2013年6月8日
 
今の若い人については、家を訪問したことがないので分からないけれども昔
のポルトガル女性のきれい好きは半端ではなかった。

現代と違い専業主婦がほとんどだったこともあるだろうが、それにしても、
と、その徹底さには感心を通り越して、そこまでやる意味がどこにあるん
だぃと時に反発を覚えたくらい、亡くなった夫の母や叔母たちは家の中を
ピカピカに磨いていたものだ。

台所にいたっては、本当にさっきまでここで料理し汚れた食器が重ねられ
ていたのかと思われるほど全て戸棚や食器洗い機に仕舞いこまれ、調理台
にはきれいなレースが置かれて、その上には台所に相応しい陶器の果物入
れや置物などが飾られるのだった。流し場には水滴ひとつ残さない。

3時間もすれば再び台所で料理をすることになるのだというのに、いい加
減な片付け方をしないのである。嫁いできた当初それには驚いた。

手伝いをと思い夫の母やおば達と一日中一緒に台所に立った日のこと、残
念ながら修練の足りないひ弱な我が両脚は大根のようにパンパンに腫れ上
がったものだ。

ピカピカに磨かれた家中の家具にはたいてい手製のレース編みのテーブル
センターやテーブルクロスなどが敷かれる。わたしがポルトに来た30年
ほど昔は、バスの中で、電車の中で、病院の待合室で、果てはいかがなも
のかと思われたが、公の場での、例えば郵便局、市役所などの窓口でさえ
も女性職員が暇を見てはせっせとレース編みの手を動かしていたのさえ、
目にしたのだった。

フランス語かドイツ語が第二外国語で、英語はその次の地位にあった。
言葉が通じない、容易に外出もできなかった当時、時間だけはたっぷりあ
ったわたしは日本にいた時は一度たりとも手に取ったことがない編み物の
かぎ針を手に持ち、本を頼りにレース編みの独学を始めたのである。

夫の母やおばたちに素直に教えてもらえばいいものを、わたしは何事も自
分で探求(笑)することをよしとするタイプ、何度も間違いほどいては肩
を凝らしながら少しづつ編み慣れていった。

根が大雑把なところもある性格が出てか、わたしは細いレース糸で編むの
はあまり好きではない。専ら太いのを使うのだが、出来具合は大きなもの
なので見た目にはなかなか立派に見えるのである。

レース編み
↑居間のソファの横にはいつでも編み物ができるようにこのかごが置いて
ある。が、ソファに座って休憩する時間も近頃はトンとない。

 
レース編み
友人の0ちゃんへのプレゼントにと編み始めてもう3年ほどになる^^;
こ、今年の夏は終えよう^^;


↓こちらは自宅用のテーブルセンター。まだ4分の3の網かけが残ったままだ。
これも足掛け3年ほど、ほうったらかしになっている
。 
レース編み

そうしていったい何枚のテーブルクロスを作ったことだろう。未だに我が家
で使用しているものもあれば、妹宅や友人宅に嫁いだ作品も多々ある。
が、近年はさっぱりそれができなくなって久しい。レース編みとて20年来も
使ってくるとさすが、ほつれて来るのもぼちぼち最近は出てきた。

さて、ここで我がお掃除のおばさんことベルミラおばさんの出番なのである。

日本から帰って来て時差ぼけの頭で、まだボーっとしていたある朝、その日
はいつもの通りベルミラおばさんがやってきた。掃除が始まりわたしはシャ
ワーを浴びて我が部屋にもどり何気なくチェストに目をやると、あれ!

レース編み

極細のカーラーレースで編まれた見慣れないテーブルセンターが敷かれて
ある。真ん中の布はリネンだ。ベッドのサイドテーブルにもお揃いのレース
編みが敷かれ、んまぁ、ベルミラおばさんのこれは仕業だ!

レース編み

数年前まではうちのすぐ側に長女の家族と同居していたのが、事情あって
長女一家と隣町マトズィーニュスに引っ越していった。モイケル娘が生まれ
る前から我が家に通ってきていたので、長年の付き合いで、よく気が利くし
陽気だし、何と言っても信頼できるのが心強い。

困ったな、どうしようかと内心思っていたら、電車、バスを乗り継いで1時
間半をかけて継続してくれると言ってもらったときは、本当に安心した。

小さな家ではあるが、週に2度ベルミーラおばさんが来てくれるのは何かと
助かり、わたしも安心して外で仕事ができるというものだ。この通勤時間を
利用して、電車を待ちながら、車内で座りながらと、手にもつかぎ針をせっ
せと動かしているのだそうだ。

レース編み

↑わたしの留守の間にソファ横のローテーブルにも、新しいレース編みが。

↓こちらもベルミーラおばさんの作品。ソファの背もたれにかけてあるのは
彼女にしては珍しく極太糸で編んでおり、聞けば、「あまりにも大きすぎて
気に入らない、ドナ・ユーコ、使ってよ」(笑)
レース編み

こんなことをしてくれるのは長年の付き合いもあろうか。嬉しい限りだ。
とまぁ、本日はベルミーラおばさんの作品紹介になった。

日本に帰国し、子供達のアパートに到着するなりわたしが最初にすることは、
「着いたばかりだから休んだら?」と半分迷惑がられながらもポルトガルか
ら持ち込んだ独特の金属タワシと布巾で台所を始め、洗面台、トイレ、果て
は部屋中のドアまで磨きまくることだ。

