2014年9月7日 

今日は日本語教室の話です。

週末のグループレッスンや出張授業除いて、日本語を習いに自宅に通ってくる生徒さんは現在11人います。年齢層は広く、15歳から80歳まで。相棒のOちゃんとわたしのYY塾は文法を中心にひらがな、カタカナ、漢字を学んでもらうことが基本ですから、文法を理解してもらうには18歳以上が妥当かと思い、それ以下の年齢の人は受けないできました。きちんと日本語を学ぶならば、時間がかかるものの漢字学習は必須です。漢字が分からなければ日本語は読めないのですから。

が、ここ数年で日本語を学習したいという人の年齢がグンと下がって、13歳だが、14歳だができないかとの申し込みが増えてきました。日頃から日本語を耳にしているなどの日本語環境にいる日本語補習校に通う日本人の子供たちとは違い、外国人の子供に日本語を教えるのは実にたいへんなことだと思っています。日本語学習は、ポルトガルの子供が英語やフランス語を習うのとは訳がちがいます。第一、これといったテキストがありません。それに一週間に1度、多くて2度です。やはり13、4歳では難しさがあるでしょう。

子供はその環境に放り込めば数カ国語でも吸収できる、バイリンガル、トライリンガルにもなれるというのを耳にしますが、補習校講師と、母親として自分の子供たちの日本語教育にも多少携わってきたわたしの経験からすると、日本語に関する限り、親の協力が条件です。その条件が満たされて、所謂日本語を含むバイリンガル、トライリンガルが可能になると思っています。

そのような理由で18歳以下は引き受けないできたのですが、問い合わせが多いとちょっと気持ちが動くものです^^;13、4歳は無理にしても、それでは16歳以上を設定して、まずはうまく行くかどうかしてみようというので、近頃は16歳以上の希望者を引き受けることにしています。

さて、上限は?となると、これはもう、個人レッスンなら年齢制限は無しです。
我が家の生徒さん11人のうち5人は65歳以上で最高齢者は80歳です。しかし、グループ授業で60歳以上の生徒さんはこれまでの例からして、例外もいるでしょうが、どうしても遅れがちになり、止めていく人が多いのです。その点、その人その人の能力に合わせて進度が設定できるのが個人授業のいいところです。

さて、個人授業の生徒さん、80歳、最高年齢の生徒さんのアルフレッドさんの話です。

彼の日本語学習暦はかれこれ17、8年になるでしょうか。自宅外でわたしが初めて教えた、とある小さな日本語教室で出会ったのが最初です。その時既に60歳を少し越えていました。1年少しほどして、その日本語教室は閉鎖に追いやられ、その後、アルフレッドさんは夫人と一緒に、ポルトの自宅をそのままにして、娘さん家族が住むドイツへ孫の世話の手伝いに引っ越して行きました。

引っ越した当時は、メールや葉書で連絡を取り合っていたのですがそのうちに音沙汰が途絶えてしまっていたところ、二年前のある土曜日に、日本語コースを開いていた市立図書館の教室にひょっこり顔を出したもので、ん、まぁ、驚いたこと!

その日の出会いは下記に。
It´s been a long time

聞けば夫人が亡くなり、半年くらいずつ、ドイツ、ポルトを行き来している現在とのこと、そこで、もう一度日本語を教えてもらいたいとの申し出でした。ドイツにいた数年間は、親切な日本人のご婦人に文法はその方はできないので、わたしがお別れにとあげた日本の中学生の国語教科書を中心に、その他、原語で、つまり日本語で一緒に読んでいたのだそうです。

漢字検定試験は5級までパスしていますので、漢字の指導はしませんが、日本語中級の読解力テキストを中心に目下進めています。しかし、これだけでは飽きてくることもあり、間に時々、日本語での短編やエッセイを取りいれることにしています。

こういうときにわたしが取りあげるのは、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、向田邦子の作品、太宰治の「走れメロス」、翻訳物になりますが、O.ヘンリーの「二十年後」などなどです。「蜘蛛の糸」などは仏教も関連しててきますので、背景を説明するのにこちらもとても楽しい勉強になります。

少し、難しいかな?と思いながら今回取り上げたのが、中学2年生の国語教科書にある「平家物語:扇の的」です。

heikemonogatari

その教科書には、かの有名な冒頭部分、
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 紗羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。」
が、載せられていないので、そこから始めました。

