2017年8月4日 

先だって都内のポルトガル祭りを覗きに行ったという我がモイケル娘の話を聞いたときに、見覚えのある人形があったと言うので、Julia RamalhoかRosa Ramalhoの作品に話が及んだ。

夫の仕事の関係で我が家には昔から二人の作者の陶土人形があちこちに飾られていたので、子どもたちは記憶していたのだろう。それに因んで今回はかれこれ10年ほども前に一度取り上げた記事を書き直してみたい。
ポルトガル北部きっての陶土人形作家に「Julia Ramalho=ジュリア・ラマーリュ」がいる。

1946年にバルセロスのSao Martinho de Galegosで生まれ、祖母Rosa Ramalho(ローザ・ラマーリュ。1888~1977)の独特な作風を受け継いで現在も陶土人形作品を制作している。

ローザ・ジュリア・ラマリュ

上の写真はかつて、とある店頭で見かけたJulia Ramalhoの作品で傘立てである。とても惹かれてできれば欲しいと思ったのだが高価で、稼ぎの少なかった当時のわたしは入手を諦めたのであった。今では探さなければならないだろう。

ふくろうはポルトガルでは賢者、知恵のシンボルで、左手に持つ本には「JR」、Julia Ramalhoの頭文字が見られる。

ローザ・ジュリア・ラマリュ
真ん中の人形は子羊を抱いているので、「洗礼者サン・ジュアンもしくはヨハネ(聖ジョン)」。イエスの12使徒の一人ではなく、イエスに洗礼を授けた古代ユダヤの預言者である。ヨハネの死の顛末は後にオスカー・ワイルドの著「サロメ」に描かれている。
左のヤギは我が家にもあったのだが、猫がこわしやんした。右は魔女。箒をもっている。

ローザ・ジュリア・ラマリュ

↑同じく聖人人形。鍵を持っていることから「サン・ペドロ(聖ピーター。ペドロの持つ鍵は天国の鍵を意味する。)」

作品からわかる様に、ローザ、ジュリアの作品は聖人の人形が多い。これらの作品の特徴はどれも独特のキャラメル色であることだ。そして、拡大して右写真のように↓ひび割れのような模様が見られ、日本の萩焼が思い出される。

ramalho3.jpg

わたしがこの陶土人形に惹かれるのは、ひとつには、聖人人形という宗教性の中にどこかユーモアがあり、宗教心のないわたしでも思わず「うふふ^^」と笑いを誘われるようなほのぼのとした温もりを感じるからである。

もうひとつは、ジュリアの祖母ローザの作品が、かつて我が家にはたくさんあってわたしには馴染みの人形だったことからだ。

ローザ・ラマーリュは1977年没とあるが、生前のローザは夫の患者であったそうだ。わたしが嫁いできた1979年にはすでに他界していたが、ローザから夫にと届けられた彼女の作品が段ボール箱にどっさり入って保管されていた。
   
宗教に関心がなく、聖人ジュアンも聖人ペドロも見分けのつかなかった当時、ユニークな人形に惹かれて、わたしはその箱の中からあまり宗教性の感じられない、ヤギや民族人形を選び出して部屋に飾ったものである。幼かった子供たちも時々、これらの人形をおもちゃにして遊んだりもしていた。
 
段ポール箱いっぱいに無造作に入れられたローザの作品は、娘が生まれる段になり、それまで同居していた義母の家が手狭になるというので、わたしたちは同じ通りの借家に引っ越し、しばらくそこの車庫の入れておくことにした。

この家は小さいながらも庭と通りに車庫があった。家の裏はこの辺りでは知らない人のない土地成金ジョアキンおじさんの大きな畑で、隣は草茫々の空き地だった。

普段すぐには使用しないものをわたしはこの車庫を利用して物置小屋代わりにしていたのであった。
その車庫の立地条件が効をなして(笑)、ここからは自分が気づかないうちに、骨付き生ハム一本、大きなバカリャウ(Bacalhau=干ダラ)、ワイン、と色々なものが無くなっていったのであった。
  
毎日車庫へ行って、あるかどうか確認するわけではないので、無くなってもそれを必要とする時が来始めて、あれ?おかしいなぁ、車庫に置いておいたとおもうんだがなぁ、と気がつかないのである。(当時のエピソードについては下記にて案内)

ポルトガルよもやま話「生ハム泥棒 

ローザ・ラマリュの作品がごっそり入ったダンボール箱が無くなったのに気づいたのは、現在のフラットにわたしたちが再び引越した時だから、いったいいつ車庫から無断で拝借されたのかは不明(笑) のんきなものだ^^;

故人ローザの作品ともなれば、今では貴重品になっており、もしわたしたちが手元にもっていたらあるいは博物館に寄贈できたかも知れないと思うと、少し残念ではある。

が、それよりも、泥棒さん、箱を開けたところが宗教人形ばかりで何と思ったであろうか。それともその価値を承知して持っていったのかな?と、わたしは思ってみるのであるが、このRosa Ramalhoの人形が入った箱については後日談あり、次回に持ち越しますれば。


ポルトガルの陶土人形作家・ローザ・ラマーリュについて    
1888年に靴屋である父親と織工の母親との間に生まれたローザは、18才の時に結婚し7人の子供を育てあげた。子供の頃に一時期陶土工芸を学んだが結婚後50年ほど、家事と子育てにいそしんだ。夫の死後、68歳で再び陶土工芸を学び始め、独特のスタイルの人形を製作し名を知られるようになった。
     
ジュリア・ラマーリュはローザの孫にあたり、幼い頃から祖母ローザの仕事場に入り、その技巧を学び、現在に及んでいる。
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