2007年7月11日

数年前に高校教師を退職した友人のマリアさんが、時折自分が手が
けた劇の脚色の話をしてくることがある。
先日もことの弾みでわたしたちは日本語授業そっちのけで、30分
ほど話が盛り上がったのだが、
「それでね、その場面にTom Waitsの歌を使ったのよ。」
との彼女の言に、
「ま、待てぃ!トム・ウエイツってあのトム・ウエイツ?」

トム・ウエイツにあのもこのもないのだが、わたしがこれまでこの
アメリカの歌手の名を引きあいに出しても、一人として知って
いる人に出会った験しがなかったのである。
紹介すると、決まって聞かされるのが、「なんだ、この声?」と
いう感想である。

若いときから彼の声は酒とタバコで潰れたシャガれ声で、近年は歌
うというより、語りと言った方が適していようだ。

しかし、1970年代も終わりに渡米して、たった半年ではあるがアリ
ゾナにいたわたしにとって、トム・ウエイツはノスタルジックで
たまらない。
目を閉じれば、ツーソンNorth 2nd Avenue 927番地のドアの向こう、
裏庭に面し、遅い午後の光を取り込んだ空間の一隅で、くわえタバ
コにアンダーウッドタイプライターでパチパチ原稿を打っている
ハウスメイト、ジョンのシルエットが浮かび上がってくる。

「ワルツィング・マチルダ(Tom Trauberts Blues)」と「ニューオリ
ンズに帰りてぇな」(I wish I wasin New Orleans)」は、トムの
シャガれた声が却ってジンと染みていいのである。

(↓わたしの持つ1976年版Small Change LPジャケット裏のTom
 Waits)
tom waits

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ー続きはここからー

♪疲れちまってよ。
 月のせいじゃねぇんだ、身からでたサビってことよ。
 また明日な。おい、フランク、2、3ドルばかり貸してくんないか?
 To go waltzing Matilda,waltzing Matilda,
 You´ll go a waltzing Matilda with me. (spacesis訳)


今日の話は英語で書かれてあるWaltzing Matildaなのです。

このワルツィング・マチルダがどうも意味がつながらなくて、長い
間気になってきたのだ。
「2、3ドルばかり貸してくんないか?マチルダとワルツを踊りに
 いくのによ」
と、考えてみたのだが、それだとMatildaの前に前置詞withが入らな
ければならないではないか。英語の部分2行目のように。

マリアさんと話すことで、久しく忘れていた疑問を思い出したので
ある。

トム・ウエイツが編曲して引用しているワルツィング・マチルダは、
今はどうか知らないが、わたしが若い頃はよく耳にした歌で、オー
ストラリアの第二の国歌とも言われる。
渡米の資金調達のために、わたしは、昔バイトで大阪梅新のアサヒ・
ビアハウスの歌姫をしていたことがあるのだが、よくこの歌をリク
エストしたのが日本人の奥さんを持つオーストラリア人のマーチン
さんだった。
時にはステージに彼を呼び出して一緒に歌ったりもした。
アサヒ・martimgreen


♪Once a jolly swagman camped by a billabong  
  昔、陽気な放浪者が池の側にキャンプをはった
 Under the shade of a Coolibah tree       
  ユーカリの木の下で、
 And he sang as he watched and waited till his billy boiled
  ブリキ缶の湯沸しが煮え立つのを待ちながら歌ったとさ
 You'll come a waltzing Matilda with me     
お前が俺と一緒にくるのさ、ワルツィング・マチルダよ


「a waltzing Matilda」とはswag(山の放浪者が携帯する今で言う寝袋?)を背負いながら放浪すること、と見つけたり!

Matildaは、紀元前300年頃からエルバ川北方に移住し始めた民族(主
にドイツ人を指す)の逞しい女性の代名詞。
同時に、移動するワンダーラー(Swagies)達に同行し夜は侘しい彼
らを暖める女、妻の意味もあることから、放浪者が携帯する毛布、
寝袋等の荷物をMatildaと呼ぶに至ったらしい。
(興味のある方はこちらを参照。英文です)

そう言えば、当時わたしが勤めていたオフィスの本社のアメリカ人、
ボブ君が、
「この歌は英語を話す僕らもなんだか意味がよく分からない不思議
な歌なんだ。」
と言っていたのを思い出した。

オーストラリアの「Matilda」の意味は分かったが、それでもトム・
ウエイツの「2、3ドルばかり貸してくんないか?To go waltzing
Matilda=旅に出るのによ」
では、まだしっくり来ない。

