2014年10月30日 

影絵劇のボランティア活動を始めて今年は3年目になる。
ポルト市立図書館での上映を皮切りに、現地小学校の幼稚園部、知人がリセウの生徒達と開催する日本文化行事、隣町ガイアでの上映と、声がかかると時間が許される限り同僚のOちゃんと二人、出かけて行っては細々と続けている活動だ。今回は思い切って、その活動を「主催:YY影絵劇グループ」と名付けた。我らの日本語塾同様、YYはわたしとOちゃんの頭文字をとったのである。

せっかく手間隙かけて作成する影絵、できるものならもっと活動範囲をもっと広めたい気持ちがあるが、いかんせん、わたしはウィークデイも週末も日本語教室があるし、Oちゃんも子育てと日本語を少し教えるので、今のところそれは少し難しい。

年に一作は作成したいと、今年も先だってからとりかかっている。ポルトガル語翻訳とBGM選択は春の時点で既にできている。今回は佐野洋子さんの絵本から「100万回生きたねこ」をとりあげた。BGMにはラフマニノフの交響曲第2番からアダージョを選んでみた。約15分間のアダージョはゆっくりした朗読が上手い具合に当てはまり、素人選曲にしては上出来だと悦に入っている。

kagee

が、今回は背景に苦労している。読んだ人はご存知だろうが、王様猫の場面、サーカス猫の場面、夜更けの街を歩くドロボー猫の場面などだが、登場人物を影絵で映すので、背景を同じスクリーンに出すと絵が重なることになり、人物が映らない状態になるのだ。目下試行錯誤で実験しながら絵を切りぬいている。

kagee
 
本日はボランティア以前に前の補習校で初めて手がけた頃の画像を入れながら、自分のメモとしてここに書きとめておきたいと思う。

最初に手がけたのは、小学生のクラスのこどもたちとの作品で教科書から、星新一氏のSH作品「おみやげ」と言う作品だった。フロル星人の宇宙船が人類出現前の地球に立ち寄り、宇宙船の設計図やどんな病気も治せる薬、人類が平和に暮らすための方法を書いた本等、色々なものを金属製の卵型の容器に入れて砂漠に埋めて行くのだが・・・という話で、これを「宇宙人のおみやげ」と題して上映した。が、かれこれ20年も昔のことで、残念ながら画像は手元にない。BGMを使用しなかった。

2作目は、わたしが好きな絵本のひとつ、小野木学氏の「かたあしだちょうのエルフ」だった。
BGMは当時、毎週見ていたイギリスのTVミニシリーズ「The Flame Trees of Thika」の主題曲を自分が弾いた。このドラマは主人公がアフリカのケニアに家族と住んだ子供時代、子供の目を通してみた大人の世界、キクユ民族との交流の思い出を描いたもので、アフリカの自然が思い浮かんでくるような主題曲だった。下はわたしが持っている原作の画像。
theflametreesofthika

エルフと豹がもつれこんで戦う場面、子供達に任せてできあがったのが、何のことやら意味不明の場面で大笑いしたものだ^^; 残念ながら影絵の画像なし。

3作目は有名なシェル・シルバスタインの「Giving Tree」。りんごの木と少年、そして少年が老人になるまでの交流を描いた話だが、尽きることない少年への木の大きな愛情を美しく描かれた名作で、大人向けでもあると思う作品だ。BGMにはバッハの「G線上のアリア」を使用した。自分で言うのもなんだが、この影絵がわたしは大好きだ。
この頃から難しい場面は自分が切り抜くことになる。

kagee 

kagee

kagee
画面のシワは、白いシーツのシワだ。当時はそれを使って影絵を映し出しており、白黒だ。

4作目は「キョーリュー年代記」だが、3年前に保存が効くようにと、分厚い紙で切り絵作成をしなおして更にセロファン紙を使って背景も色づけてみあた。この時にそれまで影絵を映し出すスクリーンは白いシーツで間に合わせていたのを特注して大きな画面にした。下が3年前に作り直したカラー版だ。

kagee

影絵

地球誕生からキョウリュウの出現とその特徴、そしてキョウリュウの滅亡から人類誕生までBGMはスティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスが製作したアメリカアニメ「 The Land Before Time(リトルフット)」とテーマソングとダイアナ・ロスの「If We Hold on Together」の2曲を使用、素晴らしい音楽のおかげで、大人にも子供にも受けたようで、ポルトガル人の何人かの親御さんから「子供も喜んでいたが、わたしも久しぶりに素晴らしいものを見た」と褒めてもらい、その時はヒャッホーの気分でありました。上映していてとても楽しい気分になる作品だ。

