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2020年1月23日 

現在日本語を教えている中級クラスは11名いますが、事情により出たり入ったりする生徒が3名です。

一人は、獣医を目指して、目下イギリスで研修中、もう一人は、1年間ワーキングビザで日本に滞在したことがある生徒(「夢を追いかけて2」に登場)ですが、現在はポルトでの仕事のローテーションで、土曜日に出席できたりできなかったり。

残りの一人はブラジルからの留学生で、母国ですでに日本語を勉強しており、我が教室にやってきました。学業が忙しい時は、なかなか出席できないようです。

中級グループは週に一度、土曜日に80分間の授業を受けるのですが、来たり来られなかったりの上の3人を除いては、どの生徒もわたしとほぼ8年以上の付き合いになります。

教室も、市立図書館から、相棒Oちゃんのリビング教室、再び市立図書館、空手道場、そして、現在の貸し教室と何度か引っ越しています。現在の貸し教室を除いては、教室使用料はただ同然で、その代わりボランティアとして影絵上映をしたり、日本文化展示会を催したりしてきました。

今回の貸し教室使用は、内情を明かせば、使用料、税金等を差し引くと手元に実際残るのはスズメの涙程度なのですが、授業料をほいほい引き上げるのは、自分がこの日本語教室を開講するにあたっての当初の志、時間はあるがお金がないという日本語を学びたい人に教えたいとの趣旨を捨てることになるので、抵抗があるのです。

さて、読解力テキストをずっと使っての中だるみを避けるために、数課進んでは間に日本語学習者向けのではない、実際に日本の中学校や高校で使われている物語を取り上げます。

今週がちょうどその時期で、今回は個人授業では何人かに既に読んでもらったものの、グループでは初めてという、「大造じいさんとガン」を取り上げます。

  
「今年も残雪はガンの群れを率いて沼地にやってきました。」と始まる椋鳩十の児童文学「大造じいさんとガン」はわたしの好きな物語のひとつです。

日本国籍を持つ子供たちが通う毎週土曜日の日本語補習校にわたしは20年ちょっと国語算数(数学)を受け持ちましたが、小学校5年生の教科書に毎年載せられていたのが、この「大造じいさんとガン」でした。

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左右の翼に一ヶ所ずつ真っ白なまじり毛を持っていたので猟師達から「残雪」と名づけられていたガンの頭領を、狩人の大造じいさんが3年がかりで手に入れるまでの話を綴ったものです。

普段、日本語の物語にあまり興味を示さない子供達もこの物語をわたしが朗読すると、所々に古くて耳慣れない言葉が出てくるのですが、それでも子ども達はのってきたものです。

たかが鳥と侮って罠を仕掛ける大造じいさんが、残雪の群れの頭領として利口なのにやがては舌を巻いてしまいます。大造じいさんは毎年、残雪にしてやられるのです。

物語の山は、前年に大造じいさんに捕まり手名づけられて囮に使われた一羽の仲間がハヤブサに襲われたのを救うために、頭領の残雪がその恐ろしい敵に勇敢に立ち向かい闘う場面です。

そして、ハヤブサとの闘い後、残りの力をふりしぼって第二の敵である大造じいさんに対する、頭領としての、鳥とは思えないほどの堂々たる態度です。

子供達はこの場面にくると、体を乗り出すかのようにしてじっと物語を聞くのです。椋鳩十の文体もわたしは好きで、この場面では思わず朗読に力が入ります。


このレベルの日本語学習者に読ませる短編には他に、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」、向田邦子の「字のないはがき」もそうです。三作とも、リズム感があり、文章のシンプルな美しさに生徒は大いに惹かれるようでした。

わたしも生徒と一緒に、日本文の素晴らしさを再認識する一時でもあります。

さて、グループ学習者に初めて取り上げる「大造じいさんとガン」ですが、どんな反応が見られるか楽しみでもあります。

生徒からは「ガンって、cancerですよね?」と早速質問が出たのではありました


芥川龍之介「蜘蛛の糸」についてはこちらで綴っております→「閻魔ばさま

本日も拙ブログを読んでいただき、ありがとうございます。
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コメント
大造じいさんとガン~
とても難しいお話を補習校5年生で学ぶのですね。https://www.youtube.com/watch?v=OuobvMCgyfs
でお話を聴いてきました。
これをポルトガルの人が日本語で学ぶとは
そのレベルの高さに驚かされます。
雁でなくガンと書いてあると私もcancerと思ってしまいました。苦笑。お笑いください。
2020/01/25(Sat) 20:35 | URL | ムイントボン | 【編集
ムイントボンさん
我がクラスのレベルはそんなに高くないのです^^;
でも、いつも簡単な文章に接しているのもどんなものかと思い、こうして時々日本人向けの物語を取り上げています。

「大造じいさんとガン」には、子供ならずとも、大人のわたしもわくわくして読んだものです。

いつもコメント、ありがとう!
2020/01/27(Mon) 00:52 | URL | spacesis | 【編集
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