2015年6月10日

今日は「ポルトガルの日」で休日です。
わたしがポルトガルに来た30数年前の昔は、「Dia de Camões=カモインスの日」と呼ばれいましたが、正式には「Dia de Portugal,de Camoes, de Comunidades=ポルトガルとカモインスとポルトガル人の日」と言う長い名前です。

カモインスとはポルトガルを代表する16世紀の大詩人、「Luis de Camões」のことで、この日が彼の命日であることに因みます。今日はその詩人について、過去にも案内していますが、書きます。以下。


首都リスボンを含む、「エストゥラマドゥーラ・リバテージュ」地方は、ポルトガルの政治経済の中心地です。

この地域には、イギリスの詩人バイロンをして、「エデンの園」と言わしめたシントラ、猟師達の独特な模様をしたシャツで知られる伝統的な漁村「ナザレ」、王妃が愛した城壁に囲まれる小さな小さな町「オビドス」と、訪れてみたい所は数えあげればきりがなく、この地方はポルトガルの宝石とも言えるかとわたしは思っています。

さて、この地方に観光客をひきつけるもうひとつのハイライト、それがユーラシア大陸の最西端と言われる「ロカ岬」(Cabo da Roca)です。

北緯38度47分、西経9度30分、海抜140メートルの断崖のロカ岬は、海に臨んで、頂上に十字架を掲げた石造りの碑がぽつねんと立っているばかり。石碑には、「ここに陸尽き、海はじまる(Onde a terra se acaba e o mar começa」の文字がポルトガル語で刻まれています。
   
ロカ岬は、まさにユーラシア大陸の地の果てであります。前方にはただただ亡羊と大西洋がひろがり、打ち寄せる波の音と吹き付ける風の音のみが、最西端の名誉を孤高として守っているかのように思われます。

冒頭に掲げた石碑に刻まれている言葉は、ポルトガルの国民詩人、ルイス・ドゥ・カモインスの書いた詩の一節からとられています。カモインスを抜きにしてポルトガル文学は語れません。また、「Os Lusíadas」(ウズ・ルズィアダス=ルズィターニアの人々、ポルトガル人の古い呼称)を抜きにしては、カモインスを語ることはできないのです。 

「Os Luíadas」はポルトガルを代表する16世紀の詩人カモインスが書いた9000行からなる大叙事詩です。バスコ・ダ・ガマの偉業を讃え、ポルトガルの大航海時代の歴史を謳いあげたものです。叙事詩集は10章に分かれており、先の「ここに陸尽き、海はじまる」は第3章20で謳われています。ちょうど我が家に素敵な装丁の「Os Lusíadas」があったのでその箇所の写真を載せて見ます。

Os Luíadasの本

       os lusiadas
       美しい装丁が施された限定版の本です。 
camoes_livro.jpg  
        各章ごとの歴史にちなんだイラストが内装もカラフル。

os lusiadas
                  第3章20の扉

     os lusiadas
          20(XX) 上から3行目。

   「Onde a terra se acaba e o mar começa 」 「ここに陸尽き、海はじまる」とある。
     os lusiadas


「Os Lusíadas」 は膨大な叙事詩で、ポルトガルの学校では全編ではありませんが、必ず読むことになっています。わたしは今のところ、本を開いては美しい装飾に目を奪われるのみで、残念ながらまだ読んでいません^^;ロカ岬の案内所では有料で「ユーラシア大陸最西端到達証明書」を発行してくれます。古典文字で書かれており、carimbo(カリンボ)と呼ばれる蝋(ロウ)印が押されます。現在では日本語もあるようです。

さて、カモインスについて。

15世紀の冒険家Luis de Camoes(ルイス・デ・カモインス)カモインスの伝記は謎に包まれている。いつどこで生誕したかも不明である。そして、芸術家の多くがそうであるように、カモインスもまた、生存中はあまり名の知られた存在ではなかったようだ。

当時の知識人と比較しても該博な知識を持っていたらしく、コインブラ大学で聴講したという話はあるが、その知識をいつどこで身につけたのか明らかではない。

またカモインスは無類の冒険家であり、恋多き人でもあった。リスボンでは傷害事件で投獄の憂き目にあったり、アフリカ、東洋を廻り難破にあったりもしている。

カモインスは片目だが、15世紀初期、北アフリカのセウタでムーア人と戦った際に右目を失ったと言われている。

os lusiadas
Wiki より

「セウタの戦」とは、ドン・ジュアン一世の時代でポルトガルの大航海時代の扉を開くことになる戦いである。王の3人息子、ドアルト王子、ペドロ王子、そして後、トマールのテンプル騎士団修道がキリスト騎士団修道院に改名した時にその騎士団のマスターとなり、航海王子の異名をとることになる三男のエンリケ王子も参戦した。この様子は、ポルト、サン・ベント駅構内のアズレージュ絵に見られる。

azulejo_saobento.jpg

もうひとつ、付け加えるならば、ポルトの有名な伝統料理「Tripas」はこの「セウタの戦」に由来する。 (これについては下記の案内からどうぞ) 
            
恋と冒険とそして貧困のうちに、ポルトガル文学の偉大な遺産「Os Lusiadas」を残し、1580年6月10日、カモインスはその生涯を閉じる。毎年6月10日は、カモインスの命日を記して「ポルトガルの日」とし、この日は祭日になる。

最西端のロカ岬は、訪れる観光客の浪漫的な予想からは遠く、波打ち寄せ風吹きつけ、大航海時代の栄華のかけらも今は見えず、ただ荒涼としているだけである。それでも、石碑に刻まれたカモインスの一節に、いにしえのポルトガル人の果てしない未知への冒険心をかいまみる。

★ポルトびと、その名はトリペイロはこちらにて。→http://spacesis.blog52.fc2.com/blog-entry-1167.html

本日も読んでいただき、ありがとうございます。


にほんブログ村 海外生活ブログ ポルトガル情報へ blogram投票ボタン
コメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック
Click for Porto, Portugal Forecast 
ポルトガル ポルトの口コミ
ポルトガル ポルトの口コミ にほんブログ村 外国語ブログ マルチリンガルへ
にほんブログ村