2016年10月3日  

この10月から、グループ向けの日本語教室はポルト市立図書館に移動しました。これまで教えてきた生徒たちも引き連れて、初級コースと中級コースを新たに開講しての出発です。

ここ数年、相棒のOちゃん宅の広いリビングを彼女と二人で教室代わりに利用してきたのですが、そのOちゃん一家が夏に引越しと相成り、教室がなくなってしまったのでありました^^; 新たに場所を探すにも、多くが夏休みになっており、時期が悪い。

しかも授業料は格安になっているので、私設の教室など借りたら足が出るやもしれません。ふと思い出したのが、「そうだ、図書館でのコース、5月開講申請をしていたのが、7月以降でないと教室が空かない、というので、申請にはゴーサインが出ていたのを思い出し、係の人にコンタクト。

ついでに中級コース開講もと申請したのですが、これがなかなか手間取りました。中級クラスには8人ほどいるのです。ここまで学んできて「教室ないからお仕舞い!」はないでしょう。生徒たちは私に取りもはや我が子のようなものですし、元はと言えば、このクラスは図書館の初級授業から始まったのです。

そんなこんなで、いつもなら九月初めには始めている日本語教室の目どが立たずジクジク胃痛が始まりつつあったのでしたが、先週木曜日にやっとゴーサインが出て、昨日開講に漕ぎつけました。ハレルヤ!ホンマにもう、誰のせいでもないけれど、焦ったで~。

今年は夏に入るなり、上述の教室の問題を始め、私生活ではちょっとした変化があったのでした。

30年以上も我が家に通ってくれたお手伝いのベルミラおばさんが、のっぴきならぬ事情で辞めなければならず。人の出入りが多い我が家です、出張日本語の仕事もあるので朝から家を空けることなどがあり、全部家事をやりきるのにはかなりの体力が要ります。今のわたしの年齢では無理が出る。お手伝いさん、必要です。

が、今時、家の鍵を預けて出かけるほど、信用がおけるお手伝いさんは、そうそういるわけではありません。
運よく、つてを得て、同じ通りに住む女性を夫が探し出してくれました。わたしが午後授業で家にいる日に、様子見として、しばらく彼女に来てもらうことになり、こちらもなんとか見通しがつきました。

おっと、今日のトピックと関係ない話が続きましたが、さて、今、老齢の生徒と学んでいる「百人一首」、これが今面白くてしようがない!

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今年の春だったか、少し値段がはるのとハードカバーで重いので送料も気にはなったのだが、思い切って日本に住むモイケル娘に送ってもらったのが、写真の本「百人一首」です。副題に「ねずさんの日本の心で読み解く」とあります。ここが大事なところなのだと、読み始めて分かりました。

古典をきちんと学んだわけではないのですが、高校時代から日本語の美しいリズム感が好きでしたから、古文や短歌が授業でとりあげられると、暗記してソラで言えるのが嬉しく楽しみでもありました。日本語学習者の年長者には、古文、短歌に興味を持つ人が二人いるので、機会をみては授業でとりあげます。

その一人、我が日本語塾生の最年長者、85歳のドイツ系ポルトガル人のアルフレッドさん。すでに何度も日本へ行ったことがあり、2年前には、わたしが歩いてみたいと思っていた「熊野古道」を5日間計画で友人と歩いてきた人です。先をこされた~と、悔しいことしきり(笑

その彼との授業中、百人一首の歌がるたを持っているという。いくつかの有名な歌は既に知っているようでしたが、ちょうどその日、ねずさんの「百人一首」を詠み始めたところだったので、「それでは」と、その本を持ち出し、歌の意味について少し話し合ったのでした。

