2007年10月21日

ポルトにいる日本人が多少増えた今は、どこにどういう人が住んでいる
のか、とんと分からなくなってしまったのだが、ここに住む中で一番古い
日本人であるわたしは、10年ほど前までは小さな日本人社会、こう
こうこういう人がどこどこに住んでいるとの話は聞くとはなしに入って
きて、大概の人達とはどこかで顔をあわせていたものである。

ポルトに日本企業が進出してきた1980年代も後半の子育て真っ最中
は、子供達の年齢も近いことがあり、ポルトに滞在する人たちとは、
家族ぐるみの付き合いをした人たちも幾人かいる。
そういう人たちとは、彼らの帰国後もしばらくは手紙やメールで互いの
近況を知らせ合うのだが、何せ忙しい日本の生活、やがていつの間に
か音信も途絶え、引越しなどしたら最後、そのままになってしまうこと
が多い。

そういう家族の中に、夫が常々「いいファミリーだったね。」
という一家族がいる。
にほんブログ村 海外生活ブログ ポルトガル情報へ blogram投票ボタン
ー続きはここからー

ポルトに最初に滞在したT氏の家族だ。
T氏の二人の子どもたちと我が子たちとは年齢もほぼ同じで、こちら同
様、上が男の子、下が女の子だったこと、T氏のタク君は、土曜日の
わたしの職場で4年間担当したこともある。
また、小さい子どもがいるうちは、何かと医者にかかることが多い。
夫の仕事柄、お役に立てるのであれば、どうぞいつでも、とそういうこと
もあって、わたし達は時々行き来したものである。

かれこれ10年ほどポルトに滞在したT氏一家が帰国してからは、2、3
年に一度、我が子の日本での学校体験入学のためにわたし達が日本
に滞在した時には、二度ほど招待を受け、千葉のT氏宅に泊まったこと
もある。

それが、ここ13年ほど無沙汰をしてしまい音信も途絶え、ハッとわたし
が気づいたときには、住所も電話番号も分からなくなってしまっていた。
気持ちの上で、昔を振り返る余裕ができてきた近年、忙しいのと子供
達の教育費にかかる厳しい経済負担とで、ついついしてきた過去の
不義理を、なんとか今から埋めたいと思うにも連絡がとれず困ってしま
い、ツテを頼って探してもらっていたのである。

昨日やっと、大阪出身の職場の同僚から、とあるルートでT氏の連絡
先を手に入れたわたしは、帰宅するなりすぐ国際電話のダイヤルを
回した。みんな元気かしら^^きっと驚くだろうな^^と、半分そんないた
ずら心もあり。

電話をとったのはT氏の奥方ではなかった。なんだか人のざわめきが
受話器を通して聞こえて来た。奥方のYさんが出てきて、
「まぁ・・yuko先生・・嬉しいと言っていいのかなんと言っていいのか・・」
と、歯切れが悪い。
「長い間、すっかりご無沙汰して。でも、どうしたの?」とたずねると、
「実は主人、今朝亡くなったのです。」

一瞬手に持っていた受話器を落としそうになった。
大柄でいつも陽気なT氏のイメージを持っていたわたしは、「おー!」
との彼の声を期待こそすれ、これは想像だにしなかった。

四年ほど前から白血病の治療を受けていたという。。
10年もポルトにいたT氏である。ポルトを時折思い出さなかったはずは
ない。わたしたちが千葉のT氏宅を訪問したときは、少しお酒も入って
夕食後、玄関口で記念写真を撮ってすぐ、迂闊にも手を滑らしてデジ
カメを側にあった大きな水ガメに落としてしまい、奥方にヤンヤ言われ
ていた情けない顔のT氏。
帰国してからも、ポルトガルでの習慣がなかなか抜けず、東京の人
ごみの中を「Com licenca!(cの下にシッポの記号がつく)=失礼!)
とついついやってしまうと手紙で書いてきたT氏。

「しまった!」との思いが胸に突き上げてきて仕方がない。

自宅養生をしていたらしく、それでも家でじっとしている人ではなかった
ようだ。
もう少し早く連絡先が分かっていたら、ポルトの思い出話のひとつもでき
たかも知れない。
日本人家族の少なかったあの頃、とても嬉しかった、ありがとう。と、
例え受話器を通してでも伝えたかった。

昨日からそんな後悔の念にさいなまれている。

Tさん、あなたのご冥福を心から祈ります。
コメント
Tさんのご冥福をお祈りいたします。
臨終には間に合わなかったけれど、
きっとTさんがspacesisさんを呼んだのね。
こんなタイミングだなんて、きっとそう。
今度は天国から懐かしいポルトの街を
見下ろしていることでしょう。
姉さんもショックだったことでしょうが
どうぞ お気を落とさずに。。ね。

2007/10/21(Sun) 20:16 | URL | syomin1 | 【編集
>syominちゃん
周りにいる人たちが一人二人といなくなるのは、
侘しい思いがしますね。
自分だけは厚かましくもいつまでも生きて
いくような、
そんな気がするというのもこれまた不思議^^;

「あなたのことを覚えていますよ」っていう言葉、
なんだかとても懐かしく、嬉しい言葉なのでは
ないかなぁってこの頃思います。
syominっちゃん、ありがとう^^

2007/10/22(Mon) 07:25 | URL | spacesis | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック
Click for Porto, Portugal Forecast 
ポルトガル ポルトの口コミ
ポルトガル ポルトの口コミ にほんブログ村 外国語ブログ マルチリンガルへ
にほんブログ村