名簿に登録したそうである。
これは、ずっと後になって、わたしが叔父から直接聞かされた話である。

わたしは、数年前に36年ぶりで偶然コンタクトが取れた、京都に住む同窓生が、
わざわざコピーをして送ってくれた写真入の卒業名簿を開いた。

あった!32ホームルーム、小○セイさん!
わたしは36ホームルームだったが、あぁ、覚えてる覚えてる。

22日のラジオ出演はほんの5分ほど。しかも早朝5時で、FM東京である。
大阪の仲間からは、「FM東京は関西では聞けへんで」と言われ、わたしは日記に
ちょこっと書いたきりで、放送局に全国で聞けるかどうかを確認もしなかった。
これは、なんと言う偶然だろう。

20年前の住所に送られて来た、40年前の同窓生からの幸運な手紙を手にして、
わたしは、じ~んと熱いものがこみ上げて来たのだった。

モンテルランの言葉が、この手紙を通してわたしに囁く。

  人生を前にして、ただ狼狽するだけで、無能なそして哀れな
  青春。だが今、最初のしわが額に寄る頃になって得られるのが、
  人生に対するこの信頼であり、この同意である、
  相棒、お前のことならわかっているよ!」
  と言う意味のこの微笑だ。
  今にして人は知るのだ、人生は人を欺かないと、
  人生は一度も人を欺かなかった。


そう、生きてるってええなぁ、人生はええなぁ^^

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