実を言うと、アルフレッドさんに本を見せたのには、この本を開き、一番歌にある天智天皇の、
「秋の田の かりほの庵のとまをあらみ 我が衣手は 露に濡れつつ」

の解釈を読んでわたしはひどく興奮していたという理由もあったのです。

な、習った解釈「仮小屋の屋根を葺いた苫(とま)の目が粗いので、わたし(天智天皇)の衣の袖は露に濡れてしまったではないか」というのと、違うジャン!なのであります。

短歌、俳句もまた詩もそうですが、読み側の受け取り方が多少違うというのを踏まえても、これはあまりにも違うレベルの解釈の違いなのです。

この本によると、「わが国の最高権威であり一番尊い方が、外が暗い時刻に、粗末な庵の中で自らの手をぬらし、袖をぬらしながら、家族が使うゴザを編んでいる」と言うのです。更に続けて「作業場でゴザを編むくらいだから、おそらく天智天皇は、田植えから、他の雑草取り、稲の刈り入れなどの農作業もしていたであろう」と、あります。

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してみると、テレビで「天皇陛下が皇居の中にある水田で恒例の田植えをされました」とのニュースを見たことがあります。皇居での稲作は、農家の苦労を感じるために昭和天皇が1929年に始められ、収穫されたコメは祭祀で使われるほか、稲は伊勢神宮にも供えられるのだそうです。
ひゃ~。ということは、この天皇陛下の稲作は、7世紀の天智天皇(=中大兄皇子)の・・・・・

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この歌の真意は「上に立つ者から率先して働く、上に立つ者は常に民と共にある」というもので、それ故、百人一首の筆頭を飾る一番歌にふさわしく、千年の長きに渡り人々に愛されて続けてきたのだと言っています。目からうろこです。

解釈するにあたり、当時の時代背景の解説もあり、加えて、それまで中国皇帝が決めた元号を使っていたのが、西暦645年にわたしたちの国の最初の元号「大化」が制定された。つまり、「大化の改新」は中華文明と決別し、わが国独自の文明社会を築こうとした7世紀の大革命であったと、今まで知らなかった歴史の一部をこの歌から知り、自分の無知を恥じ入ったのでした。

さて、二番歌は女性天皇、持統天皇の御製、多くの人に知られている「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の・・・」ですが、わたしが学校で習ったのと違うこの解説もおもしろや。そして、わたしがこの歌の解説の言葉の意味を調べたりして知ったのは、持統天皇は日本書紀の最後を飾る天皇であり、その時代に、わが国で始めて『愛国』の文字が使われている」と言うことです。

絶対的王が領土領民を私的に支配し、民衆は隷民であったヨーロッパにナショナリズムが登場するのは19世紀以降のこと。日本を思う心が築いた、中世社会の姿を一大抒情詩として綴っているのが「百人一首」であり、歌の順番には明確な意図があるのだ、と明かしています。

この歌の解説を読みながら今まで知らなかった歴史まで学ぶことになり、一番歌を終えるなり「先生、自分の生存中に終えられるかどうかいささか疑問ではあるが、この本を最後まで続けて読みたい」と申し出があり、今日は、中納言家持こと大伴家持の六番歌の解説を読んだのでした。

あたかも、ミステリーを読んでいるが如くの錯覚に陥りそうな、またそれくらいの歴史知識、洞察力、鑑賞力なくしては、解き明かせない「百人一首」。知らぬ言葉や歴史的出来事もあり、色々調べながら毎週一回読むのですが、面白くて興奮しているこの頃、この調子で行くとアルフレッドさん、少なくともわたしたちがこの解説書を読み終えるのに4年はかかりそうですぞ(笑

本日もお付き合いっくださり、ありがとうございます。
では、また明日!
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コメント
fantastic(^O^)百人一首(^O^)
時空を超えても、当意即妙の連想が(^O^)

あはぢしま、かよう千鳥の鳴く声に、行くよ目覚めぬ、すまの関守

須磨区 関町 生まれのI 元知事の昨今の御心境とoverlap(^O^)
2016/10/04(Tue) 05:36 | URL | やまひろ | 【編集
初めまして!
ポルトガル留学を目指している者です。
最近、百人一首を読み直していました。
おそらく自分がすごく知りたかったことが説かれており、とても感動して思わず書き込んでしましました_φ(・_・
こんなにも違う解釈がされていたのかとびっくりです。
日本にいるので、その本も読んで見たいと思います。^_^
2016/12/23(Fri) 15:12 | URL | まきたろう | 【編集
まきたろうさん
初めまして。
拙ブログを読んでいただき、ありがとうございます。

ポルトガル留学を目指しておいでですか!
ポルトガル語関係の専攻でしょうか?

