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2019年8月28日 

リスボンから特急で北へ2時間、ポルトからだと反対方向の南へ1時間の所にあるのが、学生の町コインブラ(Coimbra)です。

人口14万のうち2割ほどがコインブラ大学の学生だと言われます。わが夫の母校でもあります。

コインブラ大学は13世紀にディニス王1世によって創立され、ヨーロッパでも最古の大学のひとつに数えられます。バロック様式の図書館、チャペルセレモニーホールなど、現在も往時をそのまま目にすることができ、校舎内に入ると一瞬中世に迷い込んだかのような錯覚に陥ります。
    
5月に2週間催される学生祭は,黒マントを身にまとった学生のその独特な趣からして毎年ニュースになるのです。そして、このときに聞くことができるのが「学生ファド」です。抵抗の歌人Zéca Afonsoもコインブラに学び、今でも彼が住んでいた下宿屋が残されています。

coimbrafado1.jpg coimbrafado2.jpg

上はWikipediaから拾ってきた写真ですが、それから分かるように、男子学生は自分の好きな女性が住む窓辺や階段でセレナーデを歌ったりしていました。これを聴いた女性が部屋の灯りを何度か消したりつけたりすると、ゴーサインだったのだそうですよ。この古い告白の仕方、素敵だなぁなんてこれまた少し古い人間のわたしは思うのですが。

学生ファドはコインブラでしか聞くことができず、またリスボンファドと違い、学生祭の時をのぞいてはかなかな聞くことができませんでしたが、現在は「Fado ao Centro」を始めいくつかの場所で聞けるようです。

coimbrafado4.png

男子学生によってのみ歌われます。伴奏はリスボンファドと同じく、ギターと12弦のポルトガルギターとで演奏され、歌い手の男子学生は中世の吟遊詩人のごとく、黒いマントを身にまとって歌います。
   
この黒いマント、ポルトガル語ではcapa=カパと呼び、実は日本の時代劇に出てくる渡世人さんがまとった「かっぱからげて三度笠」の「かっぱ」は、これが語源です。

わたしはかつて夫とともに招かれて、コインブラの古いサンタ・クルス修道院の庭(下の写真)で、この学生ファドを聞く機会がありました。

遅い夕食後のほぼ真夜中、煌々と月が照る古い修道院の中庭。聴衆はみな思い思いの場所に立ったり腰をおろしたりして聴いた学生ファドは、静寂 な修道院の中庭ででしんしんと降り注ぐ月光と浴びて、それはそれは素晴らしいセレナーデでした。
 
ところがです、この学生ファド、一曲が終わってもだれも拍手をしない!わたしは拍手するすんでのところを夫に止められました。拍手をするどころか、一曲終わるごとにみんないっせいに「せきばらい」をするのです。
  
そうです、コインブラの学生ファドには拍手はご法度なのだそうです。拍手のかわりに「せきばらい」です!

もしもいつかあなたがコインブラファドを聴く機会があったら、拍手はしないでコホンコホンの咳払い! 間違えないでね^^

coimbrafado3.jpg

写真は、遠い昔のわたしたち。息子が生まれてすぐの頃で、わたしはまだふっくらしており、夫も贅肉なしの若かりしとき。

わたしの体重はこの後、いったん元の42、43キロに戻ったものの、二人目、モイケル娘を産んだ後がいけませんでした。71の今では、この頃の体重に7キロほどつくでしょうか(笑)

コインブラ・ファド、聴いてみてください。わたしの好きな学生ファドのひとつです。

https://www.youtube.com/watch?v=9PO2kbWy1H4

あ!でもこの動画では、皆さん、拍手をしてますね!(笑) 近年増えた拍手ご法度を知らない観光客でしょうか。夫に再度確認したら、「拍手はしない」でした。

けど、拍手してるで~~(笑 )いやいや、言わぬが花。夫の昔のままの思い出をそのままにしておきましょう^^

日本では「ポルトガルの春」としてアマリアが歌っているのが有名ですが、これはポルトガルでは「Coimbra」と呼ばれるファドのひとつです。
https://www.youtube.com/watch?v=Buf4ypbWCpw

下はコインブラ大学Queima das Fitas(卒業祭)で「別れを告げるとき」を歌っています。
https://www.youtube.com/watch?v=f3WGttZdksg

日本を離れて40年、わたしもポルトガル人の言う「サウダーデ」の意味が分かる年齢になりました。

本日はこれにて。
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コメント
コインブラ大学はご主人様の母校なんですね~。
ポルトガル全土、いや世界中から優秀な生徒が集まっている世界の名門ですよね。