ねぇ、トム。あんたの歌ってあんたの心の中のように、分からない
のかね?と思わずトムの口調で呟いてしまう本日のspacesisであり
ました。

ちなみにワルツィング・マチルダは、かつてわたしがチャット・
ルームでお開きの合図として流してたものです。
本日の色々な検索で、トムもこの曲をライブのトリに使っていたよ
うです^^

一編聴いてみてもいいかなと思われる方は、下記までどぞ。
       
  トム・ウエイツ:ワルツィング・マチルダ

  トム・ウエイツ:ニューオリンズに帰りてぇな

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コメント
ぉおー
なんだか
ブルーススプリーグスティーンと
ボブデュランと
ルイアームストロングを
足してなんかで割ったような声だw
歌詞というのは難しいですね
マチルダといえばあっしらの世代には
アムロが恋心をいだいた年上の補給部隊の
上官という
ガンダムネタなんですけどねwww
2007/07/12(Thu) 12:07 | URL | ぎたれれ | 【編集
スピーカーが壊れていて。。
聞けないのが残念です。。(T^T)
でも、ジャケット裏の彼は カッコイイー!

あ、、姉さんお久しぶりです。(^^ゞ

2007/07/13(Fri) 00:17 | URL | syomin1 | 【編集
>ぎたれれ君

あははは。世代の違いを感じまする(笑)
マチルダといえばもうひとつ思い出す歌に
ハリー・ベラフォンテの「マチルダが俺の金を
持ってベネズエラに逃げてしまったよ」という
のがありますね。
ハリベラもギタレレ君の世代は知らないかw

昔はいい歌がいっぱいあったなぁ^^

>syominちゃんだ!

お久しぶり~^^
元気なのかな?
たまには更新すれ~(笑)
それともまだどっかでこっそり新しいブログを
始めてたりしてw
間もなく夏休みで、そちらは毎日さぞかし
賑やかになることでしょうね。

2007/07/13(Fri) 06:51 | URL | spacesis | 【編集
映画の題名を思い出せなくてコメントできなかったのですが「渚にて」(On the beach)でした。 第3次世界大戦、グレゴリー ペックが原潜の館長ですでに死の灰が世界中を覆いかぶさる時の話で、潜望鏡に映ったメルボルンの通りに”兄弟よまだ遅くない”の横断幕、それにかぶさるように流れるワルチングマチルダ。 映画の全編にワルチングマチルダが流れていたような記憶があります。
2007/07/18(Wed) 09:28 | URL | shima | 【編集
>shimaさん

お久しぶりです!
メール、届きましたでしょうか?

「渚にて」観ましたよ^^
その通り、この映画の中でも使われましたね。
オーストラリアの人はこの歌が好きだそうです。
アサヒのマーチンさんもやはりそうで、よく
リクエストを受けました。
shimaさんはマーチンさんにご記憶にありませんか?

そう言えばマーチンさんのことを「あの頃、ビアハウス」
に書きそびれていましたね。

手直ししながらまた少しずつ書き加えてみましょうか^^
ビアハウスエッセイのトップに音楽をつけてみました^^
ビヤ樽ポルカとロザムンデです^^

これを聞くと5リットルジョッキ回し飲みを思い出します。
懐かしや^^

8月のイヴェントの後は、アサヒで是非楽しんで
来てくださいね。
できればご報告お待ちしております。
第二土曜日には、まだ同好会してるのかしら・・・
次回帰国の際は、アサヒに必ず行かなければ!
その時は、お会いしましょうね!





2007/07/19(Thu) 03:23 | URL | spacesis | 【編集
Waltzing Matilda 考
アサイラムからデビュー以来、彼のファンです。

さて、Waltzing Matildaに関するspacesisさんの推理を拝見しているうちに、次のような仮説が思い浮かびました。

Waltzing Matildaとは居酒屋とかの場所のことではないだろうか、そうすると、

 o go waltzing Matilda,waltzing Matilda,
 ou´ll go a waltzing Matlda with me. 
「オレといっしょに「踊るマチルダ」に行こうぜ。」であり、また不定冠詞については、「〜のような居酒屋へ」で破綻はしないようです。

もちろんその「酒場」では「その歌」も毎晩演奏されていることでしょう。

本国のこと、移民のこと、ホーボーであること、友のこと、オンナのことなどなどいろいろと連想される名曲ですね。入れ子構造や掛けことば、人名、固有名詞などトムはいつもいろいろと楽しませてくれますね。
2007/07/23(Mon) 13:10 | URL | daibo | 【編集
>daiboさん