一度などは時差ぼけで寝付かれず、とうとう朝5時頃に起き出して洗濯機を
回すやらパタパタ拭き掃除をするやらしていたら、「眠れない!」と息子に
怒られた^^;す、すんません。
なにしろ小さなアパートだもの、さもありなん。そこでそんな朝は子供達の
衣服や布物などにアイロンをあてることにした。

こう書くと、いかにも子供達のアパートが汚らしく聞こえるが、一応きれい
にしてある。が、わたしの目からすると磨きが足りないように映るのである。
無理もない。息子も娘も専業主夫、専業主婦ではないのだからw

長年ポルトガルに住む間に、徹底した掃除の仕上げとまでは行かないが、
ふと気がつくと、昔のポルトガル女性の煎じた爪の垢の半分を飲みでもし
たくらいにいつの間にか片付け魔になっていた自分がいる。
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ジャンル:海外情報
コメント
素敵なお話ですね
始めまして

昨年ポルトガルへ行った折
ポルトガルのことを検索していたら
貴殿のブログに辿り着きました
その後、貴殿のお話が興味深くて
いつも拝読させていただいています

昔はポルトガルの女性も働き者だったのですね

明治生まれの祖母も昭和一桁生まれの母も
ポルトガルの女性と同じように
いつも手を動かしていました

それに引き替え、私の暮らしときたら
手仕事はおろか掃除も手抜きです

祖母や母の爪の垢は一滴も飲まなかったみたいです
2013/06/09(Sun) 15:40 | URL | 福だるま | 【編集
>福だるまさん

はじめまして。

常日頃、拙ブログを読んでいただいているそうで、ありがとうございます。

掃除も手仕事も、時間の余裕があってこそだと思います。でないと、体がもちませんもん。

掃除の行き届いた部屋は気持ちがいいものだと思う反面、行き過ぎるとホテルのようで生活感が感じられないのも嫌だな、と個人的には思います。

わたしも仕事が切羽詰って整理整頓がにっちもさっちも行かなくなった時は、
「家の中のほこりで死ぬわけでもあるまいから」なんて開き直りますよ。

これを機にブログでのお付き合い、宜しくお願いいたします。
2013/06/09(Sun) 17:19 | URL | spacesis | 【編集
この間!
テレビで、フランス(イタリアだったか?)の男と結婚した日本人妻が一番げんなりしているのが、旦那が掃除のチェックマンで、キッチンやその他の部屋を掃除後にチェックし、ホコリの一つでもあればやり直させると言う。アイロンもジーパンはもちろん、下着もアイロンを掛けてもらうと言う。それも特定の男だけではなく、その国の全ての男との事らしい。ハァ〜嫁がなくてよかった!
2013/06/10(Mon) 14:40 | URL | 一時間後お仕事開始ちゅう! | 【編集
ちゅうさん、おはようございます!

それはイタリアかもね

お姑さんがチェックするというのは分かるけれども連れ合いがというのは、その人、ちょっと行きすぎでっしょ(笑)

か、女性があまり掃除が上手じゃないか・・・(そう言えば、その番組、何か言って来てましたね、こちらにw)

アイロンあてについては一家言あるみたいよ。ここで書くと長くなるので今日はそれをブログエントリーにしてみましょうかw

お仕事が順調に入っている様子、いいですね。わたしも生徒がまた増えて忙しい~と嬉しい悲鳴をあげてます^^

がんばってまた日本へ帰りたいなv-290
2013/06/10(Mon) 17:10 | URL | spacesis | 【編集
今日のお掃除の話、読んでいてあぁそうだった、と(笑)。
思い立って今日は家中の壁を拭いて廻りました。。。

ポルトガルの家(特に一定の世代以上の家)は本当にきれいにですよね。掃除機をかけたとか、そういうレヴェルじゃない。もう隅から隅まで磨きこんであるという感じで。同世代の人の家は新しいし整頓してあるけれど、その親の世代の家のような磨き上げたきれいさとはちょっと違う印象です。食事の内容も随分変わってきていますし。やっぱり女性が忙しくなっている分、家事に手をかけられなくなっているのでしょうね。

↑のアイロンかけは、こちらに来てからもう掃除と同じくらい必須家事です。洗ったものはとにかく全部アイロンをかけてますもん。そうしないと肌当りが悪くて気持ち悪いのです。ポルトガルもきっとそうですよね。
2013/06/11(Tue) 00:48 | URL | 梨の木 | 【編集
承認待ちコメント
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2013/06/11(Tue) 18:38 |  |  | 【編集
>梨の木さん、

現代人の生活は女性と言えども忙しいですものね。子供達のところにいた間は、日本語の準備も授業がないし、パソコン作業もどうも落ち着かず、ほとんどそれに時間を費やすこともなし。TVもまず見ませんし、それでできることです。ほんとうに母親業というか家事専業と言うか(笑)

あれ?アイロンかけは、フランスにても同様ですか?
こちら、干しあがった洗濯籠に入れておくと何から何までアイロンがあたっちゃいますよ!v-404

2013/06/12(Wed) 07:02 | URL | spacesis | 【編集
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