そろそろもう一度これを取り上げてみたいと思っていたところでした。

先週17番歌、在原業平の「ちはやぶる」で始まる歌を終えたのでした。

読むほどに面白く、授業準備のため、この解説本の更なる下調べをわたしはしなければならないのですが、これがまた楽しいのです。

百人一首にご興味があるのでしたら、是非一読をおすすめします。

留学の件、うまく運ぶといいですね。
2016/12/23(Fri) 19:13 | URL | spacesis | 【編集
ポルトガル語
はじめまして♪さいきん読者になりました!
かねてからの想いやまず、来月から3ヶ月、open ticket買ってポルトガル旅行を計画しているところです。crystalparkでspasecisさんを待ちぶせしようとたくらんで~joke
お会いできたら天にも昇る心地~とかってにいまふうにいうとエモっています‼︎
リスボンかポルタで旅行者向けポルトガル講座などありましたら教えてください‥同世代です
2017/01/11(Wed) 09:37 | URL | みちこ | 【編集
みちこさん
初めまして。
ブログを読んでくださり、ありがとうございます。

来月、2月から3ヶ月間、ポルトガルに滞在なさるのですね?お一人ですか?
滞在先はリスボンかポルト、お決めになりましたか?

短期間での旅行者向けのポルトガル語講座はちょっと難しいかも知れません。大学などで外国人向けのコースはあるのですが、期間が、10月から、それか、夏季コースと決まっていると思います。

私立の語学学校でもあると思いますが、とても高くつくのではないかな?

わたしはポルト在住ですので、毎度曜日、クリスタル公園にある市立図書館で午前中、日本語コースを開いていますので、お時間があれば、どうぞお立ち寄りください。前もってご連絡いただけたら嬉しいです。と申しますのは、その日によっては図書館の都合で教室を使えないこともあるのです。

また、3月半ばから一ヶ月ほど日本帰国の予定ですが、スケジュールが調整できれば、ポルトでお会いすることもできると思います^^

リスボン情報についてはお役にたてませんが、ポルトは今、短期滞在者のためのペンション、アパホテルなど、最近たくさんできています。

また、なにかありましたら、こちらにてご連絡くださいね。
楽しい滞在になるといいですね!


2017/01/12(Thu) 05:14 | URL | spacesis | 【編集
ポルト滞在
さっそくご返信ありがとうございます♪
フライトの都合で(2/13着)最初はリスボンのhostelを予約しましたが、その後はひとりで全地域のhostelかWwoofのhostを探して歩こうと思っています‥目的は、ぶっつけ本番ではじめての!ポルトガル語を習うこと、気ままに養蜂家や料理屋などを訪ね歩くことです。旅の動機は、中学の講師を止めちょっと日本からのescape!というところです‥5年前はHawaiiでwwoof3ヶ月など、独り歩き専門です(^_−)−☆
さて、ポルトには遅くても2/20前後に移動可能です‥お言葉に甘え、ご都合に合わせて図書館に伺いますのでよろしくお願いいたします。
その前に、お手数おかけしますが、おすすめの滞在先などの情報いただけたら幸いです♪
2017/01/12(Thu) 09:53 | URL | 大島みちこ(松本市) | 【編集
大島みちこさん
コメント欄ですと、個人情報をあまり書き込めませんので、大島さん、次はコメントを書いた後に、Passワードの下に「管理人にだけ表示を許可」という箇所にクリックを入れると、わたしだけが読めます。

それで、その時のコメントにメールアドレスを教えていただけたら、メール交換ができますので、いかがですか?
2017/01/15(Sun) 20:56 | URL | spacesis | 【編集
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2017/01/16(Mon) 20:45 |  |  | 【編集
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2017/01/16(Mon) 20:51 |  |  | 【編集
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