現代文と古文とを照らし合わせての源平合戦屋島の戦い、那須与一が小船に揺れる平家方の扇を見事、射落とす場面ですが、アルフレッドさん、教科書にある鎧兜の名称についても質問してくるものですから、わたしも久しぶりに古文を勉強し直すと同時にやネットを活用して当時の平家方の衣装や日本古来の色彩の呼び名の勉強になり、さてもさてもいったい喜んでいるのは生徒か先生か、ではあるけれど、大いに楽し^^ 

heikemonogatari
ネットからのイラストも利用しました。

那須与一や平敦盛のエピソードは亡き母から昔話として小さい頃に聞かされていて記憶があるので、小難しい古文も何度も朗読して読み返しているうちに、なぁんとなく分かってきた、という高校時代のわたしではありました。

今回は教科書に載っている場面のみならず、那須与一のその後の説明を下のように試みてみました。

屋島のこの活躍にも拘わらず、与一は義経の手勢だったがため、合戦後、頼朝からの褒賞も少なく、頼朝の御家人だった梶原景時に、「忠義の侍とは、鎌倉殿のおんために射てこそ真の御家人。美しい女性が掲げた扇などを見世物のように射たとて、なんの自慢ぞ。武者の命を誰のものと思う。言語道断な」と、その誉れを罵倒されたとの話があります。与一はやがて出家し34歳で亡くなったとの説があります。

エピソード「扇の的」では、那須与一が見事、扇を射落とすところで終わるので、勢力を上げてきた源氏側の手柄話と捉えられがちですが、テキストにはできればこのことも余談として入れられていればいいのになぁ、与一のこのオチはいかにも「諸行無常」「哀れ」を語るではないかと思われるのですが、いかに。

とは、読後感としてアルフレッドさんと語りあったのでした。

本日はこれにて。

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コメント
扇の的を教材に使われて、
生徒さんも楽しんで学ばれているとはすばらしいですね。ポルトガルで、そんなに若い子どもたちが日本語に興味を持って、学校の勉強も大変でしょうに学びたいといってくれるとは、日本人として何だかうれしいです。わたしもまだ小学校1年生だった頃、イタリア人の姪が日本語を勉強したいというので、しばらく教えたのですが、残念ながら途中で放棄してしまいましたが、うれしそうに片仮名を覚えて自分の名前を書いていました。小さい子どもが日本語に興味を持つのは、やっぱりアニメや漫画がきっかけなのでしょうか。
2014/09/08(Mon) 05:13 | URL | なおこ | 【編集
なおこさん
コメントいただき、ありがとうございます。時々、そちらのサイト、拝見しております。

日本語学習に興味を持ってやってくる若い人たちの多くは、やはりアニメがきっかけのようです。それと留学希望者、日本で仕事をみつけたいという生徒も中にいます。ちょっと大変なんですけどね。
年配の方は日本文化への興味からですが、空手、剣道などの武道関係者も数人います。

でも、今回のような扇の的をなんとか読めるレベルまで到達する生徒さんは、アルフレッドさんともう一人、12年ほど勉強してきた30代の生徒さんがいますが、彼もきっかけは日本のゲームでした。

アニメ、ゲームはもうリッパな日本文化に定着した気がします。
きっかけがそうでも、学習が進むに連れて色んな方面から、自分ができる範囲内で日本文化を紹介できたらいいと思っています。

漫画などは、いったいどんな漫画に生徒たちが興味を持つのかと、わたしも読むきっかけになり、この歳で、楽しんでいます。


2014/09/08(Mon) 07:39 | URL | spacesis | 【編集
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2014/09/09(Tue) 13:29 |  |  | 【編集
英語、日本語、片言語。
50人ほど参加している企画会議でのお話。アメリカからいつも来る男性とは、まるで旧知の間柄のように親しく挨拶をする。でも、会話は長く続かないし、片言英語である。彼の住まいのあるカルフォルニアで最近地震があったので、大丈夫でしたかと聞きたかったが、どうしても「地震」=「Earthquake」の発音がうまく出来ないので、手をゆらゆら。で、OK?と聞いたら、即理解してくれました。年齢は40代後半、何となく気の合うナイスガイです。
2014/09/09(Tue) 18:51 | URL | まぁ!それなりにちゅう! | 【編集
ちゅうさん
身振り手振りで通じること、結構ありますね。それにしても企画会議で外国人も加わってって、ちゅうさん、国際的だね!その手の会議といえば、わたしゃ4年前のJapan Weekのポ語英語の市との会議でタジタジヘトへとになったのを思い出す・・・v-399

いやぁ、我ながら心臓もんだったわんv-408
あれで、わたしポルトガル語に対するクソ度胸がついたのであった^^

幾つになっても学べるのは嬉しいですね!
2014/09/09(Tue) 21:40 | URL | spacesis | 【編集
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