2013年12月8日 

役者、作家、ジャーナリスト、シンガーと好きな人は十指に余るが尊敬する
人となるとそういるわけではない。

その一人、南アのネルソン・マンデラが先だって亡くなった。
弁護士だったかれは反アパルトヘイト運動組織の指導者となり44歳で
投獄、27年後に釈放されたときは既に73歳になっていた。

釈放後、当時のデクラーク南ア大統領(後に二人は共にノーベル平和賞を
受賞する)と共に反アパルトヘイト撤廃に尽力し、ついには南ア初の全人
種参加選挙で、初の黒人大統領に就任するという壮絶且つ栄光の人生その
ものを歩んだ人である。(アパルトヘイトとは白人、非白人の人種隔離政策
を指す)

マンデラは齢をとるごとに、言いようの無い慈悲に溢れた顔になって行っ
たように思われ、テレビで見かける度に「この人は本当に慈悲深い顔をし
ている」と、よく夫に感想を漏らしたものだ。

マンデラに興味を持ったのは1992年に製作された映画「The Power
of One」と言う映画と併せて、その数年後に手にした原作372ページ
の上段に分かれて小さい字で編さんされた映画と同題名のブライス・コー
トネイ(Bryce Courtenay)本がきっかけである。

powerofone.jpg
ブックオフでたったの100円!どうしてこんな値段なの?と小躍りして
手に入れた大切な本の一冊です。2003年買い入れとメモがある。

日本にいると欧米はともかくとして、イベリア半島を含んでアフリカ大陸
の出来事はあまりニュースに取り上げられないような気がする。そのイベ
リア半島にあるポルトガルに住み着いてから、アフリカ大陸のニュースは
日常的に頻繁に耳に入るようになった。

アンゴラ、モサンビーク、ギネビサウ(日本語ではギニアビサウ)などは
かつてポルトガルの植民地であった関係から引揚者もポルトガル国内に多
く、自ずと話題に上るのである。

また、南アにはポルトガル人移民も多くいて、マンデラに関するニュース
は近頃ではその病状がよくポルトガルのテレビで発せられてきた。
夫とわたしの知人の中には南ア出身のポルトガル人もいて、アパルトヘイ
トの恐ろしい話を時に耳にすることもあった。

マンデラがした素晴らしいことは単なる闘争勝利ではなて、マンデラ大統
領誕生で議会を去ろうとする白人たちに共に国民統合政府を樹立しようと
呼びかけ、白人、黒人、黒人同士、カラード間の対立の解消是正を果たし
たことである。

アパルトヘイト政策は単に白人と黒人の対立問題ではなく、イギリス系白
人、オランダ系白人、アジア系(日本人も含まれた)、混血のカラードの
複雑な民族諸関係を規定する政策であった。

日本人については、1960年代の経済上の都合から「名誉白人」として
扱われていたと言うが、あまり名誉なことだとも思え難い。(アパルトヘ
イト政策に興味のあるかたは、ネットで検索できます)

南ア


1989年に見られた非白人に入域禁止を勧告する標識。こんな標識を目
にしただけでしかも、20世紀の終わり頃のものだと知って胸の鼓動が激
しくなります。

件の「The Power of One」はその複雑な差別政策をイギリス系白人の孤
児「PK」を主人公にして読者に見せてくれる。
ズル族の乳母に育てられたPKは孤児となりオランダ系白人全寮制学校に入
れられイギリス系白人だったがために凄絶ないじめを受けるが、ピアニスト、
ドクからピアレッスンを、そして黒人のピートからボクシングを教わりなが
ら寮でのいじめにより破壊された自信を取り戻し、やがてアパルトヘイトの
悪に目覚めて行く。

もちろん今でも人権蹂躙、ひどい差別に苦しむ人々が絶えない世界ではある
が、20世紀後半は差別撤廃と人権確立運動の時代であったと言える。

海外に出たり異国に住んだりすると、日本人たるわたしたちもひょっとする
と不平等に扱われたりすることがあるのではないだろうか。わたしもそのよ
うな体験を何度かしている。始めは驚きと恐怖、二度目には哀しい気持ちに、
三度目は怒りがこみ上げてくる。小さな差別でも人の心に落とす影は大きい。

昨今の人権を振りかざしてあれもこれもの要求には素直に納得し難いことも
あるが、「嫌いだ」と言う気持ちとは別のところで、差別意識がないかと自
分を振り返り戒めることは必要だなと、マンデラの訃報を耳にし、久しぶり
に件の「The Power of One」を手にしながら思ったことだ。

下記youtubeサイトではパート別ですが、映画を観る事ができますので
興味ある方はどうぞ。少し重いストーリーではありますが。



また、マンデラの映画はラグビーの世界試合を扱った「Invictus(敗れ
ざるもの」もあります。下はその映画の中で最も感動的な場面です。


こちゃは日本語版予告編。


マンデラ投獄中に反アパルトヘイト活動家として落命したビコの生涯を
描いた、デンゼル・ワシントン主演の映画、「Cry Freedom(邦名:遠い
夜明け」も検索すると出てきますので、興味あるかたはどうぞ。

最後に、「The Power of One」エピローグで出される言葉を。
In South Africa and around the world,
the struggle to gain human dignity
and equal rights for all people continues.

Changes come from the power of many, but only when
the many come together to form that which is invincible…
the power of one.

釈放後のマンデラの目指した改革がまさに白人非白人も共の「the power
of one」そのものであったと思われます。

ポルトガルはマンデラ死去に際し3日間の喪中を表明しました。

素晴らしい生き方を見せてくれてありがとう。
Rest In Peace, Nelson Mandela.

にほんブログ村 海外生活ブログ ポルトガル情報へ blogram投票ボタン
テーマ:考えさせられた映画
ジャンル:映画
コメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック
Click for Porto, Portugal Forecast 
ポルトガル ポルトの口コミ
ポルトガル ポルトの口コミ にほんブログ村 外国語ブログ マルチリンガルへ
にほんブログ村