おお!トム・ウエイツのファンに出会うのは、記事にある
我が友マリアさんに続いて二人目です。

なるほど!daiboさんの推理も十分考えられますね。
まだねぐらに帰って寝るにはトムには早い。

♪もう一軒ハシゴして「マチルダ」に寄ってっからよ、
 少し貸してくんないか。

これ、いけそうですね。
わたしはこのアルバムに収められている
「The piano has been drinking」もなかなか好きです。

これを聴くと、大阪のロイヤルホテルのセラーバーで
時々過ごした昔を思い出します。

世良譲のバーだったようで、彼がピアノを弾いたら
いつの間にか音が聴こえなくなった。
酔っ払って、ピアノを弾きながらいつの間にか寝こけて
いたんだという話はよく聴かされました。

The piano has been drinking.
not me,not me,not me. (笑)

音楽好きで酒飲な者はどこか共通点があって憎めない。
わたしは好きでした、そんな雰囲気が。

今日は面白い仮説をありがとうございました。

2007/07/24(Tue) 07:50 | URL | spacesis | 【編集
メールは読ませて頂ました。ありがとう。
マーチンさん、は覚えが有りません。
8月4日の件はブログで報告します。
多分熱い日になり、炎天下を歩いたあとですから、ビールが旨い!
2007/07/24(Tue) 16:59 | URL | shima | 【編集
>shimaさん

楽しみですね。
汗をかいたあとの生ビール、さぞかしおいしい
ことでしょう!

ブログ&写真を楽しみに覗きにまいります!
2007/07/25(Wed) 00:01 | URL | spacesis | 【編集
こんにちは!!
久々にSmall changeを手にとって
ワルツィング・マチルダの意味を探していたトコロ
ここにたどり着きました。


昔グラフティをやっていた頃
仲間達と一緒に
NYのストリート・アートの天才バスキアの映画を見ていまして
その中で彼の亡き親友であったA・ウォーホルとの思い出のビデオを
ジェフェリー・ライト扮するバスキアが
涙を流しながら見ている場面にあの曲が使われていました。
暗闇の中テレビ画面から発せられる光と散らかった部屋と
トム・ウェイツ。

ブラック・ミュージックしか聴こうとしない
アメリカかぶれのその場にいた若者達でさえ
一瞬で心奪を奪ってしまうあの存在感。

なんて表現すればいいんでしょう?

今でもあの心奪われた瞬間を忘れる事が出来ません。


大昔、確かレーザー・ディスクかビデオで見たモノクロの映画も
トム・ウェイツが出演していたと思います。
マニアな店主が「外国の友達に手土産に持って来てもらってん。」
そう、言っていたと思います。
自分の店のスクリーンに映して煙草をくゆらせながら見ていました。
もう20年近く前の話ですから今一記憶が定かではありません。
プロジェクタの光とタバコの煙とトム・ウェイツです。
今思えば何て贅沢な体験をさせてくれてんやと
店主に抱きつきたいんです。
当時は何の映画映画かサッパリ分かりませんでしたが
後になって調べてみると
DOWN BY LAWというジム・ジャームッシュ監督
共演ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキの映画でした。
この3人は最近もまた共演していましたよね?


雰囲気的に
ワルツィング・マチルダを聞きながら
この歌を聴いているお前も一緒に酔いどれてフラフラしよーぜ。
なんて誘ってくれている気がしてなりません。



お邪魔いたしましたm(__)m

2007/10/23(Tue) 11:17 | URL | passero | 【編集
>passeroさん
トムの歌の放つ強烈なオーラにやられましたね^^

わたしが出会ったのは1978年です。古いでしょ?(笑)
当時大阪で出会って世界一周のバッグパッカーをしていた
イギリス人の友人が、一足先に渡米していたのですが、
その時手紙で「すごいシンガーに出あった。地方のバーで
のコンサートへ行ったんだが最高だっよ。」との話を
聞いていたのです。アリゾナでのハウスメイトの一人が、
やはりトムに浸っていました。

わたしにとってトム・ウエイツはなんていうか
結局投げ出してしまった夢のかけらのアリゾナ・ノスタル
ジアなのです^^;
もちろん、その代わりに得たものはでっかかったのですが。

最近も何枚かCDを聞きましたが、Small Changeがやはり
一番わたしは好きです。

passeroさん、今夜あたりマチルダを聴きながらふら~っと
やってますかね^^





2007/10/24(Wed) 02:04 | URL | spacesis | 【編集
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