2013年8日
  
「今年も残雪はガンの群れを率いて沼地にやってきました。」
と始まる椋鳩十の児童文学「大造じいさんとガン」はわたしの好きな物語
のひとつです。

日本国籍を持つ子供たちが通う毎週土曜日の日本語補習校にわたしも23年
ほど通って国語算数を受け持ちましたが、小学校5年生の教科書に毎年載せ
られていたのが、この「大造じいさんとガン」でした。

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左右の翼に一ヶ所ずつ真っ白なまじり毛を持っていたので猟師達から「残雪」
と名づけられていたガンの頭領を、狩人の大造じいさんが3年がかりで手に
入れるまでの話を綴ったものです。

普段、日本語の物語にあまり興味を示さない子供達もこの物語をわたしが朗
読すると、所々に古くて耳慣れない言葉が出てきても必ずと言っていいほど
のってきたものです。


たかが鳥と侮って罠を仕掛ける大造じいさんが、残雪の群れの頭領として
利口なのにやがては舌を巻いてしまいます。大造じいさんは毎年、残雪に
してやられるのです。

002-1.jpg

物語の山は、前年に大造じいさんに捕まり手名づけられて囮に使われた一
羽の仲間がハヤブサに襲われたのを救うために、頭領の残雪がその恐ろし
い敵に勇敢に立ち向かい闘う場面です。そして、ハヤブサとの闘い後、
残りの力をふりしぼって第二の敵である大造じいさんに対する、頭領とし
ての堂々たる態度です。

子供達はこの場面にくると、体を乗り出すかのようにしてじっと物語を聞
くのです。椋鳩十の文体もわたしは好きで、この場面では思わず朗読に力
が入ります。

daizoujisan.jpg

さて、前置きがこんな風に随分と長くなってしまいましたが、この物語を
日本語の中級レベルの生徒の教材に使ってみたのは随分前のことです。
中級用の文法を基本にした読解力テキストもある程度すすんでいくと、少
し中だるみがでてきます。

そんな時にわたしはこのような短編を導入します。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、向田邦子の「字のないはがき」もこのレベルで
取り上げますが、三作とも、リズム感があり、文章のシンプルな美しさに生
徒は大いに惹かれるようでした。

わたしも生徒と一緒に、日本文の素晴らしさを再認識する一時でもあります。

芥川龍之介「蜘蛛の糸」についてはこちらで綴っております→「閻魔ばさま

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