2006年11月19日
押し花

★我が日記の35年の時のページで眠る押し花たち

高校時代には、苦手な理数系の勉強はほったらかしに、フランス文
学、ロシア文学、ドイツ文学の著名なものを図書館から借り出し、
片っ端から本を読みふけったものですが、告白しますと、どういう
わけか、日本文学にはほとんど手を出した覚えがありません。
外国文学の起承転結の明確なところに、わたしは心を躍らした
ようです。

ところが、20歳頃に、グワッとのめりこんだのに、純文学ではあり
ませんが、松本清張シリーズがあります。
「黒い画集」から始まり、砂の器、点と線、波の塔、霧の旗、黒革
の手帳、けもの道、等等、あげるときりがなく、松本清張の全作品
を読破したとは言いませんが、かなりの冊数を読みきりました。

「社会派推理小説」と当時呼ばれた清張の作品は、大人の匂いが
プンプンして、まだ20歳のわたしには大きな刺激となりました。
もちろん、創作の話ですからそのまま鵜呑みにすることはしません
でしたが、それでも、世の中の理不尽や犯罪に駆り立てられた人の
心理のようなものを、こっそり覗いたような、心が寂しくなるよう
な、それは不思議な刺激でした。 
にほんブログ村 海外生活ブログ ポルトガル情報へ blogram投票ボタン
ー続きはここからー

それらの中で特に心に残ったものは、霧の旗(清張の作品ではこれ
が最も心に残っており、柳田桐子という主人公の名までも覚えて
います)砂の器、そして、ゼロの焦点です。
つい先ごろ、この「ゼロの焦点」をもう一度読み返す機会がありま
した。 職場の図書室の隅っこで偶然みつけたのです。

現在形で読む本を手になくしては、生活がおちつかないわたしは、
このところ、日本から送られてくる本が途切れており、40年近くも
前に読んだこの本をもう一度手にとってみました。
そして、思い出したのです、あの20歳のころ、気になりながら、調
べようもなかった詩の1節があったことを。

In her tomb by the sounding sea.

とどろく海辺の妻(彼女)の墓・・・
戦後の自分の職業を隠さんがため、今では上流社会夫人になってい
る妻が犯罪を犯し、冬の日本海の荒れた海にひとり小船を出して沖
へ沖へと漕いでいく姿をじっと見送る夫の姿を描く最後のシーンで
出てくる英詩です。

当時、この詩がいったい誰によって書かれたものなのか、これだけ
ではヒントにすらならず、長い年月の間にいつの間にか記憶の彼方
に押しやられていたのでした。
読み終わりハッと思いついた。
googleで検索してみよう!英文でそのままキーワードとして打ち込
みました。

おおおお!出た!出たではないか!
詩の全部に行き着きました。
この詩は、「Annabel Lee=アナベル・リー」と題されるエドガー・
アラン・ポーの最後の作品なのでした。(詩全部をお読みになりた
い方はWikipediaで、アナベル・リーと検索しますと出てきます)

詩、「アナベル・リー」は、14歳でポーと結婚し、24歳で亡く
なった妻、ヴァージニアへの愛をうたったものだそうで、ポー最後
の詩だとされています。

「とどろく海辺の妻の墓」は、その詩の最後の1節です。
エドガー・アラン・ポーといいますと、わたしなどは、「アッシャ
ー家の滅亡」の幽鬼推理小説家としての一面しか知らず、詩人でも
あったとは!

Wikipediaで検索しますと、ポーの大まかな半生が書かれていますが
あれが事実だとすると、残した作品にたがわないような激しい愛の
一生を終えた人です。

40年近くも経ってようやく、「ゼロの焦点」のラストシーンと、
このポーの人生の結晶である「アナベル・リー」の詩がつながった
のでした。

う~ん、これは清張ばりで行くと、「点と線」がつながったとでも
言えるかしら(笑)

★ランキングクリックお願いします^^



コメント
Reメールです
こんにちは。
コメントを頂き有難うございます。
ポルトガル発のブログは珍しいと思いチョット覗きました。これから時々見せて頂きます。
ポルトガルは予想を遥かに上回って良い所でした。11/2~11/10の旅行で、今思い出と記録としてブログ Up しています。
旅行中、徒歩移動中はほとんど雨が降らず、大変幸運でした。他の話題を挟みつつ、あと10回ぐらい書くつもりですが、もし間違いがありましたらご指摘頂けると幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
2006/11/20(Mon) 11:10 | URL | ヤンジジ | 【編集
>ヤンジジさん

もうお帰りになっていたのですね。
てっきりまだポルトガル旅行中かと早とちりしていました。
パソコンを持っての旅行かな、すごいなぁ、と勝手に^^;
失礼いたしました。

よいお天気に恵まれたようでよろしかったですね。
機会がありましたら、是非またポルトガルを訪れてください。
山岳地方も、リスボン以南も、まだまだ手付かずの
ポルトガルのよさが見られるのではないかと思います。

こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
2006/11/20(Mon) 22:16 | URL | spacesis | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック
Click for Porto, Portugal Forecast 
ポルトガル ポルトの口コミ
ポルトガル ポルトの口コミ にほんブログ村 外国語ブログ マルチリンガルへ
にほんブログ村