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2018年7月31日 

生きている間には、色々なことがあるのですが、戦後生まれのわたしは極限状態というものを経験していない。

親が貧しかったので、3合の米を買いに行かされたりして、その日の食うのに困ったことはあるが、それは極限状態とは程遠い。
20歳の頃は、失恋して仕事を放ってしまい、一週間ほども外出できなくなり、小さなアパートに閉じこもって飲まず食わずの日々もあったが、それもまた極限状態とは言わない。

強いて「わたしの極限状態は?」と言うならば、一度だけ心臓が止まるかと思うほど、どぎまぎしたことがあって、しかし、それは悲惨な話よりも笑い話の部類になってしまった今である。

アメリカから無一文で日本に帰った1978年、しばらくは親友のご両親の家に「いらっしゃい」と招待され居候していたが、いい年をして、いつまでも甘えるわけには行かない。

渡米前に住んでいたアパートの家主さん、元検事、裁判長に上がってとっくの昔に定年退職、80歳だったのだが、その人が、家の一間が空いているから「おいで」と言ってくれ、安い部屋代でそこへ移った。大阪は枚方である。

80歳とは言え自分で自家用車を運転して、週末は熱海の別荘へ出かけるほどの元気さ。わたしが下宿した彼の先も「○○庵」と名前がついていた。奥さんはというと医者で、医院と同棟にある家にほとんどいるとかでお目にかかったことはない。安養寺氏にはお手伝いさんが週に何回か来て家事をして行くのであった。

当時、わたしはアサヒビアハウスでカムバックして、わたしは再び歌っていたのだが、そんなある夜、アリゾナ時代に同じ下宿にいた若い日本人の友人、トミオ君の友達ジョン君、22歳がひょっこりアサヒに姿を現し、これには驚いた。

「今日、日本に着いた。そのうち奴の東北の家に行くんだが、しばらく大阪にいたい。泊まるとこないんだが、泊めてくれないか?」との言うではないか。

アパート暮らしなら、「ああ、いいよ」で気安く宿を提供するのだが、下宿となるとそうも行かない。ちょうどその夜、ビアハウスに遊びに来ていたオフィス時代のかつての同僚(「アリゾナの空は青かった」にも登場するザワちゃんです。彼もアリゾナ大学のコースを終了後、すぐ大阪へ帰ってきていた)に、頼んで見たが、「明日からならいい。だが、今日はだめ。」とのこと。

アメリカの若い人は金はあまりもたないし、できるだけ使わないで旅行をする。さぁて、困った・・・その日は金曜日で週末、安養寺氏は熱海に出かけていた。仕方ない、おじいさん、ほんとうに申し訳ないけど、これも国際親善よ。

わたしの部屋の続き間になって空いてる一間を今晩だけ貸して!とまぁ、ジョン君は一晩だけ○○庵に泊まることになったのである。

ジョン君はわたしの部屋の隣室の、生まれて初めての和室、布団にグ~スカ寝入り、わたしもそろそろ寝ようかと思った11時も過ぎた頃。表でス~ッと車の止まる音がした・・・「ま、まさか!」 こういう時のわたしの勘はするどい。

窓から覗いて見ると、屋根越しに見えたのはおじいさんの車だ。「あちゃ~~~!安養寺氏、熱海の別荘に泊まると言っていたのにご帰宅ではないか!さぁ、大変!えらいこっちゃー!

咄嗟に階段を下りて玄関口にまっしぐら!(部屋は二階であった)後日、反射的にこういう行動がとれた自分に大いに関心したのであるが(笑)

玄関にまっしぐらというのは、ジョン君のヨレヨレの男物の靴が一足、置いてあるからである。それをひっ抱えて再び二階へあがり、隣室で寝ているジョン君を揺り起こし、「Mr.安養寺´s back!=安養寺さん、帰ってきた!いい?朝まで物音立てるなや~!」

その夜は眠れるわけがない。翌早朝、わたしはジョン君の靴とバッグを窓か庭へ投げ落とし、ジョン君も屋根からそうやって落としたい気持ちに駆られたが、これはさすができなかった。

よってジョン君は、抜き足差し足忍び足・・・ギィ~ギィ~ときしる階段音立てて、可哀相に異国の早朝の見知らぬ町へと姿を消していったのでした・・・^^;

わたしはその後、頭から布団を被って落ち着こうとするも、心臓はバクバク。その日は安養寺氏と顔を合わせるのも怖く、朝のうちにそそくさと外出したのである。

安養寺氏は気づいていたと、わたしは思っています。お年寄りって早朝に目が覚めますし、わずかな音でも気づくものです。トイレが下にありましたから、わたしが降りたと最初は思っても、一向に上って来ないのは不思議でしょう。
しかし、一言も聞きませんでした。うん、立派な元裁判長さんでした^^

極限状態の話が、すっかりズッコケてしまいましたが、これがわたしの極限状態と言えそうな経験です。

本日はこれにて。
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