kagee

5作目は日本の中学生の英語教科書にあった「子守歌」。これは広島の原爆投下の夜を扱った物語なのだが、この時は生徒たちと原爆について少し勉強した。

kagee

kagee

余談だが、この時初めてわたしは広島の原爆被爆者慰霊碑碑文の内容を知ったのである。
「安らかに眠ってください。過ちは繰り返しませぬから」

この碑文は主語がないことから論議を呼んでいる。「誰が」過ちをくりかえしません、と言っているのか、過ちとはなんなのか。原爆投下が過ちだとすると、投下したのはアメリカだから、そう考えると文の意味がおかしい。アメリカが「過ちはくりかえしませぬ」と言ったわけではないのだ。日本人を主語にするのも納得がいかない。

この碑文を作ったのは故広島大学の雑賀忠義教授だそうで、氏の見解は次のようだとある。

「広島市民であると共に世界市民であるわれわれが、過ちを繰返さないと誓う。 これは全人類の過去、現在、未来に通ずる広島市民の感情であり良心の叫びである。『原爆投下は広島市民の過ちではない』とは世界市民に通じない言葉だ。
そんなせせこましい立場に立つ時は過ちを繰返さぬことは不可能になり、霊前でものをいう資格はない」

う~ん・・・だって、「世界市民」て言われてもなぁ・・・『原爆投下は広島市民の過ちではない』これは事実だとわたしは思うのだ。教授の言う「世界市民」はどういう人たちを指すのかわからないが、その言葉が通じないとしたら、では、原爆投下は広島市民の過ちなの?と突っ込める。拡大解釈するにしろ、曖昧さが目立つ。

影絵の最後にこの碑文をあげようとして、色々考えさせられ、納得できなかったわたしは結局使用しないことにした。教授には「英詩入門」の著書があると言うから、英語が専門だったのであろうか。独学英語のわたしではあるが、英語では「過ちは繰り返されませんから」と言う風に人が主語ではなく「It」を主語にして言われるのではないか?さすれば、今のような大きな論議に至らなかったかも知れない。とまぁ、大した学歴もないわたしが思うことではある。

閑話休題、あだしごとはさて置き、この作品はもう一度手直しして、是非とも復活させこちらで上映したいと考えている。

6作目のかぐや姫は「キョーリュー」のカラー版で味をしめ、初めて和紙を使ってみた。
kagee

「かぐや姫」は、土曜日の補習校の中学生クラスを担当した時の国語教科書に古文の単元があり、「今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹をとりつつ、よろづのことに使ひけり。」で始まる竹取物語を、毎年11月に補習校で開催されたクラスごとの発表会に取り上げてみた。影絵作成の発表もさることながら、真の狙いは、影絵作成をすることによって、とっつきにくい古文に慣れ親しんで欲しいと思ったからである。

kagee

BGMはボロディンのオペラ作品「イーゴリー公」から「ダッタン人の踊り」と導入してみた。この作品はこれまでに4回上映している。和紙の美しい模様を映し出すにはまだまだ工夫が要る。和紙の裏側を水で少し塗らした布で擦ってみたり、カッターで削ってみたりと、これも試行錯誤中である。アドバイスをお持ちの方は是非ご意見いただきたい。
 
本日はこれにて。 
にほんブログ村 海外生活ブログ ポルトガル情報へ blogram投票ボタン
コメント
継続は力なり!
いやーっ、素晴らしい!画面といい、キャラクターといい、どんどん洗練されています。和紙ですが、そちらで手に入るかどうか分かりませんが、「雲流紙」を試してみるのも一考かと。
https://www.google.co.jp/#q=雲流紙
2014/10/31(Fri) 14:54 | URL | 明日から三連休ちゅう! | 【編集
あ、ありがとう^^;
本職のちゅうさんにほめられるなんて^^;

でもね、ちゅうさん、絵は絵本からコピーして厚紙に貼り付けて切り抜くんです。

もしかして、ちゅうさん、絵もわたしとOちゃんが描いてると思ってないかなぁとちょっと気になったのでありますわん^^;

和紙のサイト、週末に覗いてみます。
ただ今真夜中も回ったところで、明日の授業準備にとりかかっておりました。ではでは、ボア・ノイテ(おやすみの意味)
2014/11/01(Sat) 09:27 | URL | spacesis | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック
Click for Porto, Portugal Forecast 
ポルトガル ポルトの口コミ
ポルトガル ポルトの口コミ にほんブログ村 外国語ブログ マルチリンガルへ
にほんブログ村