なんて素敵なご夫婦なんでしょう。
お似合いですね~。

コインブラを思い出しています。
私のブログにコインブラファドを載せさせていただきました。
ちょうど新入生歓迎会の頃で学生たちに混ぜてもらい夜中まで騒いでしまいました。
若かったです。苦笑。彼らの優しさにも感謝です。
2019/08/29(Thu) 06:34 | URL | ムイントボン | 【編集
こんにちはMayです。お久し振りです。いつも読ませてもらっています。
ファドと聞くとやはり心が動きます。リスボンとポルトでファドを聞きました。悲しいかな言葉を理解できないのですが何か心に迫るものがありますね。ポルトではコインブラという曲を聞きました。アマリアもCDで歌っていました。
コインブラファドというのはこのようなエピソードがあったのですね。なんてロマンティックなお話でしょう!
あの黒マント、カパ(日本語のカッパの由来も面白いですね)を羽織った学生さん、みなさんハンサムなんですよね〜!彫りの深いお顔にあのマントが実にお似合い!
次回はぜひコインブラでファド聞きたいです。
素敵なエピソードありがとうございます!
2019/08/29(Thu) 12:48 | URL | May | 【編集
ムイントボンさん
60代ちょっとですとまだ活力面でいけますよね。わたしも63,4歳で補習校を退いた後、ポルトと海外親善協会共催のJapan Weekなるものの準備を1年間かけてコーディネーターを依頼され、断りきれずにしたことがありますが、今なら体力面で無理ですね。

土曜日4時間の日本語教室で、実はひぃひぃ言ってますv-388

大学の新入生歓迎時期には、伝統的なしごきが結構長い期間、されるのですよ。その記事、九月に入ったらあげましょう。

コインブラ、ポルト大学であるしごきなので町でも見かけるのですが、ムイントボンさんたちの滞在中は、時期的に少し早いので、見られないのが残念です。

後二週間ほどですが、バタバタせずによく休ん長旅に備えてくださいね。

ところで、ムイントボンさんのサイト、拝見しましたよ^^
2019/08/29(Thu) 18:58 | URL | spacesis | 【編集
Mayさん
こんにちは。
いつも拙ブログを読んでいただき、ありがとうございます。

ファド「コインブラ」はわたしがただひとつ、一番だけですが、歌詞を覚えた歌です(笑)

コインブラファドはかつてはなかなか聴く機会がなかったのですが、今、ファドは無形文化財に指定されていますので、コインブラでなら、聴けるレストランがいくつかあるそうです。

次回は聴けるといいですね^^
2019/08/29(Thu) 19:05 | URL | spacesis | 【編集
ありがとうございます。
spacesisさんのブログにはいつも教えがあります。
私のブログまでみていただいたとは感謝です。
今日は一日コインブラファドを流しておりました。
2019/08/30(Fri) 00:00 | URL | ムイントボン | 【編集
ブログを見ていただいたとは嬉しいです。
spacesisさんのブログには必ず教えがありますが、私のは軽くてすみません。

Coimbra Fadoを一日流していました。
10月3日から16日までのポルトガルでしたから黒マントの学生を沢山見ました。
いじめられているようなシーンも目にしたような・・・
手荒い歓迎をするのですね。
次回のブログでその訳が解りそうですね。
楽しみにしています。
2019/08/30(Fri) 00:08 | URL | ムイントボン | 【編集
面白いというより、めんどくせえ!ですね・・・
2019/08/30(Fri) 04:10 | URL | ganchan | 【編集
ganchanさん
あははは。確かにネ。

哀しい歌だから、拍手はしないというのは分かりますが、ほんじゃ、コホンコホンはどうかというと、それもねぇ(笑)

ま、伝統だということで!

ところで、そちらのブログでコメントをしようと思っても、登録しないとできないようで、めんどくせぇ!(笑)

というわけで、時々おジャマしていますが、コメントを残していませんです。
2019/08/30(Fri) 16:37 | URL | spacesis | 【編集
Coimbra~日帰りですが行くことにしました!
Coimbra Fadoを聴いていたら無性にコインブラに行きたくなりました。

「Fado ao Centro」なら夕方6時からファドが聴けると知りました。なら泊まらなくてもいいのです。

 ありがとうございました。
2019/08/31(Sat) 10:06 | URL | ムイントボン | 【編集
ムイントボンさん
コインブラなら日帰りできますね。

少し早めに行って、もしまだ行ってなかったとしたら、Quinta das Lagarimas、いかがでしょうか?

http://spacesis.blog52.fc2.com/blog-entry-1726.html

Portugal dos Pequenitosの近くだったと思います。

伝統の学生しごきの記事については、もう少しまってくださいね。
2019/09/01(Sun) 13:35 | URL | spacesis | 【編集
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