2016年11月06日 (日)
2016年11月6日
12月のボランティア、市立図書館での影絵上映の作品の切り絵作業を、娘の部屋でする昨今。部屋そのものは大きくないのだが、ベランダがあるので部屋が明るく開放感があり、娘がいない今、ここで勉強や作業をしている。
丸いテーブルに座って作業していると、何かの拍子に向かいにあるソファの背もたれにはべる縫いぐるみの「クラウディウ」に目が行く。

昨日は作業の手をしばし止めてクラウディウに近づきつくづく眺めてみた。このクラウディウは、もともと
息子のものだった。
現在日本に住む息子が、まだリスボンにいた頃のこと、クリスマス休暇でポルトに帰省した息子、翌春の日本行きの準備でリスボンのアパートにある持ち物の整理をし始め、その日は、わたしのお下がりの赤いオンボロFIATに荷物を詰め込んでの帰省だった。
途中で車が故障しないかと気をもんだが、夜無事に到着、荷物を家に運び込んだあと、ぎっしり入っている大きな袋からはみ出た茶色いものが目に入った。
はて?と思い引っ張り出して、それがなんだか分かった一瞬、わたしは大笑いしてしまった。それは写真の犬の縫いぐるみの耳だったのだ。息子よ。あんた、まだこのクラウディウ持ってたんか~~
息子が5歳くらいの時だ、Tio Zeこと「ゼおじさん(独身でアーティストの夫の兄)」から贈られた縫いぐるみの人形で、わたしたちみんなはこれを「クラウディウ(Claudio)」と呼んでいた。
「クラウディウ」と言うのは、息子がまだ生まれる前からいた、野良犬だったのをわたしが手なずけて、義母が渋るのを無理やり頼んで、夜寝るときにだけ家の中に呼び込み、ねぐらを作ってやった半飼いしていた牡犬のことだ。
縫いぐるみを息子に贈った義兄も、この色具合がクラウディウによく似ていたがゆえに面白がって買ったのであった。
ポルトガルでは一般的に、赤ん坊に縫いぐるみの人形をたくさん贈る。子供のベッドの上には日中、これらの人形がきれいに並べられるのだが、わたしの二人の子供たちも贈られたたくさんの縫いぐるみを持っていたものである。
成長するに及んで、少しずつ人に差し上げたりして、残ったのがこのクラウディウであった。大学入学でリスボンへ移るときに息子は遊び心でに一緒に持っていったようだ。思うにきっとアパートに遊びに来た友人たちと、クラウディウを投げたり足枕にしたりして遊んでいたのだろう。それきりわたしはこのクラウディ人形を忘れてしまい、こうして再び我が家に戻ってくるとは思いもしなかった。
今やもう30歳くらいの縫いぐるみクラウディウ、よく見ると、人形なのになんだかやけに歳取ったように見える。それだけではない、こうしてベッドに置いてみると、人形とは思えないほど表情が寂しそうではないか・・・

全体もずず黒くなっており、ところどころ破れて中のスポンジが見えている。この月には古希を迎えるわたしである。思わず「お前もわたしと同じように歳とったんだねぇ」と感慨深い気持ちに襲われた。
スマホで撮影していると、ネコのペトがやってきて、「なんだ、コイツ」とでも言いたげに、しきりにクラウディウの匂いを嗅いでいる。

どれ、年季の入ったクラウディウの、今日はほころびをなおしてあげようか。
下記はクラウディウの思い出話です。よかったらどぞ。
・「我が心のクラウディウ」
12月のボランティア、市立図書館での影絵上映の作品の切り絵作業を、娘の部屋でする昨今。部屋そのものは大きくないのだが、ベランダがあるので部屋が明るく開放感があり、娘がいない今、ここで勉強や作業をしている。
丸いテーブルに座って作業していると、何かの拍子に向かいにあるソファの背もたれにはべる縫いぐるみの「クラウディウ」に目が行く。

昨日は作業の手をしばし止めてクラウディウに近づきつくづく眺めてみた。このクラウディウは、もともと
息子のものだった。
現在日本に住む息子が、まだリスボンにいた頃のこと、クリスマス休暇でポルトに帰省した息子、翌春の日本行きの準備でリスボンのアパートにある持ち物の整理をし始め、その日は、わたしのお下がりの赤いオンボロFIATに荷物を詰め込んでの帰省だった。
途中で車が故障しないかと気をもんだが、夜無事に到着、荷物を家に運び込んだあと、ぎっしり入っている大きな袋からはみ出た茶色いものが目に入った。
はて?と思い引っ張り出して、それがなんだか分かった一瞬、わたしは大笑いしてしまった。それは写真の犬の縫いぐるみの耳だったのだ。息子よ。あんた、まだこのクラウディウ持ってたんか~~
息子が5歳くらいの時だ、Tio Zeこと「ゼおじさん(独身でアーティストの夫の兄)」から贈られた縫いぐるみの人形で、わたしたちみんなはこれを「クラウディウ(Claudio)」と呼んでいた。
「クラウディウ」と言うのは、息子がまだ生まれる前からいた、野良犬だったのをわたしが手なずけて、義母が渋るのを無理やり頼んで、夜寝るときにだけ家の中に呼び込み、ねぐらを作ってやった半飼いしていた牡犬のことだ。
縫いぐるみを息子に贈った義兄も、この色具合がクラウディウによく似ていたがゆえに面白がって買ったのであった。
ポルトガルでは一般的に、赤ん坊に縫いぐるみの人形をたくさん贈る。子供のベッドの上には日中、これらの人形がきれいに並べられるのだが、わたしの二人の子供たちも贈られたたくさんの縫いぐるみを持っていたものである。
成長するに及んで、少しずつ人に差し上げたりして、残ったのがこのクラウディウであった。大学入学でリスボンへ移るときに息子は遊び心でに一緒に持っていったようだ。思うにきっとアパートに遊びに来た友人たちと、クラウディウを投げたり足枕にしたりして遊んでいたのだろう。それきりわたしはこのクラウディ人形を忘れてしまい、こうして再び我が家に戻ってくるとは思いもしなかった。
今やもう30歳くらいの縫いぐるみクラウディウ、よく見ると、人形なのになんだかやけに歳取ったように見える。それだけではない、こうしてベッドに置いてみると、人形とは思えないほど表情が寂しそうではないか・・・

全体もずず黒くなっており、ところどころ破れて中のスポンジが見えている。この月には古希を迎えるわたしである。思わず「お前もわたしと同じように歳とったんだねぇ」と感慨深い気持ちに襲われた。
スマホで撮影していると、ネコのペトがやってきて、「なんだ、コイツ」とでも言いたげに、しきりにクラウディウの匂いを嗅いでいる。

どれ、年季の入ったクラウディウの、今日はほころびをなおしてあげようか。
下記はクラウディウの思い出話です。よかったらどぞ。
・「我が心のクラウディウ」
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