2016年10月29日

ここ3日ほどポルトは、29度、27度とまるで夏日再来のような気温です。小春日和は、ポルトガルでは「Dia de são Martinho(聖マーチンの日)」に当たり11月の半ばで、この日は不思議なくらい、決まって気温が上がるのですが、今年は2週間も早すぎ。少し軽い汗をかきながら、家事をこなしていますが、みなさまのところはいかに?

さて、三日前に朝一で血液検査をしにダウンタウンのクリニックに行った帰りのことです。

Sá da Bandeira通りに停めてあった車の助手席にわたしは乗り込み、運転席に座ってハンドルをにぎろうかという夫が、「はい」とわたしに差し出してくれたのは、少し大きめの美しい2枚の落ち葉でした。

oshiba

落ち葉の季節には、出かけた先で時折地面に落ちている枯葉の美しいのを見つけては、拾い上げて持って帰るわたしの習慣を、夫は気づいていたようですが、「もうちょっと小さいのが・・・」と可愛げのないことを言いかけて、その言葉を飲み込みましたっけ。はははは。

その場で、持っていた黒いバッグの上に載せてスマホで写してみると、思いがけなくきれいな画像になりました。今年もこんな季節になったなぁ、日本の秋を見なくなってもうどのくらいの月日が流れたでしょうか。来年こそは晩秋に帰国しよう!と毎年この時期になると思うのですが、さくら花咲く春が近づくや気もそぞろ、我慢できなくなって帰国しちゃうんですね、春に^^;

2回帰ればいいじゃないのって? いやいや、夫と5匹ネコ、おまけに外の野良猫たちを抱える身、お金もかかることですしそんな訳にも行きません。

拾い上げた落ち葉をどうするかと言うと、わたしの、一年に一度書くか書かないかの、今では日記とは名ばかりになってしまった、記録の始まりが1978年11月17日の古いノートの間に挟んで押し葉にするのです。

oshiba

中には小さな押し花もありますが、写真の銀杏の葉は日本時代のものでしょう、ポルトガルに銀杏の木はほとんどありませんから。

下の紅葉は2005年にコペンハーゲンを訪れたときの散策中に拾ったものです。

oshiba

北欧の秋は本当にきれいでした。

コペンハーゲンのを除くと、これらの押し葉、押し花をどこで拾ったのかどんな思い出があったのか、40年近くも日記に挟まれいると言うことと、日本から持ってきたと言うこと以外は、記憶にありません。記録の主であるわたしが、時折、手に取ってみる押し葉は、色褪せながらもその乾いてしまった葉脈の中に、40年の時の流れにじっと堪えてきたのでしょうか。

夫に贈られた2枚の落ち葉を挿し込もうと、何年ぶりかにノートを本棚から取り出し開いてみると、ひらりとページの間から落ちた一枚のアジサイの花びら、指で拾い上げたら、粉々に崩れてしまいました。

oshiba

あら~、と言いようのない残念な気持ち。ふとその時、西条八十の「蝶」という詩を思い浮かべたのでした。

やがて地獄へ下るとき、
そこに待つ父母や友人に
私は何を持つて行こう。

たぶん私は懐から
蒼白め、破れた
蝶の死骸をとり出すだろう。
そうして渡しながら言うだらう。

一生を
子供のやうに、さみしく
これを追つてゐました、と。

これはわたしの最初のホームページ、2005年の「片言隻句」の中に書き取ってある詩です。父母や友人たちが待つ場所を「地獄」とうたったところが、とても斬新に感じられ、心に残った詩のひとつです。「蝶の死骸」は、ひょっとして「破れた」よりも「粉々」になって、彼の手のひらにのっていたのではないかと、詩を読んだ時、わたしは少しこだわったのでした。そのこだわりが今日の押し花につながったのです。

押し花のなんて儚い。もしかしたら、40年の時を含んできた押し花は、ページから滑り落ちて粉々になるこの日を待っていたのかしら?

2枚の落ち葉は、こんなロマンチックなことをわたしに綴らせる(自分で言うかw)夫からの秋の贈り物でした。

本日もお付き合いくださり、ありがとうございます。
では、また。

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