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2006年5月17日(2)
        ★夕闇迫るポルトの町
noite

この数日、もいける娘の格安飛行機切符検索で時間をとられ、やっと一段落です。
8月初めには、2年ぶりに、彼女はポルトガルに帰国します。

ちょっと長かったかも知れません^^;

でも、最初が肝心。行って一年もしないうちに、帰ってきてしまったら、お軽い感覚のホーム・
シックでしかないでしょう。

共に暮らしてきた家族、お気に入りの猫たち、見慣れた町の光景。
どれもかれも、18年間、自分の身から切り離されることなく続いてきた生活の継続です。
住んでいる間は、欠点ばかりが目についたであろうポルトガル。
良きにつけ悪しきにつけ、自分を占める故郷の姿を少し分かり始めるのに、時間はかかる
ものです。

わたしの経験だと、アメリカに滞在した半年間は、当時の恋人であった亭主に逢うことが
できなかったのは、辛かったけれど、両親が、弘前が、大阪が、日本が恋しい、などと感じる
ことはなかった。
それを感じる間もなく、亭主のいる日本へ半年後には、移住の夢を中断、さっさと引き返した
のでした。

わたしが、生まれて初めて、「故郷」というより、「日本という国が恋しい」と言う感情を知った
のは、異郷の地ポルトガルに嫁ぎ、里帰りできなかった初めのほぼ3年の間のことです。
話せる言語は英語と日本語のみ、ポルトガル語は全く知らずに来ました。

ポルトガルでは今でこそ、他の英語圏外の国同様、英語が第二外国語になり、簡単な英語
であれば、なんとか通じるようになりましたが、今から27年前は、ドイツ語フランス語が第二
外国語であったをみても分かるように、英語が少々話せても、通じる相手は周囲にザラに
いたわけではありません。
ポルトでたった一人の日本人です、町を歩くと、すかさず「chinesa、chinesa」(=シネーザ・
中国人のこと)と指差され、それが「死ネー、死ネー」と聞こえたのには、こたえたものです(笑)

昨今のように、大学には外国人向けのポルトガル語コースもありませんでした。
自分が持ち込んだたった一冊のブラジルポルトガル語の文法本が、あっただけです。
それも、日本、ポルトガル、双方の国柄の余りの違いにすっかり意気消沈。
何年も何年もその本を使って独学することを怠惰してしまった、愚かな自分ではありました。

旅人である間は、一時しのぎの滞在である間は、そして、年に一度の割でせっせと帰国の
切符を手に入れている間は、「やっぱり自分の国が一番いい」と言う安堵感にかき消されて、
「ノスタルジア」という感情は、なかなか生まれてこないような気がします。
そんな感情を誰もが学ばなければならない、なんてことはないのですがね。

1歳半の息子を連れて一人、3年ぶりに日本の地を踏んだときは、誠に感無量でした。
機内から眼下に見える自分が生まれた国の地、飛行機が着陸する間、滂沱と涙が頬を
伝い、隠しようがなかったものです。
「わたしの国、これがわたしが生まれ育った国」
この言葉が頭をぐるぐる回って、湧き上がる感情をどうにも抑え切れなかったですね。

10年を一昔とすれば、あれから昔が三つ過ぎて行こうとしています。
ポルトでは、わたしは一番古い日本人で、その昔を知っている「生き字引」なんて言われたり
しますが、当時の昔を語ろうにも、昨今の若い人たちには、きっと興味のない迷惑な話に
なったりするでしょう。

ポルトガルの男性を夫に持つ若い日本女性も随分増えました。
「年に一度は日本へ里帰りさせてくれることを条件に」なんて話も聞いたりします。
それを羨ましいとは思わない、と言えば少々嘘になるけれども、今日のわたしを築いた
背景に、最初のちょっと辛かった3年間がチラリチラリと見え隠れする、これがわたしの
ポルトガル人生の始まりでした。

ブラジルに移民として船で渡った日本人や異国へ渡ったポルトガル人たちの「ノスタル
ジア」がわたしは今、分かるような気がする。
優しい記憶も苦い思い出も入り混じって、それらを超えたところに「郷愁」はある。

詩人星野富広さんがその花の詩集で言います。
引き返す距離が長いほど、力を蓄える波の激しさ
じっと我慢して久しぶりに帰る喜びは、きっと大きいでしょう。

今日は、娘の切符一段落で、遠い昔のことを思い出し、書いてみました。

そうそう、ポルトガル語では、「ノスタルジア」を
Saudade」(=サウダードゥ・やるせない思い、思い出)
と言います。

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コメント
楽しみですね。
spacesisさん、こんばんはー。
もいけるちゃんが帰ってくるの楽しみですね♪
spacesisさんご自身も苦労されてきたのですね。
母の体験談、、今の娘さんにとって励みになりますね。
そんなふうに語り合える親子って素敵だね。(*^^*)

2006/05/18(Thu) 21:59 | URL | syomin1 | 【編集
syominちゃん
いつも読んでくれてありがとう^^

励みになればいいな、と思ってかいてみたんだけれどね^^;

群集の中にあっても孤独を感じることはある
だろうから、言葉などの違いではなくて、
その時その時の人の心のありようなのかしらね・・・

でもね、わたしのした苦労なんて、昔の人に
比べたら、苦労のうちに入らないよ(笑)
過ぎてしまえばみんな苦労じゃなくなっちゃうw

syominちゃん、体調崩したみたいだけど
大丈夫?お大事にね。
2006/05/19(Fri) 17:22 | URL | spacesis | 【編集
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