2014年11月10日 「アヴェレーダ」の森とポルトガル歴史を少し(2)

はてな?と疑問を持ち始めると調べずにはおられない我が性分、今回もアヴェレーダの森を中心に話題はあちらこちらと飛びますが、関連することゆえ、ご辛抱の上、お付き合いくださいませ。

さて、この「アヴェレーダ(Aveleda)」の名前ですが、わたしが調べたところによると、古代ローマ帝国時代にゲルマン地方で多部族から崇められていたケルト民族の巫女、Veleda(ヴェレーダ)に因むそうです。

塩野七生氏の「ローマ人の物語」を読んでいる方は知っているでしょうが、紀元前一世紀、ガイウス・ユリウス・キウィリスを首領としローマ帝国に叛乱をおこしたBatavian(=ライン川デルタ周辺に住んでいた古代ゲルマン民族)一族は、周辺のケルト民族とも結束しました。この時、預言者として、初期の勝利を予言し彼に影響を与えたのがヴェレーダです。ポルトガルにはこの巫女(達)が作ったという伝説のAveledaと言う小さな村まであるのが面白いところです。

16世紀に遡る歴史をもつキンタ・デ・アヴェレーダは庭園を別に、120ヘクタールの葡萄園を備えています。わたしが訪ねた目的は庭園にあるといわれるマヌエル建築様式を見たかったためでした。マヌエル建築様式の窓は「Janelas Quinhentistas(ジャネラス(窓)・キニェンティスタス(1500年代=16世紀)とも呼ばれますが、こんもりとした森の中にポツンと置かれています。散歩の休憩所として使われたのではないかと推測しています。

quinta_aveleda

この小さな石造りの「窓」はエンリケ航海王子が生まれたCasa do Infanteと呼ばれる建物の一部だったと言われています。Infanteとはエンリケ航海王子のことで、後日、そこを案内しますが、この建物は14世紀から17世紀にかけて建築されました。その間何度か改築されていますから、建物の一部がここに移動されたという話も理解できるというものです。
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案内の女性が夫を含む他の3人を連れて通り過ぎるのを横目に、これが目的だったわたしは「マヌエル様式の窓」の中に入ったりして内外部から写真を撮り。ふと窓の前方にある石のテーブルと椅子に目が行きました。ここは歴史的に曰くのある場所だと言うことは、昨日判明。

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ガイドさんは説明してくれなかったのですが、ここには「1901年10月にルイズ・フィリペ王子の教育責任者であり、海軍中佐であったMouzinho Albuquerque(モウズィーニュ・アルブケルケ)が王子とこの場所で昼食をとった」との表記札がありました。彼はアフリカ戦争における英雄と崇められました。1898年までモザンビーク総督で、19、20世紀のポルトガルで非常に尊敬された人物とされています。ここでの昼食の翌年1902年に中佐は自殺、或いは殺害と歴史の本にあります。

この時代はポルトガル王朝終焉の時代でもあります。

Mouzinho Albuquerqueが教育を授けたルイズ・フィリペ王子は父王ドン・カルロス1世の王位後継者でしたが、1908年2月1日に父王、その他の王族達と生地アレンテージュ地方のVila Viçosa宮殿からリスボンへの帰途、馬車で市内のコメルシオ広場を通りかかった際に、反王制派の二人の共和党員に襲われます。ドン・カルロス国王は即死、フィリペ王子は重症を負い、20分後に死亡。

故に「即位していた時間が世界で最も短い王」とされます。ただし、正式な即位式に就かなかったのでこのあたりは断言できないところがあり、系図にはフィリペ王子の国王名は掲載なく、弟のドン・マヌエル2世が王位を継ぎ、ポルトガル王国最後の王となります。これについてはペナ城ですでに書いていますのでブログ後述にて案内)


フィリペ王子は享年20歳。芸術の造詣も深く若くして文武両道に秀でており、この前年にはポルトガル王族で初めてアフリカ植民地を訪問しています。

或いは既に命を絶つことを覚悟していたかもしれないモウズィーニュ・アルブケルケ中佐と王子が、アヴェレーダの森の石テーブルに着き、昼食を取りながら、或いは森を散策しながら、一体どんな話をしたのか、興味深いことではあります。

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森の中にあるファシャーダ(紋章つきの表門) 森にある礼拝堂の窓。
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森の中の小さな小屋。既に紹介したシントラの「エドラ伯爵夫人のシャレー」に似ている。

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小さな池に浮かぶ面白い小屋。屋根に乗るわら人形が何を意味するのか、まだ不明。

「華麗なるペナ城、最後の住人」はこちら

「シントラ・エドラ伯爵夫人のシャレー」はこちら

本日はこれにて。アヴェレーダ、次回はワインケーブです。
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