2016年12月30日 

第一章からのスターウォーズファンとして、レイア姫を演じたキャリー・フィシャーが27日にまだ60歳の若さで亡くなったのは残念なことです。そして、彼女の母親、デビー・レイノルズがまるで後を追うかのように、翌日28日に死去したのも切ない話です。

デビー・レイノルズはわたしにとって、我が青春時代の忘れえぬ歌を歌った歌手でもあり、立て続けの母子死去の報道を耳にし、自分が生きてきた時代が大きくうねって変わっていくのを目の当たりにするような気がします。

かれこれ7年ほど前の今頃に綴ったデビーレイノルズに関する記事を少し書き換えて今日は載せようと思います。以下。


弘前からおじ夫婦のいる大阪へ家出をしたのは「日本海」がまだ急行列車だった1960年初期、わたしが中学生の頃でした。(この時のエピソードは記事の最後に案内しています。)

当時、地方の多くの若者がそうであったように、わたしも父に反抗する気持ちも加わって、こんな古臭い田舎はイヤだと、「都会」への強い憧憬はわたしに家出という手段をとらせたのでsじょた。

立て続けに家出して押しかけるわたしに、おじ夫婦は「困ったものだ」と思ったことでしょう。が、当時、子供がいなかった彼らは、結局わたしを引き取ってくれたのでした。1年後には高校受験を控えると言う中途半端な時期でしたが、おじ夫婦の親切に救われてわたしは中学3年生を大阪で過ごすことになりました。そうして始まった叔父夫婦との1年間は、わたしの人生の最初の転換期になったと思います。

思春期のわたしにとっては都会に生活することもそうでしたが、おじ夫婦が田舎では見られない新鮮なカップルの姿に見えたもので、その夫婦のあり方に当時は少なからず憧れたりしたものです。しかし、両親のもとにいた時のような経済的な不自由がなしと言え、「他人の釜の飯を食う」ということがどんなことなのかを、薄っすらと知ることができた時期でもありました。

弘前の両親との朝食はご飯に納豆だったのが、おじ宅では食パンにバターやマーマレード、ハムエッグにミルクと変わり、週末にはおじの運転で京都や奈良へドライブしたりなどして、弘前にいては見聞できなかった多くを経験できたものです。

それらの経験の中でも特に忘れられないのが「シネラマ」です。シネラマというのは、映画のスクリーンが湾曲しており通常の3倍ほどの大きさになったもので、日本全国で、そのスクリーンを持つ映画館は東京と大阪の二箇所のみでした。

湾曲した巨大なスクリーンで見る映画は音響も当時の普通の映画館で見るのとは俄然違い、映画の中に観客をひきこむような迫力がありました。大阪の梅田界隈だったと記憶しているそのシネラマ劇場におじに連れられて観た映画は「これがシネラマだ」「世界の七不思議」、そして「西部開拓史」でした。

中でも、「How the West Was Won」(=西部はいかにして勝ち取られたか)の「西部開拓史」は、以後わたしの大好きな映画のひとつになりました。もっともこれは白人側の目で見たアメリカ歴史で、アメリカン・インディアンからすると虐殺の歴史にも通じるのですが、本日はそこを置いといて。

映画は、いかだで川を渡り、大草原を切り開いてひたすら西部を目指す1830年代から半世紀にわたるある家族の3世代の物語。南北戦争、鉄道敷設、そしてウエスタン拳銃時代と大きなプロットが入ります。

出演はジェイムス・スチュアート、グレゴリー・ペック、ジョン・ウェイン、リチャード・ウィドマーク、ヘンリー・フォンダ、キャロル・ベイカー、デビー・レイノルズといった、当時のハリウッドきっての豪華キャストで、アメリカの開拓歴史とともに西部劇の面白さが結集された作品です。

165分という上映時間の長さを忘れてしまう程、興奮の連続でした。その映画でわたしは初めて「フロンティア精神」と言う言葉を知り、「アメリカ」という国のとてつもない大きさ、逞しさに15歳のわたしは圧倒されたものです。

インディアンの襲撃や川をいかだで下る恐ろしいシーンなど、手に汗握る興奮の160分は瞬く間に過ぎ、生き残った3代のジェネレーションを乗せた幌馬車が大西部の砂漠に消えて行くラストシーンは今でも鮮やかに思い浮かべることができます。

