2012年10月11日 

今日は途中から、少しオタク気味な記事になります。

週に一度、わたしがポルトガル語を教えていただくディアス先生は元高校で
ポルトガル語を長年教えてきた方です。我が東京息子、モイケル娘の二人
の子供たちもブリティッシュスクールに通いながら、小6くらいからディア
ス先生のご自宅に通い、毎週ポルトガル語を教わりました。

自宅塾に通う生徒たちのことは性格などもよくつかんでおり、今でも二人
の子供の安否を訊ねて気遣ってくれます。

ポルトガル語は子供たちの学校が退けてからですから、迎えに行きその後の
1時間を車中で待つのも当時はわたしの役割であり、今振り返ってみれば、
これにモイケル娘のピアノレッスンの待ち時間も入っていたのですから、
我ながら少しは頑張っていたものだと感心しないでもない(笑)

ポルトガルにいてなぜポルトガル語レッスンかと言うと、ブリティッシュス
クールにはポルトガル語の授業もあるにはあるが、国語はあくまで英語です
から、我が家の日本語を中心とする家庭環境の子供たちには、ポルトガル語
が不十分にならないかと考えたからのです。

そんな訳で二人とも高校を卒業するまでディアス先生のお世話になり、そし
て、近年、外国人には教えたことがないとおっしゃる先生に、ポルトガル語
は耳で聞いて学んできたので、あまりご無理はかけませんと、無理やり頼み
込んで母親のわたしが通っている現在です。

ディアス先生がその昔、ポルトの大聖堂横にあった寄宿舎に住みながら神学
を学んでいたということは、シンボルと宗教と人間のつながりに興味をもつ
わたしには大いに幸運なことと言わなければなりません。それらに関して自
分が調べてどうしても分からないと言うときには、テキストを放ったらかし
て質問をぶつけてみることができるからです。

さて、そこで昨日の授業では前回エントリーとして取り上げたソロモン王と
クモの質問になり、実は丸1時間以上、その話に終始したのでした。もう一
度その画像を↓

ブラガ・ボンジェズス

先生への質問は、まず自分で調べて更に不明なときです。今回の「ソロモン
王とクモ」についてのわたしの疑問は、クモのシンボルが何故ソロモン王と
共にあるのかですが、クモと古代の王との物語は意外と多いことに気づきま
した。

ブラガ・ボンジェズス


ソロモン賢王の父ダビデ王や、スコットランド王のロバート・ザ・ブルース
(礼拝堂内のミステリアスな装飾で知られるロスリン教会には彼の頭部が刻
まれている)がそれで、探せばもっと出てくると思います。

しかし、ソロモン王と関連付けて行き着くのはユダヤ教のヘブライ語聖書
(キリスト教では旧約聖書と呼ばれる)の中、11巻の「諸書」にある
「ソロモン箴言、第30章28」で言及されている、

「The spider taketh hold with her hands, and is King´s
 palaces」


直訳してみると、「クモは自分でつかまってぶらさがる?。そして王宮にいる」。

なんだ、こりゃ? 不可解な・・・・

箴言は人生の教訓の意味をもつ短い言葉で、金言、格言です。しかし、これ
ではなんのことか分からないではないか?そこで、その前後の文章に目を向
けると、30章24から始まっていることに気づきました。以下、直訳です。

30・24 この地上には非常に賢い四つの生き物がいる。
30・25 アリは力がないが、食料を夏のうちに備える。
30・26 砂ネズミはかよわいが、自分の家を岩につくる(?)。
30・27 いなごは王をもたないが、隊を組んで動く。
30・28 クモは自分でぶらさがり、王宮にいる(?)。


ざっとこのようなことが書いてあるのですが、せっかくの金言も意味不明
では格言にをならないではないか。最後のクモと王宮のつながりが特に分
からない。

そこで、ソロモン箴言だということが判明したため、検索を前の「ソロモン
クモ」から「ソロモン箴言」にしてみたところ、出てきた日本語訳が、

「30・28 ヤモリは手でつかまえられるが、王の宮殿におる」

あれぇ?!!!「クモ」が「ヤモリ」になって「手でつかまえられる」なん
て訳になってるぞ@@

そこでしつこくも英文で再度探ると、とあるサイトで

The spider (actually this is a lizard) works with its hands

にあたった。う~~む・・・クモとヤモリの共通点と聞かれれば、わたしな
どは「両方ともなんとなく気持ち悪い」なのだが他にもなにかあろうか・・・

こうなるとお手上げで、よし、実際旧約聖書に書かれてあるその箇所を見る
しかない。そこで、昨日はディアス先生の学習室では常に机の上に置かれた
聖書を目にしていますから、確認させてもらおうと相成ったのであります。

さて、早速まず先生に、カクカクしかじかでとお話するとふむふむとポルト
ガル語版旧約聖書(先生のはキリスト教聖書ですから)を開いてくれました。

おお、クモとあるではないの!

