2012年10月21日
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ポルト、ダウンタウンのアズレージュこと絵タイル

今日は我が大阪時代、男女100人ほど(うち女子は5、6人)が住んでい
た下宿ビルの20歳の頃の思い出話です。

津国ビル下宿屋には門限があった。シンデレラ・タイムの12時である。
それを過ぎると、例え前もって電話で「12時をちょっと過ぎるけど門を開け
といて~」と頼もうが、玄関は管理人夫婦が時間通りバッチリ閉めて開けら
れることはない。

いずれにせよ、門限時間まで遊ぼうとしたら、タクシーで帰れるだけの経済
的余裕が要るので、貧乏学生やわたしのように定職のないようなのが結構い
た下宿ビル、そういうことで締め出しを食うのはあまりいない。いたとして
も男の話であるからして、さほど心配にも及ぶまい。

と、言いたいところであるが、何を隠そう、女のこのわたしこそお仲間がい
たが実は門限破りの常習犯であったのだ。
しかし、一言言わせてください。それは遊び呆けてではなく、レストラン等
の宣伝撮影のためのバイトが理由である。

下宿にカメラマンの卵N君がおり、彼は副職としてこういう撮影の仕事をし
ており、照明やらなんやらのアシスタントがいる。わたしにこの話が回って
きた。ところがこの仕事、レストランが閉店してからでないとできない。
よって、撮影は夜10時半ころから始まり一時間半ほどで終わる。下宿屋に着
くのは後片付けも入るからどうしても12時を回る。

撮影場所のライトのあたり具合に小道具を使うので、わたしがそれを上に掲
げたり照明ライトを持ったりしてのバイトだ。大した収入にはならないが、
それでも生活の足しになる。撮影の話が来るたびわたしは引き受けたのだが、
問題は門限だ。

わたしの部屋は一階中庭に面しており、入り込む隙はない。が、運良くN君
の部屋は通りを前の、だだっ広い畑に面していたのだ。そこで、撮影がある
日は、N君、自分の部屋の窓の鍵をかけずにでかける。そして、仕事終了後
二人でタクシーで下宿屋の近くまで乗りつけ畑をざざ~っと横切って、手は
ず通り開けてある窓から入り込む、ということを、わたしたちは繰り返して
いたのだった。

あの頃は今のように物騒な世の中ではなかったからそんなことができた。
わたしなど後年自分のアパートの台所の窓は、愛猫ポチが日中自由に出入り
できるよう年中開けっ放しにしていたが一度も泥棒に入られたことはない。

さて、その夜も難波にある中華料理店の撮影を事なく終えて、いつもの通り
N君の窓から入り込む。
「お疲れさん、またあしたね」と言いもって、わたしは窓から入るときに
脱いだ靴を両手に持ち、抜き足差し足でN君の部屋のドアを開けた。
とたん、「こらぁーーー!」
なんと、目の前に怒声とともに、管理人のおっさんがつっ立っているでは
ないの!
「また、お前らか!一回や二回ならいざ知らず、何べんやっとんねん!」

これは完全に袋のねずみ、現行犯で何の言い訳もできない。もとより嘘を
つくのが下手なわたしである。現行犯ともなれば、もやは潔くするに越し
たことはない。

おじさんは、毎夜門限時間になると、下宿屋ビルの屋上から通りに面した
側を見張っておったのである。悪い趣味だぜ・・・

二人とも現行犯の写真を撮られたわけではないから、しらを切ろうと思え
ばできたやもしれない。なぜなら、若いわたしたちはしょっちゅう誰かの
部屋に集まっては明け方まで話し込んだりしていたのだし、それについて
は何のおとがめもなかったのだから。しかし、両手に靴を提げて、人様の
部屋に行くか?(^^;)

あっさり門限破りを白状したわたしたちはこっぴどく叱られ、以後すっかり
目をつけられて深夜に及ぶ撮影のバイトは終了になったのであった。

40数年も昔のことだがあの頃の下宿生は概してみなやりくりに貧して、
今のようにアパートに一人住まいするなど夢のような話ではあった。
しかし、3畳の自分の部屋を一歩出たが廊下でも食堂でも多種多様の人に
出会うわけで、若いわたしたちは気が合う合わないを別にして、3畳間の誰
かの部屋に集まってはその町にある市立大学の学生を中心に夜毎青臭い
議論を、先の不安な人生についての意見を交わしたものだ。

それはわたしの「それぞれ意見はあるが自分で考えてみよう」という姿勢を
持つようになった原点になっていると思う。若い時の議論は目を拓かされる
ことが多い。人は色々な意見を持っているものだということも学ぶ。

そういう議論を日本の若い人たちは今するのだろうか?してきたのだろうか
と、むやみに自己中心、我欲に固執する異様な事件が多い近頃の日本を見て
思うのだが。

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