2017年4月6日

これは、今から30数年ほど以上も前の、わたしが住んでいたポルトの通りでの話です。

この頃は、ポルトの街の至る所で野良犬を見かけました。当時はまだ犬を放し飼いにしてはいけない、という法律ができていなかったのです。ちょっと見だけでは、野良犬なのか飼い犬なのか見分けがつかないことも多かったのでした。犬はたいていは、近所の子供たちの良き遊び相手でした。

今では、日本同様、近所の子供達が外で遊んでいる姿も見かけなくなりましたが、当時は表通りで、サッカーをしたり祭りの焚き火をしたりして、子どもたちは暗くなるまで大声を出して遊んでおり、野良犬たちも一緒にボールを追いかけたり、焚き火の周りをぐるぐる走り回って喜んでいたものです。しかし、ご近所みなさんが犬好きだと思うのは間違いです。

決まって、とある犬嫌いのおばさんが、定期的に保健所へ電話をするのです。そうやって捕獲されて二度と通りに帰らない犬はたくさんいました。

さて、わたしのお気に入りだった野良犬の「クラウディウ」がそうやって捕獲されて、夫と二人で、(この事件については、次回に^^)とある病院からこっそり救出した事件以来、誰が言い出したのか、いつのまにかこの通りでは次のような不文律ができあがっていました。

すなわち、保健所の犬捕獲車を見かけたら、すぐさま表通りに面したそれぞれの家の小さな鉄格子ドアを開けて、路上の野良犬たちをドアの内側に引き入れること。ドアの内側にはたいてい小さな庭があり、そこは私有地になるのですから、捕獲車は侵入するわけにはいきません。

野良犬と言えども近隣の大人子供たちから、どの犬もめいめい勝手な名前をつけられて呼ばれ、えさを差し入れてもらっているのです。飼い犬ではないにしろご近所共有の路上に住む犬たちです。

通りに放されていない限り、犬を捕獲することはできないのですから、なかなかいいアイディアではありませんか^^で、捕獲車が去ってしまった後に、再びドアを開けて通りへ出す、というわけです。

ある日のこと、やってきました捕獲車!目ざとく見つけた人から順繰りにドアを開けて、早々とそこら辺の犬たちを呼んで各々の庭に招き入れました。これで安心だと思いきや、一匹が入り遅れてウロウロしてるではありませんか!しまった!と皆思ったものの、時すでに遅し。

黄色い制服を着た犬獲りびとが二人、大きな捕獲網を張りながらジリジリとその犬を追い込んで行きます。窓から顔を出しながらこの光景をわたしたちはみな固唾を飲んで見ていました。
「おお、coitadinho!」(コイタディーニュ=可哀相に)。
ポルトガル語で哀れみを表す言葉があちこちの窓辺やベランダから聞こえてきます

追い詰められてとうとう網にかかってしまった犬は網の中でまだ必死にもがいて抵抗していました。しかし、敵は扱い慣れて見事なものです、あらよあらよという間に網を絡めたまま、捕獲車の方へ運んで行き、檻に入れようと二人の犬獲りびとが網を空中に持ち上げた、まさに瞬間、奇跡は起こった!

犬が暴れて網が破れでもしたのでしょうか、スルリと犬が地面に投げ出されるように抜け落ちたのです!その瞬間、固唾を飲んで見ていた人々の口から、「ワー!」っと大きな歓声と拍手があがりました。もちろんわたしもその一人です。九死に一生を得たその犬は、一目散にいずこかへと逃げ去ったのでした。

大きな歓声があがった方向をギロリ睨みながら、苦虫をつぶした顔をして二人の犬獲りびとは我が通りを後にしたのでした。

今はと言えば、野良犬への規制もすっかり厳しくなり、路上で見かけることはなり、かつて生ごみは路上に置いていたのが、コンテナに入れて出すようになり、野良犬、野良猫、カモメまで、餌を得るのは簡単ではありません。

道路が清潔なことに、勿論異を唱えるのではありませんが、あの頃のことを思い出すにつけ、環境がきれいになって住みよいのは確かにいいのだけれど、あまりにも整然としてしまうと、犬猫好きなわたしなどは、どこか冷たく感じられたりします。

人間の生活もそこそこに整い、抜けているところがあった方が生きやすい、というのがわたしの思うところであります。

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