ところがディアス先生もう一冊の同じくポルトガル語旧約聖書を引っ張り出
してきました。すると「Lagarta」、つまり「ヤモリ(の種類)」と出た!
そして「手で捕まえられる」と続いているではないか。しかも、30・26
の「砂ネズミ」が「うさぎ」に変わっている。

いやぁ、もう参ったな。

元来はヘブライ語で書かれていた聖書である。例としてあげられるのは動物
は当時の舞台である砂漠に棲む物だというのは分かる。が、やがて聖書は
ギリシャ語に翻訳され、後にラテン語に、そしてそこから英語、スペイン語
ポルトガル語などに訳されて世界に広められたのです。

「砂ネズミ」は砂漠に棲む動物なので、今ならいざ知らず、昔は国によって
は見たことも聞いたこともない生き物の名前だというので、訳者が臨機応変
に入れ替えたのであろうか。

さて、ソロモン箴言については下記のような意味を、とあるサイトで見かけ
ました。

30:28やもりは手でつかまえることができるが、王の宮殿にいる。

王の宮殿にいれば、王よりも強い者でなければやもりを捕まえることができ
ません.けれども、もちろんそんな人はいません。私たちが王なるキリスト
のうちにいればどんな強者によっても捕まえられることはありません。


我がディアス先生の訳は「クモは自らの手で巣をはる。この知恵ある生き
物は色々なところに巣をはって家をつくることができる。例えそれが人が
おいそれと入ることができない王宮の中ですら。

言って見れば、誰も教えないのに、自分の住処として賢者の宮殿を選ぶ知恵
を持つ小さな生き物もまた賢者である、とでもなるのでしょうか。ソロモン
箴言30・28については、どうやら色々な受け取り方がありそうです。
しかし、いまいちわたしには、これらのどの解説もストンと落ちてこないの
です。

キリスト教から見た解説とユダヤ教からみた解説は違うことでしょう。それ
こそ真の原語をから解説してもらわないと分からないわけですが、原語って
あぁた、ヘブライ語ですぞ・・・ここで行き詰ってしまいました。

今回わたしが思ったことのひとつに、翻訳ってエライ仕事だなぁと言うこと
です。文化の背景を熟知していないと正確な翻訳はなかなかできない。

例をひとつあげてみると、村上春樹氏の著書にも使われているビートルズの
歌「ノルウェイの森」です。「ノルウエイの森」はタイトルからすれば北欧
の森を想像してしまいますが、ビートルズの原題は「Norwegian Wood」。

これは労働階級の人が住むアパートの内装に使われる安物のノルウエー木
材を指すのだそうで、日本側が意味をとり間違えた邦題にしてしまったと
のこと。森だと「woods」と複数になりますものね。

それでまさか?と思いながらも想像することは面白いので書いてみるですが、
「ソロモンとクモ」ではなくて、これはひょっとしたら「ダビデとクモ」で
はないのか?
なぜって、あの箴言のたったの一行に出てくるクモをソロモン王像のシンボ
ルにして後世に残すのにはちょっと無理があるように思われます。

が、ダビデ王とクモについては次のような言い伝えがあります。

ダビデ王はかねてから、クモは所かまわず巣を張る汚い生きもので、
何の役にも立たないと思っていた。ところがある戦いで、彼は敵に包囲され
逃げ場を失い洞窟に逃げ込んだ。そのとき、洞窟の入口で一匹のクモが巣を
張り始めた。敵兵たちは洞窟まで追いかけて来たが、入口にクモの巣が張
っているのを見て引き返して行った。(引用)


クモによってダビデ王は命を助けられたようなものです。
つまり、わたしが言わんとすることは、件のソロモン王像の作者はひょっと
してダビデ王と、その・・・勘違いをしてクモのシンボルをたくさん彫って
しまったのでは?・・・・

なんてことはないか(笑) 、ないですよね^^;わたしじゃあるまいしw 

でも、ヒットしたビートルズの「ノルウエイの森」の例からして、また聖書
の翻訳が結構違うのからして、ふとそんな面白いことを思ってみたのでした。

gato
箴言にネコはでてこないのかなぁ(笑) 台所の食器棚のてっぺん、人の手
の届かないところから見下ろしているクルル。

本日も長い拙ブログを読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、また!
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ジャンル:海外情報
コメント
国会議事堂を!
見下しました。いや、見下ろしました。
仕事で溜池山王へ。
26回の会議室、何気なく外を見ると、ビルとビルの間に
国会議事堂が見えました。
中心の特徴ある建物が眼下に。
生まれて初めて国会議事堂を見下ろしてみました。
ウクライナでは、お祝い事の服に刺繍を施してきるのですが、男性の服のデザインに、クモをデザインした刺繍がありました。
「忍耐力」「我慢強い」を象徴しているとの事でした。
ちゅうも服にあしらってみようかしら。
2012/10/13(Sat) 18:24 | URL | 本日一日遊びちゅう! | 【編集
>ちゅうさん

国会議事堂は次回、訪ねてみようと思っているところです。

クモは調べてみたら他にも色々ありました。奥方もご一緒した六本木ヒルズの広場にも異様なクモがあったの、覚えてます?
あれは世界各地に設置されイワクがありそうですね。

後でこのこと、ちょっとブログデ取り上げて見ようと思います。

遊びほうけてるのねん^^
2012/10/15(Mon) 18:41 | URL | spacesis | 【編集
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