2013年9月22日  

初めて飛行機に乗りわたしが外国へ行ったのは1975年、今から38年も
遡る6月に入る頃だった。男女合わせて7名ほどのグループで、銀行から借
金をしての一ヶ月のホームステイ英語研修だ。行き先はイギリスのケンブリ
ッジであった。

ケンブリッジ
Kings Collegeのキャンパスで同クラスのスイス女性ブリジットと

高校を卒業して以来、好きで英語を独学で勉強していたわたしは、当時話
題になった中津燎子氏が英語の発音体験を書いた「なんで英語やるの?」
の本を読み、それにいたく感心し自分の発音も少し改善できたらいいなと
密かにその本に書かれてあることを参考に、鏡を見て唇の形を作ってみたり
して発音練習を一人でしていたものだ。
ケンブリッジ
ケンブリッジ市のマーケットで

現代だったらYoutube等で生の英語を聞いて学習もできるが38年も昔の
ことだ。やがて本場の英語を耳にしてみたいという願望に変わり、勤務し
ていた会社の支店長と東京本社の上司に一ヶ月無給でいいと直談判し、会
社の寛大な懐と留守中我が仕事を引き受けるという同僚の協力を得ての英
研修だった。一ヶ月もの休職をしたのは、後にも先にも恐らくわたしだけ
であろうと思う。

ケンブリッジでわたしは「LとRの発音がおかしかったら訂正して欲しい」
とホームステイ先のイギリス人夫妻に念入りにお願いしたのだが、これが
実にやっかいなことになったのである。

日常、夫妻と会話をするごとに厳しく直され、わたしは何度も何度も発音
し直さなければならず、会話はしょっちゅう途中でとぎれる羽目になった。
もちろん、大して会話ができるわけではなかったが、それでも会話どころ
じゃあれへんで・・・

L、Rだけではない。わたしは専門に勉強したこともないのを承知で素人
意見を書くのだが、英語もポルトガル語も音を発声するときの口の形、口
内の舌の位置の関係で大いに違う。

よく違いとしてとりあげられる言われるFとVがあるが、これはなんとか
なった。が、簡単だと思われるch、sh、jだってtだって意識してみれ
ばなかなかに発音が厄介なことに気がつく。うっかりすると、つい日本語
式の発音になってしまいがちだ。と、偉そうに書いてみる^^;

L、R同様、Jの発音を昔、ポルトガルでしこたま訓練されたことがある。
古い我が日本語生徒の奥方であったが、わたしが日本語を教え、彼女がわ
たしのポルトガル語の発音を指導するという、言わば国際交流である。

彼女からOKが出るまで口の形、舌の位置をああでもないこうでもないと、
まるで壊れた蓄音機の如き。映画My Fair Ladyの1シーンを彷彿させる
一時期であった。

今日なぜこんなことを書いているかと言うと、ここからが本題だ。

しばらく前から気になっているテレビコーマーシャルがある↓


ポルトガルのインターネットプロバイダのひとつ、ZONの宣伝だ。
先だって偶然、テレビから日本語が聞こえてきたので「お?」と思い見た。
コマーシャルの内容そのものは別に大きな問題はない。その宣伝のタイト
ルがちょっとなのである。

008.jpg

「APOVADO」と書かれてあるが正しくは「APOVADO」で、
「承認済、許可済」とでも訳そうか。これはLとRの発音がきちんとでき
ない日本人を揶揄したものだ。あんまり嬉しくないわね、と一瞬思うと同
時に待てよ?