映画の中でデビー・レイノルズが度々歌い、ラストシーンでも昂揚的に流れる歌が、以来わたしの頭から離れませんでした。今でこそ、この美しい歌の原曲が「グリーンスリーブス」だと分かるものの、当時は歌の題名も知らず、上映中に覚えたメロディーと歌詞の一部「Away away come away with me 」「Come Come  there is a・・・・」。これのみが、映画のラストシーンとともにいつまでも耳から離れることがありまっせんでした。

この歌が流れるラストシーンは、3代の家族の過去と現在、未来をつなぐ希望の歌であるような気がして、その高揚感がたまりませんでした。

メロディーと耳に残った歌詞の一部を時折口ずさみながら、曲名を知りたいと思いながらずっと分からぬままに、やがて大阪暮らしの1年後、わたしは生まれ故郷へ帰郷、高校受験をし、当時の新設南高校に第一期生として入学しました。

ある日、音楽の授業で若い女教師が「今日はこの歌です」とピアノで引き出した曲に、わたしは頭をガツーンと殴られたような衝撃を受けました。なんと、それはわたしの頭から離れなかった映画のメロディではありませんか!手渡された楽譜をまじまじと見つめながら、その偶然に震える思いで歌ったものです。わたしたちが覚えた歌詞は以下。

 ♪みどりの並木に そよ風吹く頃
  わたしの心も 緑にもえる
  あなたとともに 語る日近いと
  ばら色の雲が 呼びかけて 過ぎて行った

          イングランド民謡「グリーンスリーブス」

後に英語の歌詞も知ったのですが、しかし、あれ?「西部開拓史」で自分が聴いた歌詞とは違うではないの?

♪Alas, my love, you do me wrong
 To cast me off discourteously 
 For I have loved you well and long
 Delighting in your company.

ああ愛する人よ、
つれなくわたしを捨てた残酷な人
心からあなたを慕いそばにいるだけで
幸せだったわたしなのに。

なんだか違うぞ^^; これは恋人に捨てられた恨みつらみの歌ではないか?ついでに書きますと「Greensleaves」と言うのをわたしは辞書でろくに調べもせず長い間高校で習った歌詞の影響で、
「緑の並木」くらいに思ってきたのだが(いい加減な。笑)、実はとんでもない!

一説では、Lady Green Sleeves、つまり「緑の袖」とはイギリスではかつてその職業を表す印として、娼婦がつけることを求められたのだそうで(Wiki) いやはや、それを事実とすれば長年の勘違いもはなはだしいもの!

ネットがなかった時代は下手するとこういう勘違いはずっとそのまま生涯に及んだりすることも考えられるわけで。

さて、2年ほど前に、ショッピングセンターにあるフランス系書店「FNAC(フナック)」で、あの頃見た「西部開拓史」のDVDセットを購入しました。

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3枚のDVDに映画の説明の小冊子、それに撮影現場の写真も数枚含まれています。写真左上、デビー・レイノルズとグレゴリー・ペックのワンシーン。こういうのを見ると、アメリカはやはりとてつもなく大きな国なのだと改めて思います。

おお、出た!デビー・レイノルズがきれいな英語の発音で歌っており、わたしも15歳の昔と違い、今度はしっかりと歌詞を聴き取ることができました。

♪Away away come away with me
Where the grass grows wild
Where the wind blows free
Away away come away with me
And I'll build you a home in the meadow….

Come Come
There's a wondrous land
For the hopeful heart, for the willing hand
Come, Come
There's a wondrous land
Where I'll build you a home in the meadow

タイトルも「Home In The Meadow=草原の家」と、恨みつらみのグダグダ言った原曲を遥かにしのいで、大いなる希望を抱かせるようなデビーの歌は、わたしが15才のころから抱いていたイメージそのものでした。やっと、やっと巡り合えたわたしのあの歌!新たな希望が全身に涌き出て来るような素晴らしい曲調です。

毎年新しい年が明けるたびに、わたしはなぜか心の中でこのメロディーを口ずさんで来たのでした。

Away away come away with me
Where the grass grows wild
Where the wind blows free

Come Come
There's a wondrous land

「さぁ、わたしと一緒に行こう。
わたしと一緒に希望の土地へ行こう」
 
下ではデビー扮するリリスとグレゴリー・ペック扮するギャンブラー、クリーブが船上で再開するシーンです。


このようなわけで、グリーンスリーブス、いや、デビー・レイノルズの「Home in the Meadow」は、15の大阪時代から半世紀以上を経た今も、この歌を聞くと胸いっぱいに大きな希望が湧いてくるような我が心のエバーグリーンの歌であります。この正月休みには再びこのDVDを鑑賞しようと思います。

デビー・レイノルズ、レイアリ姫、安らかに。

下記、興味あらばどぞ。

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