2014年2月10日 

先週土曜日は図書館での日本語教室を終え、別クラスのポルトガル人生徒5
人を引き連れて漢字検定試験場である我が古巣、「ポルト日本語補習校」へ
行ってきました。

この学校で創立時の1987年から2009年の3月まで22年間毎週土
曜日に通いました。もちろん、わが子たち、東京息子もモイケル娘もです。

「土曜日の 補習校までの道のりは 母の説教 9年間」とはモイケル娘
の中学卒業時に残した短歌であります。
うちでの説教もままありましたが、補習校までの20分ほど、後座席に座
る彼らにそれとはなしに軽い説教をよくしたものでした。が、当のわたし
はどんな説教をしたのか覚えてはおりませんです、はい。

そんな古巣に足を踏み入れると、我が子たちのみならずそれまでの22年
間で受け持ってきたたくさんの子供達の顔も蘇り、少しジンと来ます。
これまでで最長年勤めたというので、学校を退いた後も一応顔パスで出入
りできるのですが、物欲しそうに見えるのも不恰好であり、年に一度の漢
検に生徒を連れて行く以外は顔を出しません。

ともに仕事をしたかつての同僚も現在何人かいますが、新しい人たちもお
り、行くたびに補習校から感じ取られる雰囲気は違います。時代が変わり
つつあるのだと思います。

さて、1時半から試験開始です。連れて行った生徒達が終了するまで補習
校が図書室として使用している教室で控えて待とうと椅子に座るや、すぐ
YY塾のパートナーでもあり補習校でも教えているOちゃんがやってきて、
「これを」と何やら、プレゼントらしきものを差し出されました。

誕生日でもなし、バレンタインデーでもなし、なんで?といぶかっている
わたしに、いつもお世話になっているからと言います。
断るのもなんですしねw、頂いて帰りうちであけてみると、おお!なんと
懐かしや、「カルヴァドス(Calvados)」ではありませんか!

calvados.jpg

ひぇ~、Oちゃん!
今でこそ、飲むものと言えば赤ワインかビールに落ち着きましたが、若い
時分は結構酒豪でいろんなお酒に手を出しました。日本酒から始まりウイ
スキーは全部ストレート、ブランディ、ビンごと凍らせて飲むドイツのお
酒シュナップス、そしてほろ苦い思い出がからむフランスのブランディ、
りんご酒のカルヴァドス。

ビールを好むようになったのは当時大阪の梅田新道にあったビアハウスの
老舗「アサヒビアハウス」で留学資金作りにバイトで歌うようになってか
らです。このビアハウスは現在も同じ場所にありますが改築されて同和火
災ビルという名もフェニックスタワーとなり、「アサヒビアハウス」も
アサヒスーパードライ梅田に変更されました。
店内も改築と同時にガラリと変わりましたが、アコーディオン演奏でビアポル
カのライブは今日でも火・木の週2回聴けるそうです。

さて、話をカルヴァドスにもどして。Oちゃん、なにかの折にわたしが話した
カルヴァドスのことを覚えていてくれたのでしょう。このお酒の名前を知る
きっかけになったのは20代に読んだレマルクの名著「凱旋門」でした。

nihongo

カルヴァドスは物語の最初の場面ででてきます。
フランスに不法入国し身分を隠して闇の手術を請け負ってその日暮らしを
して生きているドイツ人外科医ラヴィックがこれまた異国人でよるべない
端役女優ジョアン・マズーに夜更けのパリで出会う。うつろな表情の彼女
を放っておけず、タクシーの運転手達のたまり場のビストロへ誘う。


夜も遅いそのビストロで二人が注文して飲むのがカルヴァドスです。

今回改めて読み返してみようと手にとったのですが、記憶違いな部分や忘
れていた部分がたくさんありました。長い間、この本の舞台は第二次世界
大戦中のパリだと思っていたのですが、旅券を持たない避難民で溢れかえ
っている大戦勃発寸前のパリでした。

「凱旋門」は2度映画化されています。ラヴィックをシャルル・ボワイエ
ジョアンをイングリッド・バーグマン(1948年)が、 1984年には
アンソニー・ホプキンス主演ですが、どちらも原作には歯が立ちません。

最初のはメロドラマ的でわたしは途中で投げ出し、アンソニー・ホプキン
スのはと言うと、いい役者さんではあるけれど、「ハンニバル・レクター
のイメージが強烈でダメでしたw
光が消えた暗いパリ、人々の果てしない恐怖と絶望が渦巻く大戦勃発前夜
のパリを描き出している原作にはかないようがありません。

わたしは本の虫ゆえ、読書そのものは常にしているものの、若い時に読ん
だ多くの文学作品からは長い間ついつい遠ざかっていましたが、60も半
ばを過ぎた今、改めてそれらの文学作品を読んでみようと思っています。
Oちゃんのカルヴァドスがきっかけです。

そうそう、今回発見したことがもうひとつあります。カルヴァドスはりん
ごを原料にしますが、いわゆるアップル・ブランディーとは一線が引かれ、
フランスのノルマンディー地方で造られたもののみを指すのだそうです。

このお酒の名前を「凱旋門で」知って以来、20代の頃に勤めていた会社
の東京本社上司が頻繁に仕事でフランスへ行くのをいいことに、わたしは
その都度、当時国内では入手不可だったこのお酒を買ってきてもらったも
のでしたが、これがなんとアルコール度数40度だったとは!
こんなのを20代でちびりちびりと飲んでいた自分を思い出して、あはは
はは、ではあります。

ポルトガルに来て以来、アルコール度数の強いお酒といえば20度前後の
ポルトワインしか口にしてきませんでしたので、こんな強度のお酒は?
味は?と多少躊躇するところがあるものの、Oちゃんからいただいたこの一
本のカルヴァドス、過ぎし青春の日々に思いをめぐらしながらじっくり、
ゆっくり、この先の一生をかけて飲み終えようと思っています。

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テーマ:読んだ本。
ジャンル:本・雑誌
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