日本語の「らりるれろ」はRに近い発音だから正しい方の「APOVADO」
は何となくできるはずだ。わたしたちにとって難しいのはLなのだからこ
の揶揄はおかしいだろ!と、早速罪の無い夫に息巻いた。

ポルトガル人もHの発音ができないぞ。hana(花)が ana(穴)だ。
鼻濁音の「がぎぐげご」もできないぞ~と、大人気なくちょっとリベンジ
してみる。

話して行くうちに、わたしは中国語を知らないので確かなことではないが、
これは中国語の発音を揶揄しているのか? 中国人のRをLと発音する揶
揄はポルトガルでは昔からよくあったと夫は言う。だとすれば日本語も中
国語も混同したコピーライターは全く不勉強である。

わたしはこの宣伝が中国語を揶揄したのならいいというのではない。
先日の記事にとりあげた東京オリンピック決定に因んでフランスの某誌が
揶揄したFukushimaに関するイラスト
でも見られたことだが、こういう手
のものはユーモアの資質に欠けていると思う。

あの時、ユーモアの概念、ユーモアの意味を調べてみたのだが、こうある。

①相手の立場を思いやり、自分と相手を対等の階梯に置いて接する人にしか、
 ユーモアのセンスは持てないと言われる。

②人の行為、かかわりについての深い洞察や世知の豊かさが、上品でセンス
 のあるユーモアを生み出すことが多い。知的な要素が強い場合は機知と
 呼び得る。

③わたしが持つ日本語辞書には、
「上品なおかしみやしゃれ。知的なウィット、意思的な風刺にたいして
 ゆとりや寛大さを伴うもの。諧謔(かいぎゃく)=気の利いた冗談」

ブラックユーモアを解せないのかとの言葉をもらうかもしれない。そうい
うことをするなとは言わない。内輪同士、分かるも物同士の間で笑っている
間はまぁ、それもよかろう。だが、今回のZON、フランスのFukushima揶
揄ともに公に出されるものにはユーモアの対象者に対する偏見が伺われる。
表現の自由、発言の自由と叫ばれる現代だが、果たしてそれでいいのかと
わたしは問うのだ。

他宗教、他国に因んだユーモアには十分な教養と配慮が必要だと思う。

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ジャンル:海外情報
コメント
そういえば・・・!?
仕事でオランダ人の俳優に『ハイネケン』と言葉に出してとお願いしても『アイネケン』と最後まで正しくいえなかった。日本には、シャレやだじゃれ言葉はあるけど、外国でいう(特にフランスか?)ブラックユーモアにあたる言葉は日本にあるのかしら?
と、言うことでこの三連休でしっかり設定!
急場しのぎのノートブックでお仕事再開です。
2013/09/23(Mon) 17:50 | URL | 復活ちゅう! | 【編集
>ちゅううさん

オランダの人もHの発音が難しいのかしら?
日本語でのブラックジョークないかもよ、わたしたち日本人の性格からして^^
でも、今モイケルが勉強している狂歌というか諧謔?は日本のユーモアと言えるのかな?ほら、有名なのに、

白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき、

なんてあれも社会風刺のユーモアだものね。
そうすると、今思い出したのにこんなのがある!

ふたつ文字 牛のつの文字崩し文字 ゆがみ文字とぞ 君を思ほゆ

だったけな?ちゅうさん、わかりゃんす?うっふっふv-8
2013/09/25(Wed) 03:33 | URL | spacesis | 【編集
LもWもWhも 苦手で~す。
中津センセは2011年6月15日に他界しました。私、PCで中津燎子の検索(依存症なみ)しています。こんな所に読者を見つけて感激です。センセも猫キチでしたよ。私もです。
よろしければ、“バラと猫と英語びより”のぞいてくださいませ!バラ、猫、スイーツをこよなく愛した中津燎子先生のこと書いてます。
2013/11/24(Sun) 02:03 | URL | 中津弟子のひとり | 【編集
中津弟子のひとりさん
初めまして。
拙ブログまでお運びいただきありがとうございます。

当時わたしが手にした中津燎子先生(すみません。名前を間違っており、訂正いたしました)の書かれた本は衝撃的ですらありました。

今でもこちらにいて日常、簡単な英語を使うものの、若い当時努力した発音をうっちゃって、いつの間にか平気で日本語発音の英語になってしまっていますv-408

先生の「言葉の後ろにある文化を理解することなしに、言葉を学ぶことはできない」には全く同感です。日本語を教えながらつくづく感じる点であり、また、ポルトガル語を学ぶにおいても同様に感じております。

早速御ブログを訪問させていただきます。
2013/11/24(Sun) 07:12 | URL | spacesis | 【編集
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